『 一寸ずれたかダイアモンド富士 』
森川 由美子さん 撮影
ボケたくなかったら、週に1~2度以上は外出することと言われている。
しかしこれがなかなか出来ない。週に1回のピンポンで最悪の状態は免れている
つもりだが、これだけでは全く不足なのは承知している。
それならばと、並べてみると月に一度の外出としては定例の近所の医院行き、2ヶ月
に一度は隣の駅の病院行き、そして3ヶ月に一度の東京の大学病院眼科行きという
定期的な外出予定がある。
そしてこの間までは、近所のローソンへは2日に一回位は行って居たが(ワンカップを
買いにだが)、それも段々減って週一になりさらに減っている。何度も行かずとも、
まとめて買って置けば良いのだとやっと気が付いたからだ。
かろうじてこれだけは何とか毎日続いている手書きの本物の日記には、(一歩も出ず)
という記述がめっきり増えて、ほぼ連日になってしまった。
そんな情けない私の状態の中で、昨日は大事な外出行事の一つでもある新宿の東京医大の
眼科まで行った。
電車の乗り降りにも階段も慎重に一寸恥ずかしい位にゆっくりとだった。
東京の変わり様に驚き、時代の移り変わりという変貌に別世界を見るような感慨を覚え、
そして多くの人の波に入るだけでも刺激を受けるようだ。
待合室は相変わらずの混雑だった。世の中には病気で悩んでいる年輩者がこんなにもいるのか
と何時もそう思う。「大丈夫ですかご同輩!と声を掛けたくなるようだ。悩んでいるのは自分
だけじゃないんだと、何だかホッとしたような気がするのが妙な感覚だ。
くたくたに疲れて、昼に出て帰ったら夜だった。今ではもう赤提灯や美味そうな匂いなどに目を
やる余裕もない自分が寂しい。