

ちゃんと、間をおかずに新しい本を訳出してくれる。
このあいだ『暗く聖なる夜』を読んだばかりと思っていたら、もう次の訳本が出ました。
『天使と罪の街』(講談社文庫)、原題は“THE NARROWS”。
毎度本の邦題にケチをつけて、ケツの穴の小さいやつだと、ケッテイされると、ケトばしてやりたくなるんです、なんて乱暴な言葉づかいは、ほれ、いけませんことよ…。
興奮して、すみません。どこぞの親父にまで軽蔑されそうな、まんずい親父ギャグでした。

わざわざボッシュが、本の中で次のように語っています。
「一年の大半の期間、そこはたんなる小川にすぎない。市の冗談みたいな川だ。だが、ひとたび暴風雨がやってくると、蛇を目覚めさせ、力を与えるのだ。ロサンジェルスの雨といとなり、何億リットルもの水が飛びだそうと荒れ狂う。恐ろしい力と勢いで動きまわる。…母は、わたしが幼いころから繰り返し、わたしに言い聞かせていた。雨がふったら……。
『ナローズ・狭い川に近づかないように』…」
そして、このナローズは、事件のクライマックスで大きな意味をもつんです。

なのに、去年の『暗く聖なる夜』がヒットしたからといって、編集者ときたら、次は『天使と罪の街』でいきましょう、ときたもんだ…。
おお、こんな三文小説っぽいタイトルは、なしでしょう、と思うのはわたしだけ?
