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リーダーには国家資格がない。

2012-07-17 16:30:35 | 論壇
 リーダーとは、このテーマは古今東西古くて新しい。 今朝の朝刊の連載コラムでは、ユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正ファウンダ―を取り上げていた。 昨年10月、同社はニューヨーク・マンハッタン5番街に、アメリカ旗艦店を開設した。 それより前には、ロンドンの世界のブランド街リージェント通りのピカデリーサーカス寄りに、イギリスの旗艦店をオープンさせている。また、パリにはオペラ店、上海には南京西路店など、それぞれの国に旗艦店を相次いで出店している。
 おおざっぱに言うと、ユニクロは世界に1200店舗出店しているが、そのうち、日本が850店舗、中国が150店舗、韓国に80店舗、その他のアジアに約50店舗。欧米では、英国14店舗、アメリカ3店舗、フランス2店舗、ロシア2店舗 がある。  
 ユニクロは、ユニクロというブランドで、カジュアル界を制覇するだけでなしに、日本発の世界ブランド企業を目指している。戦後で言えば、松下電器、ソニー、トヨタ、ホンダ、キャノンといった世界ブランドの企業を目指しているのである。先発日本の世界企業がいずれも全盛期の面影がなくなっているのに対して、ユニクロだけが二桁成長を続けている。いま日本で最も元気のよいユニクロは、世界に大きく羽ばたいている。 
 その原動力は、柳井会長兼社長にある。紳士服店としては2代目であるが、現在のように商品企画、デザイン、素材調達、生産工場、品質管理、販売までを一貫してイニシアチブを以って行う企業にシステム化した創業者である。  ここ数年の戦略は、国内の銀座旗艦店をはじめ、需要のあるところに、大型旗艦店戦略に切り替えている。つまり、素材からの商品企画から販売までの一貫した、オリジナルブランド力によって、世界のファッション都市に旗艦店をドカ~ンと展開する戦略で、リーマンショック以降も成長を続けてきた。 
 リーダーの個別条件に、先見力、判断力、決断力、統率力などがあげられるが、そういうものは、リーダーの個別の引き出しにしまってあって、いざという時に引き出して使うものではない。個別の条件に叶うだけでは、リーダーになれないし、なってもリーダーシップを発揮できない。 何がリーダーの条件かと言えば、人間力ではないだろうか。大きな器がまずあって、どんなことでも吸収してしまう包容力と、憎めない純粋な幼児性すら兼ね備えている人間、それが何万人の集団を率いて行くにふさわしいリーダーである。一人のイメージとして坂本竜馬が上げられる。犬猿の仲の薩摩と長州を結びつけた竜馬の力は、いわゆるリーダーの条件に合わない。下士の竜馬など、そもそもリーダーではない。勝海舟などの走り使いだったに過ぎない。にもかかわらず、近代日本の夜明けをもたらした第一人者である。 
 それは龍馬の人間力=人間性だったのである。知と理におぼれず、うぬぼれず、牛追いのように人を使わず、自ら命を賭して対応する無私のような幼児性など、竜馬の理を超えた人間力に、西郷隆盛も桂小五郎(=木戸孝允)も、薩長同盟に同意したというより、参ってしまったのではないだろうか。こういう人物こそ「理外の理」を兼ね備えた大人物ではないのだろうか。 柳井正さんが竜馬ほどの大人物か否かは、2回しか会っていないからよく分からないが、普通の人ではないことはすぐに分かる。剛直と柔軟を併せ持つ雰囲気、生来の吃弁と訥弁が、自分の言葉で出てくる説得力、飾り気のない言い回しと、難しいことをやさしくいう言い草など、魅力たっぷりの男であることは、多くの各界のリーダーにインタビューしてきたぼくには分かる。サラリーマン社長の正反対の人である。あるいは、官僚批判しながら、国際会議や二国間交渉で、官僚の書いたセリフを棒読みする、バカ政治家の正反対の人である。  
 リーダーの条件は、個別条件で割り切れるようなものではない。そういうことを言ったり書いたりする人は、いわゆる評論家、分析家、研究家の類。この人たちは、リーダーの正反対の人たち。リーダー以下を土手の上から高みの見物をして、ああしろ、こうしろと言っているだけの人。 真の経営者は、MBA的人間を使いきる、総合的人間力を兼ね備えた人だと思う。ブランド大学のMBAや弁護士など国家資格で世渡りする人たちを使いきる人が、真のリーダーである。
 真のリーダーは、国家資格を超えているのである。


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