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なかなか勝てない馬がいる。今日もその馬が走る。
がんばれ、と声が出る。
まなざしは、ゴールの先を見つめている。

ツバメ

2020年08月25日 17時54分54秒 | 読書・文学
ツバメはとても短命な鳥で
親、成鳥になってからの平均寿命は1.6年。
巣立ち~幼鳥は半年間
ヨーロッパの報告では3365羽の成鳥のうち、7年生きたのはたった一羽。

右目と左目でくっきり鮮明に見える領域が重ならないだけでなく、
鮮明な領域が右目に2つ、左目に2つで合計4つ存在している。
目の構造として、ピントがバッチリ合う部分が4つ。
これらの特徴は、採餌が重要になる「タカ」「ハヤブサ」と同じ。
いずれも。両眼視できる範囲が他の鳥に比べて狭い。

小さな餌より大きな餌を好む。
同じ大きさの餌でも、栄養を多く含む餌を好む。
シジュウカラの仲間では、ヒナの給餌の際にクモ類を好んで与える。
これはクモに豊富に含まれる「タウリン」を摂取する意味合いがあるらしい。
「タウリン●●g配合」
タウリンを摂取することで、ヒナの記憶力が向上し、物怖じしない性格に育てることができる。
ちなにみ、ツバメも案外とクモを食べている。

スズメなどに比べてはるかに細長い翼、いわゆる「高アスペクト比」の翼はアホウドリなど、
効率のよい飛翔が必要な海鳥にも見られる。
この特徴的な翼と体重が軽いことで、一般的な小鳥と比べて60%ほど少ないエネルギーで飛翔できる。
短い首、流線型の体も効率的な飛翔に貢献している。


「燕返し」
伸びた外側の尾羽全体が一気にパラシュートのように膨らむからこそ、
急に進行方向を変えて採餌するような芸当ができる。

繁殖地から越冬地に戻る秋の渡りは比較的ゆっくりしたペースだが、
これから繁殖を控えている春の渡りでは、一気に渡る。
そのスピードは7日間で3000キロ。

「総排泄腔」
卵もフンもひとつの出口から排出される。

燕尾が発達したオスほどメスに好まれる。
赤い喉はさえずりと同様にオス間での闘争においても機能している。
喉が赤いオスほどなわばりの占有能力に優れ、繁殖に適した場所を確保できる。
格闘技でも赤いユニフォームを着ると相手を圧倒しやすくなることが知られている。
巣作りを頑張るオスは子育ても頑張る。「配慮に欠けるオスはダメ」
巣作りを積極的に行うオスがいる一方、メスに任せるオスもいる。

「じーじーじー」求愛声。
プロポーズ成功率は60%で、成功するとその日から一緒に眠るようになる。
「じーじーじー」声、なぜ発するのか?
「ひょっとしてヒナの声に擬態しているのか」
どうやらメスはこの「じーじーじー」の声をオスの声とヒナの声を混同して、間違って近づいてるらしい。
擬人的に表現すれば「母性本能をくすぐられ」。
オスはメスの性質を逆手にとって、メスを騙して自分のなわばりに誘導できるように進化した。

「浮気」
自身の夫が魅力に欠けるほど、浮気して子を作ることが全生物で初めて分かった鳥。
巣内の卵の3割は夫以外のオスとの浮気によってできた「婚外子」。
この結果は欧州でのもの。
欧州では、同じ建物の中では繁殖ペアの間隔は3m前後
日本では子の97%は巣の世話をしている父親の実子で、婚外子は3%。
人の婚外子が3%と言われているから、似たような数字である。
「配偶者防衛行動」

前年のペアの両方が生きて戻ったツバメの65%が離婚していた。

卵には「免疫グロブリン」や「カロテン」「リゾチーム」が含まれている、
あとで産んだ卵ほどこれらの有効成分がいくらか少ない状態になっていく。
が、卵白の量は増えるので、早く産まれたヒナと同程度に育っていける。
卵白が増えるほど孵化までの時間が短縮されたり、
成長を早めたり、生存率を上げたりする効果がある。
父親の尾羽が長い、つまりカッコイイ場合は、メスは息子を産む確率が増す。
格好の良さが遺伝するなら、息子にしていたほうがお得で
格好の良い息子を通じて子孫繁栄につなげることができる。
娘はそこまで繁殖力に差がつかないので、
父親がダサイ場合、息子より娘を産んだほうが得となる。
ダサい息子だと、あまり子孫を残せないから。
「オスの魅力に合わせて胚の性別を変えているかどうか」は磐石の結論が得られるまで時間がかかる。
メスの体が大きいほど、体調が良いほど、息子が産まれる可能性が高い。

母のぬくもり
抱卵はただ卵の上に座っているだけなので楽チンに見えるかもしれないが、
実際には、卵に当たる部分の皮膚が裸出し、卵を肌でじかに温めているために、
とても体力を使う大変な仕事である。
卵に触れる部分「抱卵斑」の皮膚は血管が凝縮し、熱を効率よく放出して温められるようになっている。
温度を測ってみると、平均38.3℃
その温度はメスごとに違う。
「派手に着飾っている」メスは温度が低い。
母親としての職務がおざなりになっているのかもしれない。

「産座」
ツバメは卵を産む前に羽毛を巣に敷く。

「繁殖価」
捕食リスクが高まったり、餌不足になると、
現在の繁殖巣を一切放棄することもある。
巣の中に残っているヒナの数が少ないほど、巣を放棄しやすい。
親は今現在の子だけでなく、近い将来生まれる別の子のことも見越して行動しなくてはならない。
ツバメは命の価値を秤にかけている。
メスは魅力的な夫をもったときに、子育てにいっそう精を出す。

最も色が赤く鮮やかな口をしてるヒナに、親は好んで給餌する。
体調の悪いヒナや、餌を消化中のヒナは、口の血管などに余計な血液を回している余裕はなく、
そのため赤い口をしているヒナに餌を与えることは、比較的調子の良い、
空腹のヒナに餌を与えることになり、理にかなっている。

欧州の研究によれば、魅力的なオスは魅力的でないオスより子育てをさぼっている。
前述のように、メスが子育てをがんばってくれるので、自分でわざわざ頑張る必要がない。
逆に、魅力的でないオスは、巣内のヒナが自分の子でない見込みが高いけど、
そもそもメスがあまり子育てに乗り気でないので、「自分で頑張るしかない」

カッコウやホトトギスが別種の巣に卵を産むことを「托卵」という。
ツバメのメスが自分の卵を別の巣に産み落としていく「種内托卵」。

親でさえ帰還する確率が50%、巣立ちヒナは、渡りや越冬中にかなり死んでしまう。
イギリスでは1600羽の巣立ちヒナに足環をつけた結果、
49羽しか生きて帰らなかったという報告もある。たった3%!!
私たちも200羽以上のヒナに足環をつけたが、帰ってきたのはたった8羽だった。

ゴリラの正式名称は、ゴリラゴリラ(Gorilla gorilla)
ツバメは現在、6亜種存在する。
発祥はヒトと同じく、アフリカ。
ヒトの学名はHomo sapience
これは「賢いヒト」という意味。

アメリカのツバメは、欧州のように尾羽の長いオスより、
下面の羽毛が赤いオスが異性を惹きつけ、それゆえ多くの子を残している。
種内でも好みに違いがあり、その違いが地域差を促進している。
北アメリカと欧州のツバメの間では、別種に相当するほどの遺伝的違いが存在。
ツバメという1つの種が2つの種に移行しようという過渡的な状況である。
ツバメは今、どのように「1つの種が別種に分かれるか」という現象(種分化)において、
世界中の研究者が注目する鳥になっている。
この分種化の過程、ダーウィンの言う「謎中の謎」mystery of mysteries
日本のツバメの学名は Hirundo rustica gutturalis
gutturalisは「喉」という意味。


九州などの南国のツバメは喉の赤い部分が大きく、
逆に、東北や北海道などのツバメは赤い部分が小さく、そのかわりに尾羽の白斑が大きい。
南国では、良いなわばりを占有すれば、2回も3回も繁殖できる。

日本のツバメの精子は、欧州で集団するツバメに比べて明らかに小さい。
「精子競争」
ペニスの棘をヒトが失ったのは精子競争が弱まったため。

日本やアメリカのツバメは、欧州のツバメと違って抱卵に参加する。
日本では全抱卵時間の平均6%、
アメリカでは9%の抱卵をオスが担っているという報告がある。
しかし、ツバメのオスはメスと違って「抱卵斑」を発達させないので、
卵の温度上昇には貢献できず、メスの代わりになるとは言い難い。

ツバメは「ヒトの建築文化に依存する鳥」
イギリスでは第二次世界大戦で掘られた防空壕の地下環境に適応した蚊が、
元々の種から分れ、新種として誕生している。

燕尾に航空力学的機能がある。
ある程度燕尾が長いほうが、機敏に飛べることが分かり、
採餌による生存選択だけでも燕尾の進化をおおよそ説明できる。

ツバメ釣り
日本でも、昔はツバメを塩漬けして保存食にしていた。
東南アジアでの一国では毎年10万羽のツバメが食されているという試算がある。

「ツバメが低く飛ぶと雨」






































































































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