井沢満ブログ

後進に伝えたい技術論もないわけではなく、「井沢満の脚本講座」をたまに、後はのんびりよしなしごとを綴って行きます。

日本選手は美しい

2019年02月01日 | 日記

東京は雪だとされ、積雪が報じられたが雨である。
空気入れ替えのために開け放った窓から、路上を走る
車の音が湿っていて、まだ降っているらしい。


今日は浅草の天丼専門店のことを書こうと思っていたのだが、
アジアカップ決勝戦が今日だと思えば、心が逸る。

そういう時に、相手のカタールのエースを含む2選手が代表資格を
満たしてないという報道がUAEメディアによって報道され
物議をかもしているようだ。

資格無しの根拠は、国際サッカー連盟(FIFA)規則の第7条。
「18歳になった後、関係する協会の域内で少なくとも連続5年間にわたって
暮らした選手」に代表選手の資格が与えられるという項目だという。

2選手がこの条件を満たしていない。
私には不案内の領域で解らぬがしかし、カタール側は浴びせられる
記者団からの質問にまともに答えていないことから、あるいは
事実か、とも思う。

曰く、

「我々は明日の試合だけにフォーカスしていて関与していない」
「これまでと同じように取り組んで、最後まで戦って優勝を目指すだけだ」

別報道では、「我々はもう1日ここにいる。明日の試合だけに集中している。サッカーの観点と関係のない他のものは、現時点で我々の心にない」

疑義には向き合わず、逃げているのではないか。

あるいはご批判を受けるかもしれないが、日本人選手だけでなるチームが
清々しく感じる。海外では屈強を外国人から選抜しての寄せ集めチームが
多いのではないか。

日本の清々しさは選手個々も同様で、たとえばキャプテンの吉田麻也選手。
カタールとUAEの泥仕合は観客席でもそうであり、相手国歌に対しての
ブーイング。カタールが得点すれば、スタンドからはペットボトルやサンダルが投げ込まれる。日本では考えられないことであろう。

国交のない両国間の泥仕合を背景に戦うことについて、キャプテン
吉田麻也の英語によるスピーチが見事だった。

ピッチ外の騒動に関しては「それはAFCがコントロールすべきことだと思う。我々のコントロール外にある」

「我々がすべきことは自分たちにフォーカスすること」

「自分たちをコントロールするにはメンタルが重要で、特にアジアではそう。審判のジャッジも日本のスタイル、欧州のスタイルと異なるが、我々は大会を通して適応し、ここまでの6試合はうまくプレーできている」

「もし明日の試合が世界中に放送されるなら、僕はそうした愚かなことは見たくない。我々はアジアを代表しているし、『Bringing Asia Together』というハッシュタグの下でプレーしている。アジアのすべての選手が良いサッカーを見せることが重要だと思う」

「明日もフェアプレーでカタールと戦うことを楽しみにしている」

「(試合後に)何人かがホテルのエレベーターでイランのチームと会ったとき、彼らは試合の最後のことを謝ってきた。それがスポーツマンシップ、フェアプレーだと思う」

「明日も両チームが100%の努力をして、フェアプレーで戦うことを期待している。良い試合を世界中に見せたいし、それが日本だけでなく、アジアのサッカーにとって次のステップになると思う」

・・・・惚れた。無作法な質問は彼我問わずだが、それを完膚なきまでに打破する見事な答である。しかも英語で。日本語すらおぼつかない日本の政治家のコメント、わけても岩屋毅外相とつい余計な比較をしてしまうのだが、それにしても英語が達者なアスリートが多いことに驚かされる。

羽生結弦くんもそうだが、錦織選手、ゴルフの・・・・名前が出て来ない。他にも複数。しかも、外見さえ美しい。天は二物を与える。

今日の決勝戦に日本が勝って欲しいと素朴に思うが、
自国贔屓からのみではなく、フェ
アプレーの侍魂が、
ダーティさに打ち克つところを
世界に見せて欲しいと思うのだ。

頑張れ、日本。

余談だが、森保一監督が敗者であったヴェトナムの監督に、
両手を握りしめ慎ましく腰をかがめている画像がヴェトナムで
称賛されている。
これぞ、ニッポンと。
写真が素敵だったので探しているのだが、見つからない。
・・・・・あった。

http://kaigainohannoublog.blog55.fc2.com/blog-entry-2956.html

移動便では20席しかない良席を選手に譲り、自らは若手と
一緒にエコノミー席だったということも伝え聞く。
選手と共に監督も誇らしい。穏やかないい顔をなさっている。

頑張れ、日本。

と心から声援を送る。


11 コメント

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日本語の乱れが気になります。 (ヒノモト)
2019-02-03 13:33:27
先生、こんにちは。
恐れながら、政治家の日本語批判をされるのであれば「完膚なきまでに見事な答え」の部分は見直しされるよう、ご助言いたします。

そして、日本人なら
英語を達者に使えることよりも
正しく日本語で話すということこそが大切なのではないでしょうか。
いくら外国語が使えても
「父、母、祖父、祖母…」と「お父さんお母さんおじいちゃんおばあちゃん…」との使い分けもできないようでは。
羽生選手や石川選手の英語は、それらしく聞こえる代表的な枕詞にシンプルな単語を組み合わせただけの英語です。義務教育で習う英語の基礎と、ある程度の経験や練習で身につけることが容易です。

昨今、例えばテレビの報道・情報番組ですが
コメンテーターの類に留まらず、ベテランアナウンサーの方たちの日本語の誤用、汚い言葉遣いの多様が目立ちます。
たにんごと・もろはのけん・違和感を感じる…など
古株の局アナが堂々と。

言葉を生業とする方々には今一度襟を正していただきたく
コメント欄にお邪魔した次第です。

失礼いたしました。

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ヒノモト様へ (菜の花)
2019-02-03 17:38:10
初めまして。

ちょっと、解らないの書かせて頂きます。

>「完膚なきまでに見事な答え」の部分は見直しされるよう、ご助言いたします。

なぜでしょう。和訳で紹介された吉田麻也キャプテンの回答は完璧だったと思いますが?

日本語とごっちゃになさっていませんか?

>政治家の日本語批判をされるのであれば「完膚なきまでに見事な答え」

政治家の日本語と、吉田麻也選手の英語は同じ俎上には上がりませんよ?
日本語と英語の比較自体がのっけから、ムリです。

先生が触れたのは、吉田選手のコメントの「内容」であり、その日本語に対してではありません。日本語で述べられた内容ではないですから。

その見事な内容すら岩屋大臣他が喋れない人がいて、また日本語自体もおかしいという趣旨です。



>英語を達者に使えることよりも
正しく日本語で話すということこそが大切なのではないでしょうか。

これこそ常々、先生のご主張ですが?


>羽生選手や石川選手の英語は、それらしく聞こえる代表的な枕詞にシンプルな単語を組み合わせただけの英語です。義務教育で習う英語の基礎と、ある程度の経験や練習で身につけることが容易です。

その容易な英語をしゃべれないのが、ある年代から上の日本人です。若者でも、あのレベルは平均よりは上と私個人は感じますが。場馴れしているせいもあるのでしょうが、文法英語ではなくジュスチャーや表情を含めれば平均点より上ではないでしょうか。

何だか論旨を混同なさっているようですが、日本人が日本語を疎かにしている、という論旨と若者アスリートの英語がさほどでもない、という論旨と併存させていらっしゃるので、趣旨が分裂しています。

吉田麻也選手の英語は、発音は流暢とまでは行きませんでしたが語彙が豊富で、最後は外国人の記者団から拍手が湧き上がり当の吉田選手が一瞬びっくりしたくらいです。


>昨今、例えばテレビの報道・情報番組ですが

これも常々、先生が指摘していらっしゃることです。

何か基礎的な読み違えをなさっていらっしゃるようなので、脇から失礼いたしました。
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まずはびっくり (靖國蛍)
2019-02-03 20:21:44
かねがね「日本語は国の防波堤」としてまで日本語の大切さを説き、その文章の流麗なことで有名な井沢満に対して日本語を説く人がいたことにびっくり。
井沢氏の文科省受賞理由は「響きのいい日本語」を使う、ということだったと記憶。

二度目のびっくりは、日本語を論じるコメントなのに、貴殿の日本語の文脈に乱れがある点。
井沢氏の指摘した完膚なき、は英語で発せられたその内容であり、原文は英語であるので岩屋大臣他の日本語のまずさとは何ら関係がない。

日本人にとっては、a conventional epithetと単語の組み合わせですら、ことオーラルでは不自由なことは、いまだにそうである。第一、羽生選手他の英語の幼さと(そうは思わぬが)、貴殿がコメントで主張なさる日本語の大切さとどうリンクしているのかが不明。
親切に斟酌すれば、言わんとする所は解らないでもないが、井沢氏の記された内容とは、無縁のこと。
「英語よりまずは日本語をという論」は、別のこと。
貴殿の持論と井沢氏の文章との距離が取れていず、貴殿は、ごっちゃにされている。

これまでの井沢氏の文章の累積を見て、まず氏が日本語の光彩陸離たる柔軟な遣い手であることをある程度心得られてはどうでしょうか。


ご自身の日本語における読解力共に作文力が十全かどうか、日本語を論じるコメントなら、まず隗より始められたし。

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ヒノモトさまへ (白文鳥)
2019-02-03 21:03:11
井沢先生は、美しい端正な文章を書かれる方です。

日本語・国語の重要性をいつも教えて下さっています。

先生に対し、日本語について語ることは、釈迦に説法です。
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美しい日本語 (鳴海)
2019-02-03 22:22:41
すでに何人かお書きになっているので、内容がかぶらないよう注意を払いつつ・・・・・

私がこちらに寄せて頂くようになったきっかけは、「バンキシャ!」常連時代の井沢満先生の話し言葉のきれいなこと、そのきれいな言葉で数十秒間の内に問題の核心をまとめる言葉の魔術師のような鮮やかさに惹かれたからで、書き言葉の美しいことに更に感応し、常連として居座らせて頂いています。

著書も複数冊お有りになり、とりわけ「ゆきの、おと」の美文は見事の一語です。ちなみに面白さという点では「わが家」ですが、この「わが家」でも、砕けた文体ですが日本語のみずみずしいことに変わりはありません。

言葉をこの上なく大切に扱っていらっしゃる達人に何をおっしゃろうとしているのか、さっぱり汲み取れません。襟を正す??? いえ、おしゃりたい趣旨自体は解っているのですが、相手が違いはしませんか? 靖國蛍さんではありませんが、びっくり、びっくり、です。
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一点だけ (tokiwa)
2019-02-03 22:47:51
先生、いつも読ませていただき、ありがとうございます。

ヒノモトさまが
「『完膚なきまでに見事な答え』の部分は見直しされるよう、ご助言いたします」
の一文の中でおっしゃりたいのは、

「完膚なきまでに」に続く言葉が違うのではないですか?ということだと思います。
「完膚なきまでにたたきのめす」とか「完膚なきまでやりこめる」という使い方はありますが

「完膚なきまで」は「完璧」とは逆で、そこのところがよく混同されるようです。
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そうですね (井沢満)
2019-02-03 22:55:07
無礼な質問もあったのに、それを完膚なきまでに打ち返すほど、というつもりであったのがどうしたわけか、抜け落ちていたようです。
ご指摘に感謝します。
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なんだ・・・・ (moon)
2019-02-03 23:32:41
シンプルに一言、ご注意するだけで一発理解だったのに若手の英語へのdisりやらヒノモトさんがごちゃーっと書かれるんで、何を言いたいのだろう? というほうに気を取られ、それ以前に先生にお説教!? とたまげていて気が付かなかった・・・
以前は、先生文章の末尾に「不備は後ほど訂正」と書かれて、その後にご自身で訂正されてたけど・・・・
弘法も筆の誤り、極度に珍しいハプニングでしたね、ってことで。
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日本語の乱れが気になります。のタイトルにびっくりしました。 (芦屋川)
2019-02-04 11:23:26
井沢先生のブログの読者であれば、
先生がいつも、後で書き間違いなどがあれば訂正を入れる、と書いていらっしゃるのは知っていますよ。
ですから、
井沢先生とは関係のない、英語教育・日本語教育の話や、アナウンサーの誤用・言葉遣いやを長々書くのではなく、
言葉の抜け落ちのみを示せばよかったのではないでしょうか。


試合に負けたのは残念ですが、
日本チームが、
ロッカールームをきれいに掃除して、
ありがとう、と、アラビア語・日本語・英語で書いて、去っていったという記事を読み、
うれしくなりました。
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むしろプロにありがち (寒椿)
2019-02-04 12:01:46
同じ文筆の分野にいる者としてかねがね、井沢氏の文章には目を見張って学ぶ点多々。
想念が先立って、指が追いつかず書いたつもりで抜け落ちるフレーズがあるのは、珍しくない。
むしろ書くのが素早いプロに多いことです。
私も校正段階で編集者に注意され、愕然とすることがあります。頭の中では書いたつもりのセンテンスが、脱落しているのです。

今回、井沢氏が赤を入れた箇所を見れば、

言葉の誤用ではなく、

上記の経緯だと知れます。



それより、ギャラが派生するわけでもない、原稿料が出るわけでもない、職業を離れた個人としてのブログに乗り込んできて、累々とある過去の文章の中、僅か一箇所の欠落をつついて、「襟を正せ」などという居丈高な文章を書かれるその無礼と、理不尽のほうが神経にざらついて引っかかります。
しかも、焦点の定まらない悪文で日本語について人様に能書きを垂れることの、おこがましさ。

私もブログを密かに営んでいますが、うっかりミスに関しては「非公開」とした上で、失礼ですがひょっとしてこの意味では? と優しくご注意頂くことがほとんどで、それが人としての、井沢氏もよく使われる「心映え」なのだと思います。
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