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なかなか勝てない馬がいる。今日もその馬が走る。
がんばれ、と声が出る。
まなざしは、ゴールの先を見つめている。

人を襲う熊

2020年08月23日 17時37分58秒 | 読書・文学
熊は一発必中で仕留めないと、自分がやられちゃう。
必ず急所を撃つ。
急所は眉間なんですよ。
前頭葉を破壊して脳死状態にさせるんだね。

獲物としてのクマがいちばんいいときの状態は冬なんです。
脂も乗ってるし、肉も美味しい。
胆嚢も冬眠ができる状態になったときのものがいちばんいいですよ。
胆汁が胆嚢に溜まっているから。
食べ物を食べているときは、胆汁が出ちゃっているから。
春から夏にかけては、脂肪がまだついていないし、毛も悪い。
だから獲っても利用できない。皮がなめせないし、胆汁も少ない。

クマを獲って商売になったのは、皮に商品価値が出るし、脂がやけどの薬になるからね。
それに胆嚢と肉。
昔から、クマが二頭獲れれば家族を養えるって言ってた。
とくに肝は金の相場と同じなんだ。
昔、富山の薬売りはクマの胆(い)も持っていて、はかり売りもしたんです。
いまでもいい時期のものは10万以下じゃ買えませんよ。
胆嚢は歯が痛いときにも効くし、膿んだキズに塗れば固まるし。
それにクマの脂はやけどによく効くんだ。塗った途端に痛みが止まるから。

クマは体重60~70キロの小さいヤツは木登りが上手だね。
100キロを超すヤツは苦手だね。
餌を食うときは同じ木に2頭も三頭も登っていることもある。
ケンカしないで仲良く食っているよ。

昔の田舎の家には、外のちょっとした小屋に五右衛門風呂があったの。
たまたまその脇に木があって、その木に登っていたクマが風呂の中に落っこちて、
一緒に風呂に入ったなんて話もあるくらいだから。

あれは不思議だよね。
どーんて下に落ちたのはわかる、そのあとの音がしない。
どっちに行ったのかわからないようにするため、そーっと逃げるんだね。

動物はね、木の枝をボキッて折る音をえらく嫌う。

ツキノワグマっていうのは肉を食っても肥えられないんだって、ヒグマと違って。
肉と柿があれば、どっちかっていうと柿を食うらしい。
冬に餌がなくてウロウロしているクマを獲ったこともあるけど、ガリガリでした。
栄養失調状態だから、肉もダメ、毛皮もダメ、脂肪もない。
鉄砲をぶたなくたって、待ってればきっと死んでよね。

冬眠っていうけど、あれは仮眠ていったほうがいいかな。
穴の中で手の脂を舐めながらもぞもぞしているし、意識もしっかりしているし。
子供を持ったクマほど不思議と浅いところに眠る。
深いところに入っているのはみんなオス。
それこそ雪がかかるような浅いところで冬眠しています。

クマが子供を産むのは三年に一回で、子供がいると発情しないんですよ。
それで雄クマが子供を殺しちゃったりすることもあるらしいね。
だから雌クマは雄クマも警戒するんですよ。
そういう時期には、雌クマはえらい敏感になっています。
そんなときに、鼻歌なんぞを歌いながらルンルン気分で登山しててクマと遭遇したら、そりゃケガもするよ。
だからまず、人間が勉強しなくちゃ。
クマは女性の声、子供の声のような高い音には近寄ってくるということを人間は勉強したほうがいい。
悲鳴のような音、赤ちゃんの泣き声のような音っていうのはダメなんですよ。
野生動物は、女性や子供や年寄りなんかの弱い者がわかる。
「人間=餌」って思うクマがおっかないんですよ。
年寄り、子供、女性は餌なんですよ。

クマは鈴の音よりも金属音を嫌がる。
無線をつなげたり切ったりする「チャッ、チャッ」という音も嫌がる。
あとは光るもの。だから光を反射させるような服を着るといい。












































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