題:寝坊
1位才能アリ工藤美桜 担任からのモーニングコール夕の虹
2位凡人2位塚田僚一(A.B.C-Z) 七月や意気込み遅しジム疲れ
添削 七月のジム意気込みの空回り
3位凡人渡辺満里奈 吾子の首息ひそめ見る夏の朝
添削 学校の朝ぞ寝る子の汗の首
名人10段へ1つ後退 ◆藤本敏史(FUJIWARA)
昼寝覚ひらがなだけの置き手紙
添削1 昼寝覚子のひらがなの置き手紙
添削2 昼寝覚子のクレヨンの置き手紙
永世名人34句で掲載ボツ ◆梅沢富美男
永らえて短夜をなほ持て余す
添削1 巡業の短夜をなほ持て余す
添削2 逢いみての短夜をなほ持て余す
題の寝坊は季語では無い
朝寝→春の季語
昼寝→夏の季語
唯の寝坊の場合は季語を入れて作ることになる
一位の工藤美桜の句が一番寝坊と分かる句だ
今回は、夏井先生がいつも言っている、
確かな情報について書いて見よう
名人が二人とも、この確かな情報不足により、降格とボツになっている
藤本の句は、見ただけで子供だと分かるが、
確かにこの添削をみると、「子」とか「クレヨン」という情報をいれるだけで、
ぐ~んと句が近づいてくる、微笑ましい光景が浮かんでくる
梅沢名人の句は、時間を持て余している人は誰?
句がとてもぼんやりしていて、老人一般の姿?になっている
梅沢の特徴が何処にもない
前回台所俳句について書いたが、当時四Tと呼ばれた上流俳人がいる
中村汀女・橋本多佳子・三橋鷹女・星野立子
父がつけしわが名立子や月を仰ぐ 立子
これは、四Tの一人星野立子の有名な句だ
この父とは、高浜虚子である
確かな情報だけで作ったような句だ
ままごとの飯もおさいも土筆かな 立子
この句はumeさんも好きな句だが、
子供のおままごとの様子がとても具体的(確かな情報)で、
情景が一瞬で浮んでくる
とても微笑ましく、母の愛情がひしひとと伝わってくる句だ
俳句人口は多く、作られた句も天文学的に多い
その中で、世の中に残っていく句は、人の心に焼き付き、
そして感動が無ければならないだろう
そのヒントは、いつも夏井先生が言っている
「確かな情報」がその一つかもしれない