2006年1月2日(月)
#300 ジミー・スミス「dot com blues」(Blue Thumb 543 978-2)
皆さん、まずは明けましておめでとうございます。今年も「巣」を、そしてこの「一日一枚」をよろしく。
で、新年一枚目はこれ。オルガニスト・ジミー・スミス、2000年のアルバム。ギタリスト・ジョン・ポーターによるプロデュース。
60年代日本で一番売れたジャズ・アーティストは、マイルスでもコルトレーンでもジャズ・メッセンジャーズでもなく、実はこのジミー・スミスだったという。50年代にデビュー以来、昨年2月、惜しくも76才で亡くなるまで50年間、ずっとバリバリの現役であり続けたのは、スゴいとしか言いようがない。
そんな彼の「老いてなお盛ん」なところを見せつけた一枚。
マッキントッシュ・コンピュータのインターフェイスをモチーフにしたジャケット・デザインといい、「ドット・コム・ブルース」というタイトルといい、チャンジーになってもなお、枯れることなく新しいことへのチャレンジ精神を失わぬ彼らしさが現れている。
タイトル通り、この一枚は「ブルース」がメインテーマ。
基本ユニットはスミス、ギターのラッセル・マローン、ベースのレジー・マクブライド、ドラムスのハーヴィー・メイスンだが、曲によりこれに豪華なゲスト陣が加わって、彩りを添えている。
まずはドクター・ジョン。 彼のオリジナル曲「Only In It For The Money」ではピアノ演奏とともに、そのシブーい塩辛声も聴かせてくれる。もう一曲、スミスとの共作「Mr. Johnson」では、インストのみの参加。いずれもジャズとブルースが見事に絡み合った、深い味わいのナンバー。
タジ・マハールは自作曲「Strut」を歌い、ギター・プレイも聴かせる。これまた、大人にだけ、よさのわかる小粋なブルース。
超ベテラン・ディーバのエッタ・ジェイムズは、十八番の「I Just Wanna Make Love To You」で貫禄の歌声を披露。ダテに年は食ってません、このオバちゃんは。
個人的に一番気に入っているのはケヴ・モとの共演ナンバー、「Over And Over」だ。スローなれどノリのよさは最高。思わず腰が動いちゃいます。
そして、大御所B・B・キングも登場。これまた代表曲「Three O'Clock Blues」で、切々たる想いを歌い切る。
その一方で、レギュラー・ユニットによる演奏も充実している。おなじみのトラディショナル・ブルース「C C Rider」、エリントン・ナンバーの「Mood Indigo」といったカバーものもいいし、オリジナル・ブルースの「8 Counts For Lita」「Dot Com Blues」「Tuition Blues」といったナンバーでも、スミスをはじめ名うてのミュージシャンによる名人芸がたっぷりと堪能出来る。
「音楽に年齢は関係ない」というよりはむしろ、「ミュ-ジシャンは、年をとってこそ初めて達成出来る境地がある」というべきか。
テクニックとフィーリングが見事に拮抗した、ジャズとブルースの完璧な融合を味わえる一枚。ワタシの考えている「リアル・ミュジック」の見本みたいなサウンドが、ここにはある。
ファンキーな音楽、ブルーズィな音楽を好むひとなら、絶対におススメであります。
<独断評価>★★★★