ムーミンの生みの親、トーベ・ヤンソンが生まれて、今年で100周年を迎えるそうだ>
フィンランド本国でも回顧展などのイベントが開催されているようだが、ムーミンファンの多い日本でも、ムーミンの原画・習作約200点が出展される「MOOMIN! ムーミン展」がまずは松屋銀座で開かれている。
平日なのに混んでいた。
ムーミンの絵はかわいい。
ただ可愛いだけではなく、物語を語りかけるようであり、なんだか不思議な胸騒ぎがする。
日本では「ねぇ、ムーミン♪」の歌とともにアニメが一躍人気となったので、いまでもフィンランド人の画家・イラストレーターで童話作家でもあるトーベ・ヤンソンが生み出した物語であることを知らない人が多い。
しかし、トーベ・ヤンソンは国際アンデルセン賞を受賞した、国際的に有名な女性の作家である。
アメリカ人の英会話の先生のパトリックは、ムーミンそのものを知らないと言っていた。アメリカではそんなに知名度はないのだろうか?
日本はなにしろアニメが素敵なできばえだったので、ムーミン人気に火がついた。
とはいえ、ムーミンはまぎれもなくトーベ・ヤンソンの物語をベースにした、トーベ・ヤンソンの世界である。
さて、展覧会で「ハル、孤独の島」というDVDを手に入れた。
ヤンソンは1964年、50歳の頃にヘルシンキのはるか沖にある小島「クルーブ・ハル」に小屋を建て始め、1991年、77歳で引き上げるまで、ほとんどの夏をこの島で過ごしたそうだ。
「電気も水道もない、歩いて8分で一周できる」小さな島!
このDVDは、トーベ・ヤンソンと、ともに夏をすごしつづけたグラフィックアーティストのトゥーリッキ・ピエティラが撮影した8ミリカメラのフィルムを構成したドキュメンタリーである。
島での生活がどのようなものだったのか。
自然の中での共同生活。
ちなみにピエティラは女性である。
長年、トーベ・ヤンソンのパートナーとして、友達として行動をともにした人だ。
島の暮らしは、落ちついていて幸せそうだ。
二人の芸術家は、何にも邪魔されることなく創作に打ち込めるのだ。
きっと、二人にとっては理想的な生活。
だから20年以上も、続けられなくなるまで、島での生活をつづけたのだと思う。
ヤンソンはどのような思いで、その生涯を生きたのだろうか…。
ドキュメンタリーの最後では、年老いたトーベ・ヤンソンの姿が映し出される。
自分があるとき急に力がなくなったこと。
やる気が出ないこと。
昔のように魚をたくさん食べられなくなったこと。
そして何よりも(あろうことか!)海が怖くなったこと。
そこで、ずっと夏に続けてきた小島での生活を引き上げることにしたのだ、とヤンソンは語っている。
8ミリカメラで撮影されたおびただしい量のフィルム。
そこから生まれたヤンソンとピエティラの物語(ドキュメンタリー)
ほんとに面白いと思うのだ。
ムーミン展は5月6日まで。
そのあとに、全国9ヵ所を回るそうだ。