まりはな屋

地方都市で、清貧生活  

その子は今頃、なにしてる

2020年05月16日 14時06分15秒 | 日々雑感
夕方の散歩コースには陸橋がある。

渡らなくても向こう側へは行けるのだが、必ず渡る。

陸橋が散歩のメインかもしれない。

子供の頃から高いところが好きで、押し入れの2段目とか天井裏とか梯子にのぼるとか大好きだった。

前の職場では2mの脚立に乗って電球を取り替えたりしていた。

なので陸橋にしばしたたずみ、下界を(というほどの高さではないですが)見下ろしたり

夕日を見たりするのも楽しいのだが、陸橋に長くたたずむと誤解されるかなーと思うのだ。

高校生の頃、行方不明になったことがある。

正しく言うと『行方不明になっていると間違われたことがある』だけど。

当時わたしは、遅刻の常習犯だった。

と言うといかにも悪い子だったようだが、地味で真面目な高校生だった。

その頃、朝の連続テレビ小説に夢中で、見終わるとすでに8時半。

校門は8時45分に閉まる。

学校は、家からどんなに急いでも自転車で15分はかかる。

いつもギリギリ入れるか入れないかなので朝のホームルームには

遅れるか、間に合わないかのどちらかなのだ。

その日は、間に合わなかった。

担任とは顔を合わせず、当然朝の出欠確認にも間に合っていない。

しかし、そんなことはしょっちゅうなのだ。

そのまま1時間目の授業が始まり、何食わぬ顔で授業を受けていた。

しばらくして学年主任の先生だか誰だか、忘れてしまったけど

血相変えた先生がいきなり教室の戸を開けると、ぐるりと生徒を見まわし

ぴたりとわたしを見据えると「いたか!」。

きょとん、である。

さっきからずっといた。

呼び出されて聞かされたことは思いもよらぬことだった。

XX駅近くの陸橋で、通っていた高校の制服を着た、わたしによく似た女の子が

思いつめた感じで立っているという情報が入ったのだという。

XX駅・・・行ったこともない。

それはわたしではない、と言っても信じてもらえない。

何人もの先生に呼び出されたが、わたしではないとしか言いようがない。

当時わたしの通う高校の制服は珍しく、他に似た制服の学校がなかったので

目撃者も先生たちも絶対にここの生徒だ、と言い張る。

そしてその時間に、教室にいなかったのはわたしだけなんだそうだ。

いたんだけどな。

狐につままれたような話だ。

今でも陸橋にたたずむと思い出す。

わたしに似ていたという女の子。

一体誰だったのだろう。

それからわたしは、陸橋には長時間たたずまないようにしている。

通報されちゃうから。









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