友人からある一冊の本が送られてきた。
この連休、夢中になって読んでしまった。 その本は松谷みよ子さんの「私のアンネ=フランク」。
郵便の封を開けた時、その本を見て、「な、なんと懐かしい!」。松谷みよ子さんと言えば、小学校で読み聞かせをしていた私たち母親にとってはなんともなじみのある、尊敬する児童文学作家。7~8年ぐらい前には講演会にも参加して拝聴したものだ。
その出会いは絵本「いないないばあ」に始まり「ちいさいモモちゃん」「龍の子太郎」そして近年では「わたしのいもうと」に衝撃を受けた。
しかし、「私のアンネ=フランク」はまだ読んでいない。 子供向けの本をなんで今更とは思ったものの、読んでみたら、彼女が私にわざわざ送って来た理由が分かった。
ぜひ、今の大人に読んで頂きたい本である。 久しぶりに、本を読んで胸にずしんと何かが残った、体験をした。
文中にあったこの文章、まさに今ではないか!
『「一見、幸せな時代」の深奥部にひそむ「不気味さ」は、いま確実に成長している。
「そうなのよ、タイコがきこえるのよ」「え、なんのタイコ」と直樹はいう。 そうよ、どこかでタイコの音がする。ざっ、ざっ、ざっという足音がひびいてくる。レスピーギの交響詩【ローマの松】アッピア街道の朝もやのなかを行進してくる古代ローマ軍の軍靴のひびき、タイコの音。あの音楽のように、いまどこかでタイコがなっている。
幻影のように、かすめていく黒い影。幻影ならばいいのだけれど、通りすぎていく幻影が、朝もやが晴れていくように、ある日、突然、目の前にほんとうにその姿をあらわしたら。
なにかからのメッセージは、いつも、はじめはほんとうにかすかで、まぼろしのタイコの音のように、かすかなのだから。
(略)
なにかがおこるとき、そのなにかはさりげなく、だれもそれと気づかないうちに、人びとの前にさしだされ、たいしたことではないとおもっているうちに、それは事実となっていくって。』(本文より抜粋)
この続きも読んで頂きたい・・・。
この本は1979年に初版されたもの。 36年前に松谷さんが危惧していたことは今、まさに通じる。
今年の2月に89歳でお亡くなりになられた松谷みよ子さん。こうして今、また巡り合えるとは。
友人に感謝のひとこと、「ありがとう」
多くの若い方に読んで頂きたい、戦争がどういうものかをもっと知って頂きたいと思いました。
実体験をしてからでは遅すぎますものね。
歴史は繰り返すと言いますが、繰り返してはいけない、それを止めるのが人類の知恵なのではないでしょうか。
智恵よりも欲望が勝つかどうか・・・!
ナチスドイツ式の敬礼をしている映像です。
ドイツはもちろん、欧州ではナチス礼賛は罪に問われるそうですが、ハーケンクロイツをファッションに取り入れたりスポーツ選手が敬礼のしぐさをしたりして、物議をかもし出すニュースは多いですね。
史実を知っていれば「そんなことはしなかった」と
申す若者も多い様です。
「私のアンネ・フランク」は児童文学という枠を遥かに超えてこの世に生きる人すべてに読んで頂きたいという内容ですよね。
史実から派生して考えさせられる多くがあり、心揺さぶられる書物でした。
とても重要な言葉が並んでいますが、スッスッと入っていけて、何度でも繰り返し読める本ですね。