まずは未来を語る前に
今直面している現実を知らなければならない。
なぜならば
私たちは現実からしかスタートできないからである。
―ピーター・ドラッカー―
何十年も活動してきたＮＰＯ法人。
メンバーもだんだん歳をとり、ついにこの春、解散することになった。
実質的な活動ができない私は、イラストで参加してきた。
先日代表であるＳさんから、これまで機関紙に掲載してくれていたイラストが送られてきた。
どれも丁寧に保管してくれていた。
こんなにもたくさんの絵を描いてきたのかと、その歳月に驚く。
もともと地元ではないＳさんの手紙に、仕事も辞め、今新しい土地に引っ越しの準備をしていると書いてあった。
私と同年代のＳさん。
優秀なひとで、彼女からは沢山のことを学ばせてもらってきた。
こうして遠くに行ってしまうことを知ると、何だか取り残されたような気持ちになる。
先の見えない世界。
彼女は、どこに行ったって、揺るがずに前を見て生きていくのだろうな。
そのことを思えば、大丈夫。淋しくはない。
私も私なりに、これからを生きていこうと思う。
長女から母の日のプレゼントが届く。
きれいなカーネーション。
美味しいお菓子までついて、更に嬉しい贈り物だ。
娘たち、いつもいつも気にかけてくれている。
それなのに、今回は入院中の母のことで余計な心配をかけてしまった。
頼りない母で申し訳なく思っている。
ありがとうは、私が娘たちに言う言葉。
心配かけないようにしっかりするからね。
そろそろ母の退院も近い。
天気の日をねらって母の寝具を乾燥し、シーツやカバー類を洗濯する。
今年のゴールデンウイークは、どこにも行かず基本自宅で過ごした。
こんなに気持ちが解放された時間は、これまでの人生で初めてではなかったな、と思う。
母が退院したら、それこそ難題がやま積みだ。
それを考えると、一気に気が重くなる。
ふと庭を見ると、一房だけとてもしっかりとした姿で咲いている花。
ああ、母子草だ。
何だか意味深く、しばらく眺めていた。
