井沢満ブログ

後進に伝えたい技術論もないわけではなく、「井沢満の脚本講座」をたまに、後はのんびりよしなしごとを綴って行きます。

日本語の宝庫 唱歌と童謡

2015年06月07日 | 日記

朝、日本テレビを見ていたら、局としてのプロジェクトの一環に、プロの歌手を学校に

派遣して、唱歌や童謡を歌ってもらうというのが紹介されていた。

おぼつかない記憶によれば、確か東京は練馬区の下石神井小学校の校長先生だったと
思うが、
日本テレビのプロジェクトを受け入れる理由として「たおやかな日本語を生徒に知って欲しい」とおっしゃっていて、

かねてより文部省唱歌と童謡が日本語と、日本の情緒の宝庫だというのが

持論である私は、思わずその校長先生の手を握りしめたくなった。

先生は「たおやか」という言葉は使われなかったが、それに近い表現だった。

先生の使われた言葉は、記憶から滑り落ちている。

ソプラノ、メゾソプラノ、テノール、バリトンで構成される歌い手の皆さんは、

まず校歌を歌い、それから唱歌、童謡とマイク無しで滑舌よく歌い上げる日本語の

心地よさ。

子供たちも、しっかり聴き入っていて頼もしく、また心から嬉しいことであった。

音楽の時間に今の流行歌を歌わせるのも、親しみという点ではよかろうが、

どうぞ、唱歌と童謡をと思うのだ。

廃れさせたくない日本の言葉と情趣の宝庫であるから。

 

     (1)                       (2)
木枯らし途絶えて 冴(さ)ゆる空より    ほのぼの明りて 流るる銀河
地上に降り敷く 奇(くす)しき光よ      オリオン舞い立ち スバルはさざめく
物みな憩える 静寂(しじま)の中に     無窮(むきゅう)を指差す 北斗の針と
煌めき揺れつつ 星座は巡る        煌めき揺れつつ 星座は巡る

 

「冬の星座」(訳詞・堀内敬三 )からだが、

この短い歌詞の中に、「降り敷く」「奇すしき」「しじま」「星座が巡る」「ほのぼの明かりて」
「オリオン舞い立ち」「スバルはさざめく」「無窮」と、喪いたくない言葉と感性が
びっしり詰まっているではないか。

今どきの流行り歌にはない、語句と感性があるのは、旧い演歌も同様である。
かつては忌避していた演歌に、しみじみと聴き入ることがある。

昔の作詞家には言葉の達人がいた。


7 コメント

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訂正のお願い (ヒゲジイ)
2015-06-07 17:44:36
動揺→童謡

いつも面白く読ませていただいております。
奇抜さを意図するのでなければタイトル行なので訂正をお願いします。
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タイトルが… (こがらし)
2015-06-07 17:45:36
井沢先生
いつも拝読させていただいています。
タイトルの「動揺」」は「童謡」の誤変換と思われます。
如何でしょうか?
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訂正しました (井沢満)
2015-06-07 19:00:22
ものすごい変換ミス、気が付きませんでした。

ありがとうございます。
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Unknown (平凡な主婦)
2015-06-08 00:14:00
井沢先生、こんばんは。

童謡、唱歌は、ほんとに素晴らしい作品だらけで、学校教育の場から消えてほしくないですね。
特に気持ちがピュアな小学生の間に、どんどん歌わせてほしいと思います。

現在、学校では若者に人気のあるJPOPなどか採用されているみたいですが、
そんなものを学校で教える必要があるのでしょうか。
学校で教えるべきは流行歌では無いことは、言うまでも無いことなのに、
まるで子供に迎合するかのようなものは「教育」とは言えません。

それと卒業式に歌う曲で「仰げば尊し」が消えつつある気がします。
というか、もう消えてしまっているのでしょうか。
私はこの曲は素晴らしいと思うのです。
本来あるべき教師と生徒の関係と、その関係を育む場所である学校が、
こんなに素晴らしいものなのだ、ということを再認識できる曲です。

子供たちや生徒たちの側から「是非、卒業式には仰げば尊しを歌わせてください」という、
声が挙がるような教育現場であって欲しいと、切に願います。

お邪魔しました。
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わたくしも (toko)
2015-06-08 05:45:38
卒業式には「仰げば尊し」に一票。
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唱歌 (風鈴)
2015-06-08 09:04:14
曲が無くとも歌詞だけでも美しいです。今の季節なら「鯉幟」も素晴らしい歌詞ですね。
「甍の波と 雲の波 重なる波の 中空を
   橘薫る朝風に 高く泳ぐや 鯉幟」

なんと雄々しく美しい日本の風景でしょう!

子供には耳慣れない言葉でも最初は呪文のようにして覚えればいいと思います。大人になって自分のなかに残っている美しい宝石に気づくとき、教わったことを感謝してくれると思います。

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Unknown (葉月)
2015-06-08 18:59:01
「文部省唱歌と童謡は日本語と、日本の情緒の宝庫」
まさしくその通りだと思いました。

目を瞑ればその情景が浮かび、自然や人、全ての物を敬う気持ちが溢れていますね。
美しいと心から感じます。
学校でしっかりと教えていただきたいです。

韓国で幼い頃から刷り込まれるという歌、「独島は我が領土」の歌詞を読んで愕然と致しました。
経度と緯度、気温にイカ、タコ、タラ……って。
日本人の感性とはかけ離れていて、なんだか哀しい気持ちになりました。
けたたましい民族の根底を見た思いです。
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