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なかなか勝てない馬がいる。今日もその馬が走る。
がんばれ、と声が出る。
まなざしは、ゴールの先を見つめている。

イカの不思議

2020年09月19日 14時43分44秒 | 読書・文学
スルメイカの産卵群は一年を通して日本の周りの海のどこかで産卵している。
日本海の南部や東シナ海で主に秋から冬に生まれ、その後日本海を北上する対馬海流や、
太平洋の黒潮に乗って北海道、時には千島列島まで回遊し、
秋以降には再び産卵のために南の海に戻っている。
わずか一年という短い一生をかけて、日本列島を南北に大回遊している。

プランクトンやイワシを食べて成長。
クロマグロやブリなどの大型の捕食魚も、スルメイカを追うように回遊している。

イカの祖先は固い貝殻に覆われて遊泳していた。
もっと昔にはサザエのように海底を這っていた。
10本の腕のうち、先端の吸盤がよく発達した2本の長い腕を「蝕腕」という。
タコにはこの「蝕腕」がないので8本
剛体内には大きな鰓(えら)がふたつ。
ヒレ(ミミIは、体のバランスを保ったり方向転換の補助に使い、蝶の羽のように四六時中動いている。
ミミがこりっとして旨い理由はここにある。

2013年2月、「イカはホントに空を飛ぶ」
北大付属練習船「おしょろ丸」
ヒレを先にして水面から飛び出す。
この瞬間は、ヒレを胴体にピタリと付け、まるでロケットのよう。
飛び出したあとは、揚力を発生させるためにヒレと腕を広げている。
1回の飛行距離は約30m
この行動はマグロやイルカなどの捕食者から一斉に逃げるときのものと考えられている。

世界のイカの種類数@500、タコ@200

イカとタコはどちらが賢い?
イカは視覚認知と遊泳能力に優れ、タコは視覚認知に加えて知覚認知に長けている。
飼育してるイカが、餌をやるとき私を認知することはないが、タコは、私の顔、足音すら認知できる。

一般に、イカ・タコ類は肉食性.
スルメイカは自分と同じ大きさのイワシを、一瞬にして腕(私は足でないと思う)で捉えることができるスピードランナー。
イワシの後頭部を硬いくちばし(カラストンビ)で一気にかじり、
脳から脊髄への神経系を瞬時に遮断してしまうため。こうすれば腕の中で魚は暴れることができない。
さらに大きい魚の場合、最初に頭の硬い部分だけをきれいに切り取ってポイと捨て、
残りの肉の部分をコツコツとかじりながら食べていく。

カラストンビを囲む筋肉は強靭に発達している。
口の中には、歯舌と呼ばれる、のこぎりの細かい刃のようなキチン質の板が整然とならんでいる。
この歯舌で肉片をすりつぶす。
イカが消化できない栄養成分に脂肪がある。脂肪の多いイワシやサンマの切り身を餌で与えると、
細くて白い糞が水槽表面に大量に浮かぶ。
そのためスルメイカの飼育実験では、脂肪分の少ない痩せたサンマの冷凍食品を探すのにいつも苦労している。

平衡石に一日1本の輪紋数ができるので、その数を数えれば誕生日がわかる。
マダコの寿命は1~2年。
体重が30キロまでに成長するミズダコは10キロ以上になると生殖器官が成熟し、寿命は3~5年。

スルメイカの仲間で外洋性のアカイカは、最大5~6キロにもなる大型で「むらさきいか」とも呼ばれ、
天ぷらやソフトサキイカに利用されている。

自然の海ではスルメイカの卵は見つかっていない。
適水温 スルメイカ13~23℃、ヤリイカは7~18℃
餌の魚類の肉質部のみ摂餌し、頭部や脊椎骨は食べない。
12℃以下では餌を食べずに1~2週間で死んでしまう。

イカは確かに明るいところは好きだけど、薄暗いところはもっと好き
スルメイカは成長するにつれて昼は薄暗い深い場所へ、夜は月と星の明かりが照らす浅い場所へと
毎日上下方向に移動している。
日中の生息場所は水深100mより深い場所で、夜は水深50mあたり。
満月の夜はあまり釣れない。
漁船は一箇所にかたまることなく、一定の間隔で操業している。
船同士が近づきすぎると、互いの船底の影の部分をなくしてしまい、イカが船底から逃げてしまうため。

眼は赤い色を判別できず、青から緑の光の範囲で「もの」を見ていると考えられている。

イカは魚群探知機では発見しにくい。
イカ刺し・・・箸で持ち上げてみる、「く」の字に曲がるのは新鮮、「つ」の字に曲がるのは鮮度が落ちている。
「く」の字のほうは「コリコリ感」、「つ」の字のほうは「ねばっとした食感」
「活〆」・・・胴体と内臓の間にある一対の「星状神経節」を引き剥がせば、
胴体への脳からの神経伝達が遮断できる。つまり、「死んだ」という脳からの情報が胴体部分には届いておらず、
その部分は「生きたまま」になっている。
「イカ活チャ器」

スルメイカではオスはメスよりはやく成熟する。
雌雄が互いに接近しすぎると、胴体の付け根の両側の側面に、褐色のスポット斑点を出す。
「イヤイヤ・マーク」「これ以上近づくな!」という警戒サイン。
しかし、オスはこうした警戒マークを恐れず、メスを視覚的に認識し、あっという間にメスに抱きつく。
メスの多くは一回の産卵で死ぬ
産卵後のイカは、産卵直後から長くて数日以内に死ぬ。
卵塊、直径80cm

産卵場は、産卵に適した水温の海域の変化に伴い、季節によって移動してゆく可能性が高い。
主な産卵場は、能登半島以南の日本海と東シナ海
この海域は中国の長江の大洪水の影響を受けて、海表面の塩分濃度が非常に低くなることがある。
異常気象が、海表面近くで生活するスルメイカの孵化幼生にも影響する。
海水の塩分濃度は3.2~3.4%、
3%以下になると奇形の孵化幼生が40%の確率で出現し、
2.4%では受精後1週間以内に全滅した。
スルメイカが塩分濃度の変化に弱いことがわかった。
幼生の生存適水温は15~23℃

スルメイカの遊泳行動は、胴体内に海水を注入させて、その海水を胴体の腹側に突出する漏斗から噴出させるジェット走法。
孵化した幼生は19.5~23℃であれば海面近くに達することができる。
では、24℃以上の高水温の場合はどのような行動をとるのか?
24~26℃と「少し熱い」場合には、幼生は上昇遊泳して上層に入り込み、ほぼ全滅する。
ただし、30℃近い高水温の場合、これを回避して、水温躍層にとどまる。

産卵直前のメスは必ず水槽の底に「座る」。
もしこの行動が実際の産卵場でも起きているとすれば、
水深100~500mの大陸棚および大陸棚斜面上の表層暖水内で、水温18~24℃の海域。

イカは気候変化に伴う海の環境変化に敏感に反応する「環境変化の指標種」

卵塊の大きさは直径17~80cm
卵塊内の推定卵数は4万~20万個



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