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映画「バベル」を鑑賞。

2007-04-28 23:33:16 | Weblog
 映画の話
 舞台はモロッコ、知り合いからライフルを買った一家の悲劇が描かれる。生活の糧であるヤギを襲うジャッカルを撃ち殺す為、父は息子二人に1挺のライフルを手渡す、子供たちはいたずら心から眼下の山道を走るバスに一発の銃弾を放った。その銃弾は、観光バスに乗ったアメリカから夫婦の絆を取り戻す旅に来た妻の鎖骨を打ち抜く、事件は孤立無援で翻弄する夫と共に国際テロ事件と発展してゆく。
 舞台はアメリカ、事件に巻き込まれたアメリカ人夫婦の子供は帰国出来なくなった両親の為、子供たちは息子の結婚式に出席する為にメキシコに行く乳母と同行することにで生死を彷徨う悲劇。
 舞台は日本、事件に使われたライフルの持ち主が日本人と判明、持ち主のヤスジローと聾唖の娘チエコの心の葛藤の話。
 監督は、メキシコを舞台とした「アモーレス・ペロス」アメリカを舞台にした『21グラム』のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ。彼の作品は一環して生と死と絆をバラバラの時間軸で並行して描かれるスタイルで作られている。ある事件をきっかけに何の接点の無い人々が結びついて行くスタイルだ。『バベル』はイニャリトゥ監督の集大成的な内容で一連の流れのワールドワイド版としてみる事が出来る。

 映画の感想
 まずイニャリトゥ監督作品を見た事が無い人たちには取っ付きにくい作品かもしれない。過去の監督の作品を見ている者にとっては、バラバラだったパズルのパーツが埋まっていく構成に唸らせる事になるだろう。と言う事で『バベル』をこれから見る方は監督の前2作をチェックしてからの鑑賞をおススメする。ミーハー的にブラピや菊池凛子目当てで見に行くと面食らう作品なので覚悟が必要。 本作は一連の流れの中で言葉の壁と言う難しいテーマを盛り込んでおり、一挺のライフルを買った事による貧しい一家の悲劇と、見知らぬ土地で妻の事故から孤立無援で奮闘するブラピ夫妻の話と、乳母と共にメキシコの大地で生死を彷徨う子供たちと、聾唖という健常者との壁を描いた日本の話と、舞台は世界各国の為、物語の統一感薄らいだ。そんな中、日本篇は日本人の目から見ると多少奇異に写る事だろう。外国人監督が日本を舞台にした作品は多々あるが、何処かフィルターが掛かった色眼鏡的に描かれる。まずロケーション、近代的なビルが立ち並ぶ東京の町並みに対して、新宿の思いで横丁などいかにも外国人が好きそうなロケ地が面白い。
 次に菊池凛子、聾唖と言う事で言葉にならない声を発している。以前TBSのドラマで豊川悦司と常盤貴子主演で大ヒットした『愛していると言ってくれ』で私の記憶が正しければ豊川は聾唖の役であったが一切声を出さなかったように記憶しているが、あれは障害者を美化しているだけで、本当の聾唖の人は何かしら声を出しながら手話をする人が多いのだ。そんな聾唖の役を演じた菊池凛子はちゃんと声を出しながら手話をしているのがリアルである。こんなシーンもある、クラブに行き大音量で鳴る音楽を聾唖のチエコの耳を通した音で再現される、内耳で聞いたと思われる中高音はマスキングされ低音だけがボンボン鳴る音がまたリアルだ。だが、映画の中でチエコの取る行動は突拍子が無く、いくら障害者だからってそんな行動をしないだろうという事を平気で行なうので嫌悪感を感じてしまうし、他国の人たちが日本の女の子を対して変な見方をしかねない描写である。そして外国の男性から見ると女性からのアプローチを断る男の姿を見て「オイッオイッ!」ってツッコミを入れてる姿を思い浮かべると末恐ろしい。
 最後に、タイトルのモチーフとなった『バベルの塔』は神に近づこうと天まで届く塔を作る人間に対して、神は怒り人々の言葉をバラバラにしたそうだ。
 そう考えると、3大陸4言語のロケ地は枯れ果てた大地が多い中、日本だけ高層ビルが立ち並ぶ東京の町並みをロケしているのを見ると、監督は東京の町並みを『バベルの塔』の合せ鏡として見ていたのかも知れない。

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