井沢満ブログ

後進に伝えたい技術論もないわけではなく、「井沢満の脚本講座」をたまに、後はのんびりよしなしごとを綴って行きます。

ぬか漬けと家と女と

2014年03月28日 | ドラマ

すでに書き上げたドラマ脚本の、細部をいまだ推敲している。

もうこれ以上ない、と思うまでいじっているのだが、しばらく
間を置き、見直すとまだある。

時にはシーン丸ごとカットすることさえ。

頭にまだドラマの世界が色濃く、登場人物たちが一人で動いたり
主張したりするので、お風呂に入っているときなど、その人物が
語りかけてきて、上がるもそこそこ、その人物のセリフに書き足したりしている。

語りかけてくる人物は、配役が決まっている場合はその俳優さんの
顔をしているが、その俳優さんそのものではない。
あくまでもドラマ世界における、誰それさんとして、主張して来るのである。

「ここは私、こういうことは言わないでしょ」
「言うとしても、こういう言い方はしないなぁ」
「えー、私ってこういう動きしませんよー」

と、賑やかなことである。

最終的に脚本をお渡しするまで、脳裏にあるドラマ世界は崩さぬよう
大事に保っていないと、そういう登場人物からの「語りかけ」が消えてしまうのである。

合間に政治的な情報を集めたり勉強したり発信したりしているが、
いまだ脳内のドラマ世界は堅牢なので、影響はない。

今回は演歌と、ぬか漬けが細部ながら、ポイントとして大事なので、「月の法善寺横丁」を
何度も何度も聴き、ぬか漬けを調べ、詳しい人に教わったり勉強中である。

家庭家庭で、ぬか漬けの方法論も、それからぬか床を休める期間もまちまちで
面白いことである。
ぬか漬けは、きゅうり半日、なす1日の勝負で、冷蔵庫のない時代は
3日間以上は、家を空けられなかったので、昔の女達の「家を守る」という
覚悟の証だったのかなあ、などと思いを馳せている。

いまだぬか漬けをなさっている方がいらしたら、ぜひお宅の流儀を
聞かせて頂きたいのである。
中には祖母・母の代から受け継いで100年のぬか床などあるだろう。
3ヶ月ごとに新たに投入する唐辛子も、いつの間にか糠に溶け込み
また、かき回す手によりけりでぬか床の風合いも異なるのであろう。
ビニール手袋などしないほうがいい気がする。
体温が大事なような。寿司を握るには女の手は温かすぎるというが
糠味噌をかき回すには男の手ではなく、女の手だろう。

私が間接的に知る80歳ぐらいの方は、ぬか床の上の水を
吸い取るのに、ペーパータオルではなく、さらしを使っていらっしゃる。
これも何となく、だがそちらのほうがいい気がする。
ぬか床は生き物なので、それなりの敬意を払いたい。

ドラマの中で、演歌とぬか漬けがいかに生きてくるか、楽しみに
お待ちいただきたい。


17 コメント

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糠床は生き物 (民草)
2014-03-28 21:22:16
糠床は出来ない女がいじってはいけません。昔、実家でイマイチな小母さんが糠床の係りを致しましたら、三日で腐りました。糠床さん、死んじゃったんですね。大騒ぎで新しく作り直しましたが、味が落ち着くまで、結構時間がかかったのを覚えています。
母は冬場に絞りたての酒粕と柚子を入れていました。
その糠床も母が老いて寝たきりになった時に駄目になってしまいました。

東京大空襲の話と原爆の話ですが、思い出した順に投稿させていただきます。折角のネタになるかもしれませんので、非公開でとお願いする事に致したいと存じます。
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Unknown (井沢満)
2014-03-29 04:37:45
民草さん

>冬場に絞りたての酒粕と柚子

参考になります。


>折角のネタになるかもしれませんので、非公開でとお願いする事に致したいと存じます。

そのまま、ストレートにお話を使うことは致しませんし、また戦争のドラマなど今お金もかかりいつやれるか、解らないことなので、あくまでも自分の勉強とい事で伺いたいと思ったので、公開で皆さんと知識をわかちあうというの、全く構いません。

ただプライバシーが関わるので、非公開がよいというご趣旨ならどうぞそのように。
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おはようございます (achabi)
2014-03-29 07:41:06
糠床、母の代から受け継ぎ、だいたい50年くらい経ってます。
母は、釘を入れ、鷹の爪も定期的に加えてました。鷹の爪は、私も時々変えたりしてますが、釘の代わりに、よく洗ったパチンコ玉をいれてます(*^^*)。

加える塩には気を使います。
今は、天然粗塩に、昆布などが入ってる便利なものがあるので助かりますって

余分な水分は……竹で出来た直径10センチに満たない柄付きのザルがあります。それを糠床に差しておくと、余分な水分が溜まって来て、それを掬い出すやり方を、ずっと続けてます。

確かに、素手でかき回す方が馴染む様な気がしますね。手もスベスベしっとりになりますし。

余談ですが。
米糠を手拭いで作った袋に入れて廊下を磨くと、米糠の天然油でピカピカになります。
これも、母かは自然に教わった方法です。


糠漬け。ミョウガやキャベツも美味です!
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追伸 (achabi)
2014-03-29 07:48:18
夏場は流石に一泊止まりでしたが、それ以外で2~3日留守にする時は、糠床の上に約2センチほど粗塩を敷き詰め蓋代わりにして、腐敗&防虫をしてました。
それでダメになった記憶も無いので、効果はあったのかと思います。

ただし、今の日本の夏の気候では無理ですね。
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我が家 (こーまぁ)
2014-03-29 09:30:28
我が家の糠味噌は約15年で新人ですね
娘や妹に糠床を分けましたが…どうも上手く行かない…今は食べに来るだけです(笑)相手を見るのかしら…です
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面白いですね (井沢満)
2014-03-29 10:56:39
achabiさん

釘とパチンコ球は何のためでしょう? ちらっと昔
入れることじたいは聞いたことがあるような気がしますが。

粗塩の威力は凄いですね。

米糠はそうでした。廊下磨き柱磨きに昔は使ってましたね。これ、ドラマで掃除するシーンがあるので、使ってみます。


こーまーさん

マメなひとは、タッパーでも気軽にぱぱっと漬けてますねえ。

キムチの乳酸菌をいいますが・・・・私は素材の味わいがそれぞれに生きる、ぬか漬けのほうが好きです。

細かく刻んで,おかかプラスであれこれしたり。冷奴の上に載せたり日本ならではですねえ。お茶漬けもいいし。自家製のぬか漬けが食べられる家族は幸せです。それだけ管理する人は手がかかりますもんねえ。

手が白くなるって聞きました。
毎日かきまぜていると。


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Unknown (achabi)
2014-03-29 11:16:25
釘やパチンコ玉を入れるのは、漬物の色合いを良くする為と伝え聞いてます。特にナス紺と言われる色を出すのに効果があると。

釘は、手を傷付ける可能性があるので、今ではパチンコ玉を入れる方も増えてます。

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 (こーまぁ)
2014-03-29 11:38:05
釘やパチンコ玉はなすの色を良くしてくれるのでは 私もパチンコ玉を
ネットに入れて下の方に忍ばせて(笑)いますが
なすはミョウバンと粗塩で
もみ込んで漬けると
綺麗な 色が出ますよ
愛する?家族のために
せっせと漬けます
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男のぬか味噌 (チャラマンマ)
2014-03-29 13:22:12
いつも拝見しています。ありがとうございます。
主人が漬け物が好きだと言うので、結婚以来糠味噌をつくっていました。
旅行等で何度もダメにしまして、その都度作り直していましたが、いつとはなしにやめて十数年。
定年して一年頃経った主人が突然ぬか味噌を作り始めたのです。
私の助言?と主人の工夫と、大きな肉厚の手のひらで、1日何度もガシガシとぬか床をかきまわし、文字通り手塩にかけ、春頃始めて夏には、ザ・ぬか味噌の味に。
久しぶりに我が家の漬け物に大喜びで、
毎日、ちょっと冷やした物をどんぶり一杯(時二杯)、夏の最高のおかずとして食べていました。
そして初秋、二人揃って高血圧になってしまいました!
夏に食べ続け他姓かもしれないと、泣く泣く糠床を処分しました。
今でも、炊きたての御飯と糠床からだしたてのきゅうりと茄子(こここだわり)と思っています。
因みに糠床の水は糠上部に窪みを作っておいて溜まった水をお玉ですくっていました。邪道ですね。
ぬか味噌臭い話しで、失礼しました。
これからもブログ楽しみにしています。
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昔話 (民草)
2014-03-29 19:15:54
御言葉に甘えまして、両親の大空襲当時の話です。皆様で御覧下さい。

母親は好奇心の強い人でして、結婚前は女性飛行士とか乗用車の運転手・無線技師に憧れていたようです。
其の知識が大変役にたったようです。先ずB29が単機で飛行したのを見て、「これは来る」と思い、それなりに覚悟したそうです。
で、警報が鳴った時にありったけの米を研ぎ、ありったけの釜に仕込んで、それらの上にトタン板と瓦を乗せて置きました。それから為るべく身軽にして、B29の進行方向を見定めて、直角方向に家族と共に走りに走った。
真っ赤になった夜空を眺めて両親は「ああ、本当に日本は負けてしまうのだ。」と思ったそうです。
夜が明けて、燻る中を家まで帰り着き、トタン板と瓦を退けると、いい具合に御飯が炊けていて、庭に作っておいた小さな防空壕から出した塩だの梅干だので、オニギリを作り、帰ってきた近隣の方や通り掛りの方に差し上げたそうです。勿論、家は全焼でしたが家族には怪我一つなかったそうです。

今回は此れで失礼致します。
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