まさおレポート

団塊の世代対策と接続料金

団塊の世代と接続料金

NTTデータ通信㈱がデ本といわれていた時のことだ。25年も前のことになる。虎ノ門の17森ビルの地下にある社員食堂で全善電通本社支部データ通信分会のオルグが行われていた。オルグとは労働組合の現場への運動方針周知活動だ。

私も当時一組合員として参加していた。オルグの内容はすっかり忘れたが、確か書記長は津田さんだった。

データ分会書記長は当時は専従ではなかった(現在はどうか知らない)ので、同じビルで机を並べてデータ通信の仕事をしていたことになる。

彼は組合活動一筋で行こうと決めていたのだろう。その後、専従役員となりどんどん組合で頭角を現していく。

20年近く経ったある日、新聞記事で津田氏が全電通委員長(全国情報労連?)になっていることをしった。

そしてその後何年勤められたか、委員長も辞職し、表舞台から姿を消した。その後どうされているのか何となく気にはなっていた。

 多くの歴代委員長たちが国会議員や労働組合のドンになっていった。そういう転進をするのが一般的だと思っていた私は大変意外な気がした。ある夜、個人的な付き合いで総務省の幹部と酒を飲む機会があり、話が津田さんの話に及んだ。引退後彼は大学の学生になったと聞いた。

へえ、すがすがしいリタイアの仕方だなと感想を述べた。彼は引退の理由を語らなかったが、NTTが競争にさらされ、組合とNTTの関係も独占時代から大きく変わったに違いない、そのことが何かしら関係するのだろうと思った。

NTTの非効率が接続料金高止まりの原因とされていた時代だ。組合員達の給与改定や子会社への移籍などの施策が次々と新聞に載った。従来では絶対に合意できないと突っぱねていた事柄も合意を余儀なくされる、厳しい立場の委員長ではなかったかと勝手な推測に思いをめぐらせた。

 こんな推測をめぐらせたのも、前NTT社長宮津氏のスピーチでの記憶があるからだ。xxxが主催する「宮津社長を招いての懇談会」風のパーティーだった。

これはシリーズで通信業界のときの話題の社長を迎えて、軽い立食パーティーと気楽なスピーチを拝聴する催しだ。5時30分ごろに始まった会で宮津さんのスピーチが始まる。ざっくばらんなべらんめー調といったらよいのだろうか、そんな語り口で、経営の苦労話をした。

NTTは今大変苦しい。今後4,5年が特にくるしい。団塊の世代を大量に抱えているからだ。と正直に余剰人員を抱えていることを認める。

私はビールを片手に「そんなことまでこんな席でいっちゃって、随分正直なひとだな」と思った。「生首を切るわけにはいかないんですよ。他に業種転換もできない。とにかく後4,5年どんなにたたかれても辛抱して、NTTグループ全体で何をしてでも稼いで、食わせていくしかない。その後はNTTは強くなりますよ。」といった趣旨の話だった。

 NTT社長の最大の悩みは団塊世代の余剰対策だったのだと改めて思い知った。と同時にNTTが完全分離に反対している本音の部分もここにあると了解した。

接続料金値下げ交渉攻防の表舞台では接続料金に余剰人員が含まれているとは口が裂けてもいえないのだろう。かといって電電公社以来の全国電話網展開の功労者たちを不名誉な職種に移すわけにもいかない。せいぜい、給与改定と子会社転籍が組合と交渉決裂せずに可能なNTTの効率化施策だったのだ。それにしても米国ではありえない、いかにも日本的なストーリではなかろうか。

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