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なかなか勝てない馬がいる。今日もその馬が走る。
がんばれ、と声が出る。
まなざしは、ゴールの先を見つめている。

トムラウシ2141m

2020年08月30日 12時26分00秒 | 深田久弥
そこは文字通り北海道の真ん中であった。




狭い谷の底で、そちらを見上げても原生林にビッシリ覆われた山が立っていた。




岳樺(だけかんば)




空が晴れて、木の隙間からオプタテシケが見えた。

立派な山である。

続いてその右にトムラウシが現れた時には、私は固唾をのんだ。

反対側には、

音更(おとぷけ)、石狩、ニペソツの山々が、いかにも深山の感じで連なっていた。




トムラウシの山頂は、大きな岩の積み重なりであった。

標高2141メートル。北海道第二の高峰である。

霧ばかりでなにもみえなかったが、それでも念願の山の上に立った喜びは充分であった。


昨日登ったトムラウシの岩の肩を張った姿から眼が離せなかった。

そのゴツゴツした厳つい山容と対照的に、

反対側には、美しく整った三角形の旭岳が、北海道の最高峰の威厳と品格でそびえていた。




トムラウシ付近はいちばん熊の多いところとされている。




天人峡隠田に近づくと、深い谷を距てた向こう側の、

柱状節理のすばらしい断崖に、美しい滝がかかっていた。

羽衣ノ滝という。

上から下へ落ちるまで、途中に滝壺が九つも数えられるような。長大な滝であった。

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