
米国を出し抜き、2049年に世界覇権を握るための秘密戦略、中国「100年マラソン」の全貌。
本書は米国における中国専門家として著名であるばかりでなく、米国政府の対中政策に最も深く関わってきたマイケル・ピルズベリー博士の中国論である。その本人が本書の冒頭で、米国は中国の国家戦略の根底にある意図を見抜くことができず、騙されつづけてきたと告白する。この告白は衝撃的である。我々はこれほど中国に精通し、中国要人と交流のあった同博士でさえ中国に欺かれ続け、それを知らずに歴代米国政権が対中政策をピルズベリー博士の助言や勧告に基づいて進めてきた事実を知って今更の如く愕然とする。──森本 敏(拓殖大学特任教授・元防衛大臣) 1990年代後半のクリントン政権時代、著者のマイケル・ピルズベリーは国防総省とCIAから、中国のアメリカを欺く能力と、それに該当する行動を調査せよ、と命じられた。諜報機関の資料、未発表の書類、中国の反体制派や学者へのインタビュー、中国語で書かれた文献をもとに、中国が隠していた秘密を調べはじめた。やがて見えてきたのは、中国のタカ派が、北京の指導者を通じてアメリカの政策決定者を操作し、情報や軍事的、技術的、経済的支援を得てきたというシナリオだった。これらのタカ派は、毛沢東以降の指導者の耳に、ある計画を吹き込んだ。それは、「過去100年に及ぶ屈辱に復讐すべく、中国共産党革命100周年に当たる2049年までに、世界の経済・軍事・政治のリーダーの地位をアメリカから奪取する」というものだ。この計画は「100年マラソン」と呼ばれるようになった。共産党の指導者は、アメリカとの関係が始まった時から、この計画を推し進めてきたのだ。そのゴールは復讐、つまり外国が中国に味わわせた過去の屈辱を「清算」することだった。本書は、ニクソン政権からオバマ政権にいたるまで、米国の対中政策の中心的な立場にいた著者が、自分も今まで中国の巧みな情報戦略に騙されつづけてきたと認めたうえで、中国の知られざる秘密戦略「100年マラソン(The Hundred-Year Marathon)」の全貌を描いたものだ。日本に関する言及も随所にあり、これからの数十年先の世界情勢、日中関係、そしてビジネスや日常生活を見通すうえで、職種や年齢を問わず興味をそそる内容となっている。
~~希望的観測~~
瞞天過海(まんてんかかい)
兵法三十六計の第一計。
「天を瞞いて海を過(わた)る」と訓読する。
敵に繰り返し行動を見せつけて見慣れさせておき、油断を誘って攻撃する戦略
ことをさらに複雑にしているのが「声調(四声)」で、それが違うと発音が同じでも、意味が違ってくる。古典的な例は「マー」だ。
第一声(平坦)は「母親」
第二声(上昇)は「麻痺する」
第三声(下降して上昇)は「馬」
第四声(下降)は「罵る、しかる」を意味する。
中国人が大きな声でしゃべるのは、この違いがはっきり聞こえるようにするためだ。
もう一つ中国語をわかりにくくしているのは、音節の少なさである。
英語には1万の異なる音節があるのに対して、中国語の音節は405しかなく、多くの言葉が同じように聞こえる。ダジャレのネタには事欠かないが、誤解のネタもそれだけ多いということだ。
中国語を理解するのは、暗号を読み解くのに似ている。
意味が曖昧で誤解を招きやすい概念があり、それを翻訳する際には、自分で意味を決めなければならない。
しかし中国語に関して、アメリカ人は半世紀以上にわたってそれができなかった。
加えて、中国のタカ派のわかりにくい表現は故事に基づくことが多い。そのように、古代の教えが現代の戦略でも踏襲されていることを、ごく最近までほとんどの外国人は知らなかった。
「中国は、わたしたちと同じような考え方の指導者が導いている。脆弱な中国を助けてやれば、中国はやがて民主的で平和的な大国となる。しかし中国は大国となっても、地域支配、ましてや世界支配を目論んだりしない」
わたしたちは中国のタカ派の影響力を過少評価していたのである。
こうした仮説は、すべて危険なまで間違っていた。
■間違っていた前提1・・・つながりを持てば、完全な協力がもたらされる
貿易や技術供与によって中国の発展を後押しすれば、中国は地域および世界の秩序の問題について、歩み寄りを見せるはずだった。しかし、そうはならなかった。要するに中国は、わたしたちの楽観的な期待をことごとく裏切ってきたのだ。
■間違っていた前提2・・・中国は民主化への道を歩んでいる
作家ジェイムズ・マン
20~30年後、中国は今よりはるかに経済力のある強大な国になるだろうが、なおも
「反政府活動家や、対抗する政治勢力に敵意を持ち続ける」共産党に支配され、世界の抑圧的な政権を支持し、アメリカと激しく対立するだろう。
「独裁主義の復活」
中国には、アメリカ流の自由市場経済ではなく、「独裁主義的資本主義」が出現すると予想。
中国のタカ派はすでに、本物の選挙を葬りさっていた。
■間違っていた前提3・・・はかない花、中国
■間違っていた前提4・・・中国はアメリカのようになることを望み、実際その道を歩んでいる
ネイサン・レイテス
「孫武の兵法書『孫子』から毛沢東の著作まで、中国の書物は一貫して、軍事理論よりも策略を強調してきた。中国の策略は、敵を不利な行動に導くことを目的としており、それが高潔であるかどうかは二の次にされる。
西洋をはじめとする他の文化では、策略は主に自分の力を最大限発揮するために用いられる。しかし中国では、策略とは自分の力を使わないためのものなのだ。
・・・なぜなら、驚きと策略が何より重要だと考えているからだ。
■間違っていた前提5・・・中国のタカ派は弱い
それは、「過去100年に及ぶ屈辱に復讐すべく、中国共産党革命100周年に当たる2049年までに、世界の経済・軍事・政治のリーダーの地位をアメリカから奪取する」というものだ。この計画は「100年マラソン」と呼ばれるようになった。共産党の指導者は、アメリカとの関係が始まった時から、この計画を推し進めてきたのだ。そのゴールは復讐、つまり外国が中国に味わわせた過去の屈辱を「清算」することだった。
300年前に誇っていた世界的地位の回復は彼らの悲願である。
当時中国は、世界経済の三分の一を掌握していた。
それはアメリカの2倍の力を持つことを意味する。
中国のタカ派はハト派を「中国を滅亡に導くがん細胞」と見なしている。
~~中国の夢~~
「中国の歴史が語るのは、中国人は自国を世界最強の国にしようとするが、チャンスが訪れるまでその野望を隠すということだ」
習近平;「強中国夢」(強い中国になるという夢)
『中国の夢』は、2010年に中国で出版された。
その本には、どうすれば中国はアメリカに追いつき追い越し、世界の最強国になれるかが書かれている。『中国の夢』は、中国が世界のリーダーシップを握るには。国際的レベルの軍事力が必要だ、と説く。「21世紀における中国の最大の目標は、世界一の強国になることだ」
「中国とアメリカの競争は、マラソンのように時間がかかる。
そしてマラソンが終わった時、地球上で最も高潔な強国、すなわち中国が勝者となる」
~~争う国々~~
中国の長大な歴史は3,000年以上昔にその起源を持つ。
戦争と対立が延々と繰りかえされてきた。
ヘンリー・キッシンジャー;「中国の時間とアメリカの時間は進む速さが異なる。歴史上の出来事について、いつ起きたのかと問われたら、アメリカ人は何年の何月何日と答えるが、中国人は何王朝の時代だと答える。しかもその王朝の14のうち10までもが、アメリカの歴史全体より長く続いた」
100年マラソンの土台となっている中国の戦略の9つの要素
①敵の自己満足を引き出して、警戒態勢をとらせない
②敵の助言者をうまく利用する
③勝利を手にするまで、数十年、あるいはそれ以上、忍耐する
④戦略的目的のために敵の考えや技術を盗む
⑤長期的な競争を勝つうえで、軍事力は決定的要因ではない
⑥覇権者はその支配的な地位を維持するためなら、極端で無謀な行動さえとりかねない
⑦勢を見失わない
⑧自国とライバルの相対的な力を測る尺度を確立し、利用する
⑨常に警戒し、他国に包囲されたり、騙されたりしないようにする
1979年に一人っ子政策の導入を牽引したのは、武器設計者だった。
わたしたちが暗記した中国の歴史を要約する有名な諺は
「外儒内法(外では温厚に、内では情け容赦なく)」だった。
~~アプローチしたのは中国~~
「対中政策は、中国がソ連からの独立を維持し、独裁的体制の民主化を図ることを条件とする」
加えてレーガン政権は、遺伝子工学から自動化、バイオテクノロジー、レーザー、宇宙工学、有人宇宙飛行、知能ロボット工学にいたる分野で中国が新たに設立した研究機関を、財政と教育の両面で支援した。さらにレーガンは、中国の軍事使節団が、アメリカの安全保障の核の一つである国防総省国防高等研究計画局、すなわちインターネットやコンピューター・ネットワークといったハイテクプログラムを開発した研究機関を訪問することさえ承認した。
そして1986年3月、レーガン政権は。遺伝子工学、知能ロボット工学、人工知能、自動化、バイオテクノロジー、レーザー、スーパーコンピューター、宇宙工学、有人宇宙飛行に焦点をあてた中国の8つの国立研究センターの設立を支援した。
~~ミスター・ホワイトとミズ・グリーン~~
「趁火打劫(ちんかだこう)」「相手の混乱に乗じて動くことで、利益を得る」計略のこと
ブッシュは1989年2月、大統領としての最初の外遊で、北京を訪れた。
「民主主義の風が新たな希望を創造し、自由市場のパワーが新たな力を解き放ちつつあります」と、中国に対する楽観的な期待を述べた。
「民主主義の力は、天安門広場での不幸な出来事を乗り越えると確信する」
1989年5月、鄧小平は戒厳令を発令し、北京に25万人の兵士を集結させた。
そしてデモ隊が解散を拒むと、戦車と兵士を出動させた。おそらくは、武器を持たない数千人の学生たちが街路で死に、多くは殺傷力の高い「開花弾」で撃ち殺された。
広場を囲むすべての建物が機銃掃射された。兵士はデモ隊の人々を蹴ったり棍棒で殴ったりし、戦車が彼らの足や背中を踏み潰しながら進んだ。
ブッシュは天安門に集まった学生たちを
「ありがちなデモ隊の一例に過ぎない」と呼んだ。
民衆の間で親米感情が高まるという危険だけでなく、アメリカが中国にもたらしたダメージを体現するものだった。中国の過激なナショナリスト(タカ派)アメリカの生活様式や文化を、中国を破壊する「精神的汚染」と見なす思想集団を築いていた。
「宣伝組織を活用して、中国のいわゆる民主活動家、いわゆる反体制派、実のところは国の屑を扇動し、けしかけ、その気にさせた」
天安門事件が自由化への潮流の崩壊を招こうとは、誰も予想していなかった。
彼女が求める報酬は、200万ドルとはるかに高額だったが、党の上級幹部が用いる北京の秘密のトンネルの長さも知らなかった。
「天安門に集まった若者やインテリは、アメリカに恋していました」
自宅軟禁に置かれているかつての改革派指導者、趙紫陽
当時のわたしは相変わらず、鄧小平と江沢民は真の改革者だと思っていた。
だがまもなく、偽の改革者を支援し、真の改革者を事実上見捨てたことは、アメリカに取り返しのつかない過ちだったことを悟った。
彼らは天安門事件の後に国外に亡命し、反体制組織を築いて、「民主中国陣線」と命名した。
中国の「擁護者」というブッシュのスタンスを、後任のビル・クリントンは痛烈に非難した。
1992年の大統領選でクリントンは、就任した暁には、中国に対し、ブッシュより厳格な姿勢をとると約束した。そしてブッシュに勝って大統領になると、どの大統領より強硬な対中路線を敷いた。大統領選のさなかには、「ブッシュ大統領は北京の肉屋を甘やかしている」と攻撃した。
1993年5月28日、クリントン大統領はホワイトハウスにダライ・ラマの代理人と、天安門広場で抵抗した学生のリーダーを含む40名の反体制派中国人を招待し、クリントン政権の中国に対する厳しい姿勢はピークに達した。
「クリントン・クーデター」
1997年5月7日金曜日、アメリカはNATO同盟国を率いて、セルビアとその代理国に軍事攻撃をしかけた。2機のB2爆撃機がセルビアの首都、ベオグラードに向かった。パイロットは、「ベオグラード一番倉庫」とされたものに衛星誘導爆弾を5発、投下した。
目標のデータを提供したのはCIAで、データは2度検証されていた。
しかしその情報は残念ながら、そして悲劇的に、誤っていた。
爆弾は深夜、ベオグラードの中国大使館の南側に命中し、3名の大使館員が亡くなった。
翌5月9日、日曜の夜、デモ隊がアメリカ大使館の割れた窓から火炎瓶を2本、投げ込んだ。
中国の指導者たちは何が起きているかを正確に知っていた。
大使館前の抗議行動を裏で操っていたのは中国情報部だった。
その証拠に、多数の僧侶、チベットの僧侶、道学者、カトリック、プロテスタント、イスラム教の指導者といった政府公認の主要な宗教の代表もやってきて、デモ行進を始めた。
多くの人が「打倒、アメリカ帝国主義」と叫び、中国の国家を歌った。
大使館員は、抗議者たちが突入するのを恐れて、重要書類をシュレッダーにかけはじめた。
月曜日、クリントン自身が記者たちの前に現れて、再度、謝罪した。
「謝罪します。この出来事を残念に思っています。
けれども、悲劇的な過ちと、故意の民族浄化行為との間に明確な線引きをすることは非常に重要であり、アメリカはその線引きを今後も続けます」
「自己中心的と覇権を求める野心はまったく同じだ。世界のどの国家が、かつてナチス・ドイツが目指したように『地球の支配者』になろうとしているのかと尋ねれば、答えは1つ、つまり覇権主義を奉じるアメリカである」
~~アメリカという巨大な悪魔~~
悲劇的にも、ウィルソンのこの「裏切り」は1919年に五四運動と呼ばれる抗議運動を引き起こした。それが近代中国のナショナリズムを触発し、1921年、ついに中国共産党が結成された。
~~中国のメッセージポリス~~
中国在住の外国人記者の多くは、発言、執筆、電話、Eメールのすべてが中国当局に監視されていることを察している。中国政府にとって不快な情報を報じた後、中国政府によるサイバー攻撃の標的となった。
中国でのインターネットの取り締まりはよく知られており、また広範囲に及ぶ。
「中国共産党は、世界最大級のデジタル帝国を運営している」
そのネットワークは、中国電信;チャイナ・テレコム
中国聯合通信;チャイナ・ユニコム
中国移動通信;チャイナ・モバイル
からなり、すべて国が運営している。
「中国のグレート・ファイアウウォール」
政府の怒りをかったブロガーは日常的に攻撃され、投獄されることさえある。
~~殺手〓(シャショウジィエン)~~
中国の昔話に登場する武器で、それを持つ者は自分より強い敵に勝つことができる。
兵棋(へいぎ)演習
実際、直近での軍事衝突は、中国のマラソン戦略にとって最大の脅威となりかねない。
そんなことをすれば、これまで辛抱強く重ねてきた、経済的にも地政学的にも覇権国になるための努力が、水泡に帰すだろう。
中国の指導者は、仮に近い将来、中国がアメリカと並ぶ軍事力、つまり軍艦、航空機、戦車、兵士(もっとも、人民解放軍はすでにアメリカ陸軍をはるかに上回る、230万人の兵士を有している)を備えれば、西側諸国は警戒し、おそらく軍拡レースが始まる、と読んでいる。
そのため彼らは長期戦を決め込み、粛々と抑止力を高め、じわじわと兵力を増強しているのだ。
中国で最も検討されたシナリオは、台湾を中心とするもので、台湾への侵攻をアメリカが妨害しようとした時、その接近を阻む戦略が含まれていた。
1995年『海上戦の軍事改革』
彼らはアメリカに勝つための新技術を列挙し、海戦で成功するには宇宙空間での軍事的優位性が欠かせないと述べていた。
指向性エネルギー兵器;
電子ビームやレーザー光など指向性のエネルギーで目標を直接攻撃する兵器
チェイニー副大統領は、
中国が衛星攻撃プログラム、
対ステルスプログラム、
あるいは空母キラーミサイル
を持っているかどうかを極秘裏に調べさせた。答えはすぐ見つかった。
彼らはすでに数十億ドルを投じて、一世代のうちに西洋列強の従来型の軍備を圧倒する軍事力を備えようとしている。それも西洋に気づかれないようじわじわと、である。
「高技術研究発展計画」;「863計画」
進行中の863計画には、民間・軍事両用の技術;バイオ技術、レーザー技術、新素材などが含まれる。
中国の指導者は知っていた。
かつてソ連の軍拡がアメリカを警戒させ、第二次世界大戦中にスターリンが結んだ米ソの協力体制は打ち切られ、ソ連への投資や貿易は禁止され、ついには冷戦が始まったことを。
中国政府はモスクワの轍を踏むまいと誓った。
そんなことをすれば、マラソンはゴールに行き着かずに終わる。
中国は、アメリカと競うために軍備を増強するどころか、長距離爆弾、陸上部隊、核を搭載したICBMといった従来型の戦力投射手段への投資を、ほとんどかまったく増やしていない。
むしろ大幅に削減している。
一方で先進兵器への支出は、過去10年間で劇的に増えた。
中国の防衛予算は、中国政府が公表している金額の2倍だった。
「中国は平和裏に隆盛しつつある」というイメージを維持するには、軍事支出や先進的な戦力への投資を秘密にしなければならない。とりわけ、覇権国アメリカに警戒心を抱かせ、軍拡競争が始まったりすることは絶対に避ける必要がある。
2030年までの間に、中国は海軍、空軍の新兵器に1兆ドル以上を投入できるようになる。
電磁パルス(EMP)兵器
それは核爆発で生じる電磁パルスを増幅させることによって、広範囲のあらゆる電子装置を動作不能にする。近年、中国はマウス、ラッド、ウサギ、イヌ、サルでEMP兵器の威力を調べている。また、高出力マイクロ波兵器の研究も行っており、それは「敵の電子機器を破壊する」ためのものだ。
仮に第三次世界大戦が起きれば、コンピューターウィルスとEMPとマイクロ波を放つ兵器が、アメリカ本土でコンピューター、携帯電話、航空交通管制センターを無力化し、戦場では兵士に対する指揮統制メカニズムとスマート爆弾を無力化するだろう。
「これはアメリカ経済が、銀行から電話システム、発電所、鉄工所にいたるまで、完全にコンピューター・ネットワークに依存しているからだ。
したがってアメリカは世界のどの国よりも電子攻撃に対して脆弱なのだ」
中国人は、アメリカのもう1つの深刻な弱点は、宇宙衛星への依存だと考えている。
人工衛星は、敵の位置を撮影し、無線電話と通信を監視し、情報を集める。また、無人のドローン、巡航ミサイル、そのほかの誘導兵器にも使われる。それら衛星のおかげで、アメリカ中央軍はフロリダ州タンパの司令部から、中東における自軍の活動を統括でき、アメリカ太平洋軍はホノルルの司令部から、15,000平方マイルの領域にわたって艦隊やその他の軍と交信できる。
中国はそれらの衛星を破壊したり、無力化したりするための兵器をいくつか作ってきた。そこには、アメリカの人工衛星を機能不全にしたり吹き飛ばしたりする地上配備レーザーも含まれる。また中国は、「寄生型マイクロ衛星」を作りはじめている。
その名が示すように、これらの超小型装置は、アメリカの人工衛星にくっついて、それを使えなくしたり、収集した情報をのっとたりする。
中国はさらに、地上配備型の対衛星ミサイルも開発した。
人工衛星に打ち込んで爆破するためのものだ。
2007年の実験では、役に立たなくなった自国の気象衛星をみごとに爆破した。
アメリカ国防総省の報告によると、「多くの国に懸念を引き起こし、結果として生じた残骸は、宇宙開発を進めるすべての国の資産を危険にさらし、人類の宇宙飛行にも危険をもたらした」
「無責任にも、3,000片を超える破片を作り出し、それは今後何十年にもわたって低い軌道上を密集した状態で周回するだろう」
AGM-88高速対レーダーミサイル(HARM)はアメリカ軍用機に搭載されており、地対空ミサイルのレーダーシステムに関連する電波を探知し、発信源の施設を破壊して。軍用機を守る。
そのほか、中国の兵器には、空母破壊を目的とするロケット推進式機雷と、時代遅れのジェット機、数千機がある。戦闘機は、予備の燃料と高性能爆薬を備えた、遠隔操作が可能な無人の特攻隊式爆弾に改造できる。対艦ミサイル防御システムを無力化できる戦術レーザー兵器のような「魔法の兵器」も開発中で、また増強中の潜水艦隊には、ロケット魚雷「シクヴァル」を装備している。シクヴァルは射程が6.9kmで、時速370kmという猛スピードで航行し、敵の艦隊を沈めることができる。
アメリカはこれらの魚雷に対して、「知られているかぎり、防御の術はない」
~~資本主義者の欺瞞~~
第一次大戦までにアメリカは、世界のリーダーとしての地位をヨーロッパから奪うという戦略上の目標をほぼ達成した。
アメリカ政府は特にゼネラルモーターズと強く結びつき、ディーゼル機関の開発を支援した。
そのため、ヨーロッパで使われていた蒸気機関は時代遅れになった。
いずれ中国共産党のリーダーになる人々は、ドイツの製薬技術が生み出したアスピリン、抗生物質、ノボカイン(局所麻酔薬の一種)の製造特許をアメリカ人がどうやって我がものにしたかも学んだ。
1942年にメルクが初めて工業で生産したペニシリン。
中国は今や世界最大の自動車生産国であり、世界最大のエネルギー使用国であり、世界最大の二酸化炭素排出国である。依然として人口は世界最多で、13億5,000万人を擁する。
マスコミや政治評論家は、中国は資本主義、自由市場経済に向かっていると賞賛した。
しかし、中国にはそんなつもりはまったくなかった。
2014年を迎えても中国経済のおおよそ半分はまだ政府の手中にある。
1958年の毛沢東の「スズメ駆除作戦」
スズメの巣を破壊し、卵を割り、鍋やフライパンを持ってスズメの群れを追った。
この作戦は大成功を収め、1959年までに中国のスズメはほぼ全滅した。
中国当局が気づいていなかったのは、スズメは穀物だけでなく、昆虫も大量に食べていたことだ。その後数年で、捕食者のスズメがいなくなったために、イナゴが大発生し、作物は多大な害を被った。それに追い打ちをかけるように、深刻な干ばつが中国を襲った。1958年から61年までの間に、中国では3,000万人以上が餓死した。欧米に比肩する経済力をつけようとした共産主義中国の初の大実験は、失敗に終わった。
「マクドナルドのある豊かな国は戦争をしない。
国民は、戦争よりむしろマクドナルドの店頭に並ぶことを選ぶからだ」
中国は、国内で開発された高度な技術を国際市場で売りはじめた。
これは国有企業の経済的成功と言うだけではすまない不安をかきたてた。
たとえば世界最大の電気通信会社の1つ、華為技術;ファーウェイは、中国の諜報機関と密接に関わっている恐れがある。
中国の経済政策の中心には、国家発展改革委員会(NDRC)という政府機関がある。
NDRCは、戦略的産業の国策、主要な投資、国有企業の合弁・買収を決めたり承認したりする。ウイスキーからガソリンまで、すべての消費財の価格を決める権限を持っている。
すなわち中国の経済戦略の中枢と考えていい。
中国が4つの基幹産業;鉄鋼、自動車部品、ガラス製造、製紙で世界市場のシェアを迅速に拡大できたのは、補助金を増やし、税を控除し、土地を安く提供し、技術援助した結果だとしている。本来、これらの4つの産業において、労働力も含め、中国の優位性はなかった。
これらの快挙は、すべての部門で経費10%未満という安い労働力のせいでもなければ、安く抑えている通貨のせいでもない。
最近のアメリカの国家対情報局は、中国を
「世界で最もアクティブで図太い経済スパイ」と評している。
~~2049年の中国の世界秩序~~
危機①中国の価値観がアメリカの価値観に取って代わる
1860年代にマーティンというアメリカ人宣教師が、国際法の教科書を初めて中国語に翻訳しているときに、中国語には「right;権利」に相当する言葉がないことに気づいた。
そこで彼は「権;強制力の意」と「利;利益の意」を合わせて、「権利」という新語を作った。この言葉は今も使われている。
危機②中国はインターネット上の反対意見を「和諧」する
言論の自由との戦いにおける中国の武器の1つは、インターネットの検閲である。
中国国民は自由世界の人々と同じ情報にアクセスすることができない。
「和諧」とはインターネットを検閲されることを指すネットスラングだ。
危機③中国は民主化に反対しつづける
危機④中国はアメリカの敵と同盟を結ぶ
この見方は、特にアメリカの対テロ戦争において、中国がアメリカの敵を繰り返し支援してきた理由を説明する。2001年にアメリカの諜報機関は、ウサマ・ビンラディン配下のテロリストをかくまっていたタリバンを、中国が支援していることを知った。具体的には、中国の二大電気通信会社が、タリバンがカブールに大規模な電話システムを構築するのを手伝っていた。この支援は、9・11のテロ攻撃後も続けられていた。
アルカイダと中国との協力は、必ずしも間接的になされたわけではなかった。
9・11のテロ攻撃後に中国がアルカイダに武器を供給したことが明らかになった。
9・11のわずか1週間後に、タリバンとアルカイダの兵士が、中国製の地対空ミサイルを受け取ったのだ。
中国はイラクのサダム・フセイン政権への支援も拡大した。
ブッシュ大統領は「われわれはイラクにおける中国人の存在に不安を感じており、わが政権は中国人に相応の返礼をするつもりだ」
「米軍パイロットを危険にさらすシステムの構築を中国人が助けているというのは、厄介きまわりないことだ」
中国人は有志連合軍の軍用機が投下する誘導爆弾をそらすハイテクのおとり装置を開発した。
そのせいで誘導爆弾はたびたび的を外した。
「中国製装置の費用はわずか25ドルだったが、すばらしい成果をあげた」
「中国がパキスタンとイラン両国の核開発計画に関与しているのは明らかです」
「生物兵器禁止条約の締約国であるにもかかわらず、中国はそれらの協定に違反する生物兵器計画を持続しています」
危機⑤中国はエアポカリプス(大気汚染による世界終末)を輸出する
2013年1月、「悪臭を放つ煙霧」が北京を飲み込んだ。
今日の中国の繁栄は、産業革命にならに筋肉増強剤を注入したかのようだ。
その結果、中国人は、地球の大部分を破壊する力を手にし、実際すでにそうしはじめている。
危機⑥中国の成長戦略は深刻な水の汚染と枯渇を引き起こす
危機⑦がん村
「わたしが望むのは、きれいな空気を吸い、安全な水を飲み、汚染されていない土を使うことだけです・・・けれども、それは高望みなのでしょう」
危機⑧欺く者が勝つーー中国はナショナル・チャンピオンを野放しにする
危機⑨中国は国連と世界貿易機関をいっそう弱体化させる
危機⑩中国は営利目的で兵器を量産する
長年にわたって中国は、無法国家にミサイル技術を売ってきた。
それらの国々にはイラン、リビア、シリアなどが含まれ、大量破壊兵器を開発し、近隣諸国に対して攻撃的にふるまい、テロリストを武装させ、自国民を弾圧している。
~~威嚇射撃~~
2010年以降、中国は数百年前の地図をひっぱり出してきて、東シナ海と南シナ海の島々の歴史的つながりを主張し、領海の拡大を正当化しようとしている。領海をベトナムやフィリピンの海岸近くまで広げようとした。
~~戦国としてのアメリカ~~
最近になって東シナ海に防空識別圏を設定したのには理由がある。
その一帯の豊富な天然資源を狙う中国は、近隣諸国が団結して中国の野望を妨害しないように威嚇しているのだ。
今日中国は、仏教徒のチベット人と、イスラム教徒の新疆ウイグル人への迫害を強めている。ちげっとでは、夜間外出禁止令を敷き、抗議者を逮捕し、罪のない一般市民を殺害し、ダライ・マレの最近の言葉によれば、その地域を「この世の地獄」に変えてしまった。
新疆ではインターネットと電話回線が日常的に遮断されている。
ハッキングは「発明できない技術」と「作り出せない知的所有権」を盗む行為の中核をなしている。
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