東京。
この化け物じみた都市について、どこから語りだせばいいだろう?
ここは僕にとってあまりに巨大で複雑で、俯瞰して都市論を繰り出してみても、地図の表皮をめくり地理や歴史を遡ってみても、1400万人の都市生活者が日々流転する「東京」の全体は見渡せないし、掴めない。
都市とは、どの角度から眺め、光を当てるかによって、自在に表情をかえ、そこに生きる人の数だけの幸福論を、ビジュアライズして惑わす寂しい多面体である。(宮本武典)
川村亘平斎の影絵(彼はバリの伝統影絵を駆使する人)と、小暮哲也さんの写真とともに、19か国60人の人の東京への思いがリアルに伝わる不思議な本。
日本人も外国人もない。大都会東京に暮らす等身大の人たちの言葉や存在が、影絵とともに立ち上がってくる。時々手にとって眺めたい本。