30代半ばの人とカラオケをしたとき、ピンクレディのサウスポーを本人映像で歌うと
「どっちがミーちゃんでどっちがケイちゃんですか?」と聞かれ驚いた。
朝の挨拶は「おはよう」って言うくらいに誰でも知ってることだと思っていたから。
でもそうか、わたしでさえ小学生だったのだから、彼女らが活躍したのは、この人が生まれるずっと前である。
ちなみにわたしが子供の頃は圧倒的にミーちゃんの方が人気あったのだけど
わたしは魔女っ子メグならメグじゃなくてノンが好き、ガッチャマンならジョーが好き・・・
というタイプだったので、当然ケイちゃんが好きだった。
どっちが好き?とその人に聞くと、即答で「ケイちゃんです」。
それはなんとなく分かる。
昔はミーちゃんみたいな、日本人離れしたスタイルや華やかな容姿が人気あったけど
今はケイちゃんみたいにあっさりしたしっとり系の方が人気あるかもしれない。
ま、好みはそれぞれですけど。
子供の頃に懐メロ番組などをよく見ていたので、自分の世代ではない歌手もわりと知っている。
ピンキーとキラーズとか。
越路吹雪とか。
先日、ジャッキー吉川が亡くなったときには
「誰だっけ?」という母親に
ジャッキー吉川とブルーコメッツの人だよ!
すらすら答えたが、リアルタイムでは全く知らないのだ。
最近も懐メロ番組を見る機会があったのだけど、昔の歌手と今の歌手の大きな違いは
「みんな大人っぽい」ということだ。
いしだあゆみの25歳の頃なんて、ものすごくきれいでよく見るとお肌もピチピチなんだけど
今の感覚では、衣装も髪型も40歳くらいに見える。
そして男性歌手は、わたしが子供だったからおじさんに見えたのかと思っていたけど
今見ても、35歳?これで?とか驚くくらい老けて見える。
たぶん昔は大人であることが素敵だったので女性歌手はみんな大人っぽい化粧や衣装だし
男性歌手も若作りはしなかったんじゃないかしら。
今は若さこそ魅力、という風潮なので昔の人と比べると同じ年でも子供のように見える。
ま、平均年齢もずいぶんのびているからちょうどいいのかも。
昔の歌と、ここ25年くらいの歌の一番の違いは「ドラマティックさ」だと思う。
とにかく昔の歌はドラマティックだ。
歌手も全身全霊を込めて歌い上げるのだが、内容がドラマティック。
恋愛の歌は、30年くらい前にはもうだいぶんあっさりした歌が出始めているのだけど
それ以前の恋愛の歌って、とにかくもう命がけというかこの世の終わりっていうか。
「恋愛」というものが隠すことなく謳歌され始めた頃なのだろうか。
まだノウハウもないし、未知のものに対する憧れや戸惑いが溢れんばかりだ。
それが平成も近い頃には、すっかり恋愛慣れして
「そればかりが全てじゃないけどね」というようなライトな歌が増えてくる。
恋愛くらいで生きるの死ぬのっていうのはちょっとカッコ悪いよね・・・って感じ。
それにしても昔の歌手は歌が上手い。
いや、今も上手い人は多いんだけど、とにかく歌い上げるのが流行らないので
上手さを強調できないというか。
さらっとした内容をさらっと歌われてもグッとこないというか。
そう、昔の歌ってグッとくるのだ。
子供の頃、ジュリー(沢田研二)が好きだった。
今見たって、ものすごくかっこいい。
格好良さでいったら今の男の子たちにもかっこいい人はいるんだけど
ジュリーにしかないものがひとつある。
それは「悩ましさ」。
樹木希林が身をよじって「ジュリ~」っと叫ぶのも分かるほどに悩ましい。
この、悩ましさの定義って難しい。
色気も含むんだけど、それだけじゃないし。
セクシーというのともちょっと違うのだ。
相手にアピールしているというより、自らの苦悩により発散される悩ましさ。
わたしの解釈ですけど。
今の男の子に、悩ましい人はいないなあ。
というか、昔だって悩ましいのはジュリーだけだったのかも。
小学生のわたしはジュリーの悩ましさと「鳴門秘帖」の田村正和の色気にグッときていたのだ。
おませだったなあ。