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映画&音楽のレビュー&日々起こる時事に絡めて商品をピックアップしながら論ずるブログです。Twitterとも連動中です。

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映画『寂しい時は抱きしめて』を鑑賞。

2007-05-27 23:07:56 | Weblog
映画の話
 心までが満たされる恋愛を経験したことのないライラが、デビッドという青年と恋に落ちる。ひたむきなまでに愛し合う2人だったが、その気持ちが強すぎて不安に駆られ、お互いを傷つけてしまう。

 出演は『ミュータントX』のローレン・リー・スミスと、『悪魔のいけにえ』リメイク作品「テキサス・チェーンソー」でリー・アーメイに周到にいたぶられたエリック・バルフォータマラ・フェイス・バーガーの官能小説を、夫のクレメント・ヴァーゴが監督と夫婦で共同脚本のカナダ映画。

 オープニングからポルノビデオを見ながら自慰行為にふけるライラのうつろな顔のアップから始まり、クラブに繰り出し気弱そうな男を逆ナンパをしてクラブの外で青姦を楽しみ、その行為を彼女とカーセックスをしながら見つめるデビッド、お互いを意識しながら絶頂を迎える、という何とも息苦しい映像とボカシ修正の連続で今すぐ劇場を後にしたい衝動にかられるが我慢をして見続ける事に・・・。
 二人は惹かれあうように、街中で追いかけっこを楽しみ、ライラは公園の遊具の中でデビッドを挑発をするが乗っていない。しかし、あっという間に二人は結ばれライラは初めての愛を知るが、ライラには両親の離婚と実家の売却、デビッドには介護の必要な父の存在で、二人の心は離れ離れになってしまう・・・。

 映画の感想
 試写の案内が着た時に、セックス絡みのカナダ映画という事で気乗りをしないで見たのだが、予想は的中してしまった。映倫の基準ではR-18指定であるが、とにかく直接的な性描写が多くボカシの連続である。ボカシの下で何が行われているかはおのずと理解出来るが、ここまで画面を汚されると呆れる限りである。
 人物の描写についても、人物の背景が見えてこないのはいただけない。ライラ、デビッド共に職業を持っているようだが何をしているのかわからない。ライラに関してはビデオのプリントをするカメラ屋さんのように見えたが詳しくは不明。とにかくライラという女は自己中心的な女で、デビッドと別れた後に初めに逆ナンパした男を家に連れ込みセックスをするのだけれど、愛を知ってしまった後の愛の無いセックスが楽しめなくなり、勝手に激高してセックスの途中で男に対して「帰れ!」と怒鳴りつけたり、とにかく共感出来ない嫌な女である。この手の作品は登場人物に共感出来るか出来ないかで作品の評価が大きく変わってくる。私は、この映画の登場人物に一人も共感出来なかった。
 本作を見ると、ポルノと官能映画の境界線はかなり曖昧であり、本作はギリギリで官能映画に収まっているように感じた。その要因はライラとデビッド演じた俳優がモデル出身という事で美しい体型であったからだろう。




映画「リーピング」を鑑賞。

2007-05-21 14:59:01 | Weblog
 映画の話
 キリスト教宣教師だったキャサリン・ウィンター(ヒラリー・スワンク)は、愛する家族を無残に殺害されたことをきっかけに、信仰を捨て、一切の宗教的な現象をあり得ないものとして解析してみせる世界的に有名な専門家になる。しかし、まるで聖書に記されたような疫病に苦しむルイジアナ州の小さな町を調べていくうちに、これが科学では解明できない現象だと気づいたキャサリンは、自らの信仰心を取り戻し、町を脅かす邪悪な力に立ち向かっていく。そして――。

 この映画はロバート・ゼメキス、ジョエル・シルバーらが名を連ねるダークキャッスルというホラー専門の製作会社が作った作品で、過去の作品は「TATARI」「13ゴースト」「ゴーストシップ」「ゴシカ」「蝋人形の館」などを作ってきた会社の最新オカルト・ホラー作品である。
 主演はヒラリー・スワンクと、「チャーリーとチョコレート工場」の美少女アナソフィア・ロブ。監督は「24-TWENTY FOUR」のスティーブン・ホプキンス

 映画の感想
 まず話が、仏教徒の日本人が苦手な天使と悪魔の宗教色の強い話なので取っ付きづらい。話のプロットのヒラリー・スワンクの過去の話がフラッシュ・バック形式に小出しに描かれるのでよく解らない。先日見た「ハンニバル・ライジング」もそうだったけど、最近の作品はフラッシュ・バックを多様しすぎているように思う。フラッシュ・バックは一見カッコいいのかもしれないが、見ている方にしてみればチョコマカチョコマカ映像を見せるより、じっくりと映像を見せてくれたほうが話しがわかりやすいと思うのだが・・・。このプロットがしっくり来ないまま話はドンドン突き進む。

 この作品は根本的に音で驚かす映画で、ショッキングな映像と音のシーンが多々あり、周りのお客さんがビックリして、その度に椅子が激しく揺れる。監督の術中にお客さんがはまっているらしい。しかし、話が見えてこない。何とか話を理解しようとするのだがよく解らない。それからヒラリー・スワンクは顔の表情が出づらくホラー作品に向かないように思う。
 スティーブン・ホプキンスの演出も「24」で味をしめたのかライブ感溢れる撮影が行われ、カメラの激しいズームインや手振れなどで緊張感をかもし出している。
 映画は、地の川、謎の伝染病、蛙の雨、ブヨとウジのディナー、狂った家畜、子供の頭にシラミ、イナゴの大群などCGを駆使したグロイ映像のオンパレードなのでこの手の苦手な方は覚悟が必要なのだが、イナゴの大群は昔見た「エクソシスト2」の方が迫力があったような気がするのだが・・・。
 それにしても映画に新味が無く、みんな何処かで見たような映像と話で正直期待をしていただけに見た後はかなりガッカリした、ダークキャッスルもテコ入れが必要なようだ。 

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映画「パッチギ!LOVE&PEACE」を鑑賞。

2007-05-19 13:56:29 | Weblog
 映画の話
 1974年、アンソン(井坂俊哉)は病気の息子の治療のため、一家で京都から東京に移り住む。妹のキョンジャ(中村ゆり)は芸能プロダクションにスカウトされ、甥の治療費を稼ぐために芸能界入りを決意する。彼女は先輩俳優の野村(西島秀俊)と出会い、彼に恋心を抱く。

 まずオープニングの電車内とホームでの大乱闘が井筒監督らしい。出端で観客の心を鷲掴みにし作品の中に力づくに引きずり込まれる。ただ、前置きも無く過剰なヴァイオレンスと言うのは強引かもしれない。前作では、ちゃんとキッカケがあってバス横転の大乱闘だったのだから、ちょっとしっくりこない。このシーンの喧嘩相手の日本人応援団は時代背景から考えると『花の応援団』へのオマージュ?
 私は予備知識無しで見たせいか、アンソン一家が東京に引っ越してきた理由も、映画を見た後にネットの公式サイトを見て判ったし、主演の兄妹を演じる俳優が変わっていたので、前作とは別の人物の話だと思っていたのだけど、アンソンの家の仏壇に前作の楊原(現 松永)京子の写真が置いてあるのを見て初めて前作の兄妹のその後の話だと判ったしだいである、とにかく判りづらい映画だ。

 時代も1974年に変わり、異常なほどにディティールにこだわっているのが画面からヒシヒシと感じる。町に張られている映画のポスターも多分井筒監督の趣味が反映されているらしく『パピヨン』『突破口』『悪魔のはらわた』『エマニュエル夫人』そして、極めつけはお正月に浅草の映画館で見るブルース・リーの『ドラゴンへの道』だ。劇場の前にはブルース・リーの腕がグルグル回る安っぽい立体看板まで作られている。映画を見た後はもちろん、なりきりブルース・リーで「アチョーッ!」と叫んでみたり、ヌンチャクまで振り回す徹底ぶりである。その他にも、ユリ・ゲラーのスプーン曲げや、「幸福ゆき」の切符のキーホルダーや、ブリタニカの百科事典オールスター対抗水中運動会、「仮面ライダー アマゾン」や、ぶつかりそうになる『トラック野朗』みたいなデコトラや、ゲイラカイトなど、懐かしいアイテムが随所に映画に散りばめられている。

 映画の感想
 うーん、これは在日朝鮮人家族のサーガを描いた井筒監督版の「ゴッドファーザー」だな。井筒監督は口癖のように「僕は『ゴッドファーザー』が一番好きだ!」と言ってる監督である。前作を見ている時は、それほど感じなかったけど本作を見ると痛いほど感じ取れる。前作は日本人の目を通した在日朝鮮人との交流の話だったので取っ付きやすかったのだけど、本作は日本で暮らす在日朝鮮人の目を通した日本の話なので感情移入しづらい。
 それから並行して描かれる1944年の南洋諸島の話が判りづらい。初め突然話がぶっ飛んだ時は何のことやらと思ってみていると、やがて話がアンソンとキョンジャの父の話と判って来るのだが、もう父は死んでいるのだから誰の見た回想かも不明であるのが難点である。普通、戦争の回想であるならば『プライベート・ライアン』や『父親たちの星条旗』の様に今現在生きている人の回想なら判るが、本作のように死んでしまっている人の回想シーンには無理がある、短いながら素晴らしい戦争シーンだっただけに残念に感じた。
 それでもいい所も沢山あった。冒頭の電車での大乱闘と、その後の試写会場での大乱闘など大勢の人間が大暴れの群像劇は井筒監督ならではのヴァイオレンスであるし、随所に入る笑いのシーンなど独特のセンスを感じさせられるし、何と言っても日本の映画界で、これだけ骨太のドラマを撮れるのは井筒監督ならではである。
 まだ早いかもしれないが、多分『パッチギ!』は『ゴッドファーザー』を見習って3部作になる事だろう、これから製作されるだろう『パッチギ!』第3作目を期待したい。

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映画「俺は、君のためにこそ死ににいく」を鑑賞。

2007-05-19 13:46:32 | Weblog
映画の話
 昭和19年秋、圧倒的に不利な戦況の日本軍は、少ない戦力の中で敵と戦う最後の手段として、戦闘機に250キロの爆弾を搭載して敵艦に体当たりする「特別攻撃隊」を編成する。やがて、鹿児島県の知覧飛行場も陸軍の特攻基地となる。軍指定の富屋食堂の鳥濱トメ(岸惠子)は、二度と帰らない彼らを引き止めることもできず、複雑な想いを胸に秘め、母親代わりとして慈愛の心で見守り続けていく…。

 特に予備知識無く鑑賞したのだが、東映のロゴマークの後に石原慎太郎のメッセージが文字で出るのは、慎太郎嫌いの人は拒否反応が出るのではと思うが、嫌いな人は初めから映画を見に来ないか・・・。
 私は、この映画の主役と言える鳥濱トメさんの事は何も知らない、なので映画の起承転結の起の部分が描かれていないのが気になる。何故トメさんが特攻兵たちにそこまで親身になっていった過程が知りたいのだが、その部分が映画には無い。特攻兵達が皆、トメさんに対して「お母さん」「おかあちゃん」と呼んでいるのが違和感を感じる。まぁ、「おかあちゃん」を演じるのが市川崑監督の「かあちゃん」で「かあちゃん」を演じた岸恵子なのだからヤボな話かもしれないが、酷な言い方かも知れないが岸恵子は「おばあちゃん」にしか見えない。そしてトメさんの長女役が「かあちゃん」の時にも娘役だった勝野雅奈恵と言うのもまた可笑しい。勝野雅奈恵と言えば、今回は勝野ファミリーが総出演で、お父さんの勝野洋が久々に凛々しい軍人を演じていたし、長男の勝野洋輔窪塚洋介の成長した弟役でチラッと出演している。
 そしてトメさんの次女役が多部未華子が演じているのだけれど、岸恵子と二人並ぶと孫とおばあちゃんにしか見えないのが難点。

 映画の感想
 先にも書いたが起承転結の起の部分が無いのは致命傷、戦争を知らない世代にも判りやすく起の部分を描けば作品に深みが出るのだが、その部分がスッポリと抜け落ちてしまっているのは駄目だ。それから特攻兵たちの心情をちゃんと描けばいいのに中途半端に描くので感情移入出来ない。途中から出てくる中越典子徳重聡に惹かれていく過程も殆ど無いので、いくら役者が頑張っても説得力に欠ける。とにかくドラマが薄い。それなのに特攻隊の出撃シーンは涙が出てしまう、やはり自分も日本人でDNAの奥底に刷り込まれた何かが反応してしまうようだ。
 しかし見るべき点もある、それは特撮シーンだ。これは凄い、日本映画でここまでの戦闘シーンが作れるのかと驚愕した。実写や合成はやや雑な部分もあったが、空中戦の戦闘機は大迫力でCGとミニチュアを駆使して作った映像は日本の特撮史上特筆すべき出来栄えだ。これに米軍の描写も加わればパーフェクトなのだが、米軍は背景程度にしか描かれていない。
 あと特攻隊の目線が前半殆ど無いのが気になった。初めに特攻隊に任命された的場浩司がいい演技をしているのたが、特攻シーンは引きの突撃シーンだけではせっかくのいい演技も台無しである、あのシーンは的場のコクピットの中の心情シーンを入れるべきであったと思う。
 それから伊部雅刀も最後に大事なシーンがあるのだから、もっとドラマの中に登場させてあげれば、あのシーンももっと悲壮感が出るのだけれど、いかんせん出演シーンが少ない。 
 私は本作の監督の新城卓という監督は知らないが、もう一押しすればいいドラマになるのに熱い物が感じられず、全体的あっさりとした印象しか残らなかった。「何処に18億円も使ったんだ?」と思う位にこじんまりとした演出。ラスト20分に戦後のシーンが少し描かれているが、このプロットをもう少し膨らませれば話に深みが出ると思うのだが、ここもあっさり・・・。
 それでも、この映画を見てしまうと靖国神社に参拝したくなる人が出てくるのではないかと考えてしまう。
 そして、これから公開する「パッチギ!LOVE&PEACE」と並び特攻隊絡みの作品で、両作品共に特撮が素晴らしい、作品の評価は別として特撮ファンは必見の作品である。

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映画『サスペリア」の心霊について。

2007-05-13 14:07:54 | Weblog
 12日のTBS「ドッカーン!」の心霊のコーナーで、イタリア映画のホラー作品『サスペリア』の冒頭のタクシーのシーンで心霊が写っていると騒いでいたけど、知っている人は知っているかもしれないけど、あの顔の正体は???

 シーンのプロットは、空港に降り立った主人公が、嵐の中タクシーに乗り込み、運転手に行き先を告げる時に、雷の光と共にタクシーの運転席の仕切りのアクリル板に大きく口を開けた男の顔が映っているのだけれど、この顔を良く見ると監督のダリオ・アルジェントの顔なのです。

 多分、狭い車内の撮影なので監督自身がカメラを回す為に、俳優と一緒に後部座席に座り、撮影に没頭して、撮影している顔がアクリル板に映ってしまっただけの事で、テレビが心霊映像として面白おかしく取り上げているだけの事です。

 ちなみに映画『サスペリア』は傑作ホラー作品なので超必見です。










大阪の遊園地でコースター車輪脱輪で一人死亡。

2007-05-05 22:55:21 | Weblog
大阪の遊園地でコースター車輪脱落、1人死亡21人重軽傷(読売新聞) - goo ニュース

 楽しいはずのGWの遊園地で、こんな事故が起こるなんて信じられない。

 亡くなった女性も自分の運命が、こんな形で終わりを遂げるなんて想像していなかったと思うと不憫です。

 しかし、映画の世界では今回の事故が予言されていたように、昨年公開されたホラー映画「ファイナル・デッドコースター」では、ジェットコースターでの死亡事故で生き残った人々が悪魔に魅入られ運命を翻弄させられる作品で、「ファイナル・デスティネーション」「デッドコースター」に続く、人気シリーズの第3弾として公開されている。

 こんな事故は映画の中だけの話と思っていたのに、まさか日本国内でこんな事故が起きてしまうなんて・・・。

 事故で亡くなられた女性のご冥福をお祈りいたします。










映画「スパイダーマン3」を鑑賞。

2007-05-04 16:58:14 | Weblog
 映画の話
 今やピーター・パーカーの人生は順風満帆そのものだ。スパイダーマンとしてはNY市民にヒーローとして愛され、大学では成績トップ、ブロードウェイ・デビューを果たした恋人MJとの関係も良好で、ついにプロポーズを決意する。ところが、謎の黒い液状生命体に取り憑かれ、復讐と憎しみの感情に支配されたブラック・スパイダーマンになってしまう。そんな彼の前にこれまでになく手強い敵サンドマンとヴェノムが表れる…。

 まずお馴染みのマーベルのタイトル、そしてダニー・エルフマン作曲のテーマ曲に載せて1、2作目の映像を交えてのオープニングタイトル。今回は音楽がクリストファー・ヤングに交代したそうです。
 でも今回は、なかなかスパイダーマンが出てこない。映画最初のクライマックスのハリー扮するニュー・ゴブリンとのビルの谷間での壮絶な攻防戦もピーター・パーカーのままで、腕からポンポン糸玉を発射されても、ちょっと違和感。
 そしてお馴染みの原作者スタン・リーの登場!今回はいいセリフもあって印象的、お楽しみに。
 今回は新キャラとして、ピーターの育ての親の叔父ベンを殺したフリント・マルコが登場、って言うか1作目でピーターが復讐した男は何だったの?原作は不明だが、かなり脚本が強引。
 それからピーターのライバル記者エディが後半大事なキャラとなって行く。
 そしてMJの恋的になるグウェン・ステイシーを「レディ・イン・ザ・ウォーター」のプライス・ダラス・ハワードが演じている。私は映画を見ている間ハワードとは判りませんでした、彼女がこんな役も演じられるのかと感心しています。
 
 映画の感想
 まず上映時間が長い。2時間位に収めて欲しかった。長い理由は随分と話に色々と盛り込みすぎのような気がした。今回のテーマは「赦し」だったそうで、ピーターの叔父ベンを殺した犯人、そしてハリーの父を殺したスパイダーマン=ピーターへの復讐。赦しは、映画の中でも謎の生命体に心を操られ自我を忘れたピーターが管理人親子を怒鳴りつけ、自我を取り戻したピーターの謝罪を快く受ける管理人親子など、随所に赦しが散りばめられている。
 それにしても自我を忘れたピーターのシーンはやり過ぎ感があった。黒いスーツに身を包み髪の毛も黒くなり、髪型も前髪を垂らしたストレートヘアになり、町を歩く女の子達に自分をアピールする姿は「サタデーナイト・フィーバー」のジョン・トラボルタを見るようで苦笑。
 MJの働くライブスポットにも乱入してMJの邪魔をして楽しむピーター、このシーンはミュージカル調で面白い。
 特撮面で見てもCGの出来は素晴らしい、サンドマンの(フィギュアにするのが難しそうな)形態を重視した地下鉄でのスパイダーマンとの対決や、スパイダーマンの分身とも言えるヴェノムの造詣や動きや表情など3Dアニメの真骨頂と言えるだろう。しかし、ヴェノムの原点でもある謎の液体生命体の正体は最後迄よく判らなかった。
 頂けないのは巨大化したサンドマンが安易で、このまま行ったら東映の「スパイダーマン」で活躍するロボット「レオパルドン」が出てきてもおかしくない状況だが、感動的な展開に持っていくアメリカ版の旨さを感じた。でもシリーズを見てゆくとスパイダーマンの恋人にはなる物ではないとつくづく感じた。
 今回は多分、スパイダーマンの初めの3部作が終了した感があり、サム・ライミの演出も余裕を感じさせられ、特にコメデイシーンが面白く、フレンチレストランのシーンでは、ライミの盟友ブルース・キャンベルが大活躍だし、編集長との絡みではライミの弟テッド・ライミも登場する。
 ライミの演出で旨いのは、常にスパイダーマン活躍や敵キャラを見ている市民の目線が描かれている所に感心するのと、スパイダーマンへの愛情を感じさせられる。ラストは不覚にも涙が溢れてしまった。
 尚、これから鑑賞する方は「スパイダーマン」の1作目を見直してからの鑑賞をお勧めします、本作は1作目から強い繋がりがあるので注意が必要です。

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