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NEST OF BLUESMANIA

ミュージシャンMACが書く音楽ブログ「NEST OF BLUESMANIA」です。

音盤日誌「一日一枚」#222 フォー・フレッシュメン「THE E.P. COLLECTION」(See For Miles SEECD 721)

2022-06-24 05:00:00 | Weblog

2004年6月20日(日)



#222 フォー・フレッシュメン「THE E.P. COLLECTION」(See For Miles SEECD 721)

モダン・ジャズ・コーラスの代表選手、フォー・フレッシュメンのコンピ盤。2000年リリース。

彼らの代表作「フォー・フレッシュメン&ファイヴ・トロンボーンズ」を中心に、彼らの絶頂期(55~62年)にリリースした7枚のEP盤をコンピレーションしたものだ。全25曲。

とにかく選曲が素晴らしい。思わず誰かさんのように「イイヨイイヨー」と言いたくなってしまう名曲揃い。

「DAY BY DAY」はジャズ・ヴォーカル・ファンなら知らぬ者もない、サミー・カーン作詞、アクセル・ストーダルとポール・ウェストン作曲による作品。フォー・フレッシュメン、最大のヒット曲でもある。

軽やかなリズムに乗せて、実に気持ちよくスウィングするコーラス。まさに名の通り清新なサウンド。イイヨイイヨー。

「ANGEL EYES」は弾き語りシンガー、マット・デニスの代表作。これまた小粋な佳曲。バックのトロンボーンがいい雰囲気を醸し出す。

「SPEAK LOW」は「MACK THE KNIFE」のヒットで知られるクルト・ワイルの作品。地味なれど、大人のムードが◎。

「I REMEMBER YOU」はジョニー・マーサーのナンバー。ドリス・デイやヘレン・メリルらが得意としており、彼女たちが歌うと結構艶っぽい曲に聴こえるが、フォー・フレッシュメンが歌うとすごく初々しい印象。初恋の女性によせる、ピュアなラヴソングって感じだ。

「EVERY TIME WE SAY GOODBYE」はコール・ポーターの作品。豊かなビッグバンド・サウンドに乗せて、ポーター一流の甘いメロディを歌う。恋人たちのBGMにピッタリ。

「IF I SHOULD LOSE YOU」は、チャーリー・パーカーの名演で知られる、ロビン=レインジャー・コンビのナンバー。シナトラも歌っていたなあ。アコースティックギターの伴奏、ラテン・リズムが、ちょっとメランコリックな曲調をさらに引き立てている。メンバーのソロパートもあり、これまた味のある歌いぶりだ。

「IT COULD HAPPEN TO YOU」はジョニー・バーク=ジミー・ヴァン・ヒューゼンのコンビの代表曲。クールで一糸乱れぬコーラス、これぞフォー・フレッシュメンの真骨頂ナリ。

「THE MORE I SEE YOU」は、不肖筆者もレパートリーとする、不朽のラヴソング。ハリー・ウォーレン、マック・ゴードンの作品。「あなたに逢うごとに想いはつのるばかり」という、時速150キロの直球みたいな歌。

アコギ中心の静かな伴奏に乗せて、スローテンポでソフトに歌われるこのヴァージョンは、まさに王道を行く仕上がり。「ロマンティック」という評言は、まさにこの曲のためにあるようなものだ。

「TEACH ME TONIGHT」もまた、感涙ものの一曲。サミー・カーン=ジーン・デ・ポールの作品。カーンのユーモアあふれる歌詞が素晴らしいラヴソング。いろいろな人が歌っているが、個人的にはバディ・グレコ版がベストかな。ブロッサム・ディアリーのもいいけど。

いかにもバラード・アレンジに向いた曲なのだが、それをあえて陽気なチャチャにアレンジ。これには、意表をつかれました。

よく知っているスタンダードでも、編曲次第ではまったく別の曲のように聴こえる。これもカヴァーものを聴く醍醐味のひとつですな。

「THE HEARTS WERE FULL OF SPRING」は、「ルート66」でおなじみのボビー・トゥループの作品。ア・カペラで歌われる。

この曲はかのビーチ・ボーイズも取り上げているのだが、もちろんこのフォー・フレッシュメン版にインスパイアされてのことは間違いない。一聴してすぐにそれはわかるはずだ。

この曲や「GRADUATION DAY」のコーラスを聴くと、彼らがいかにビーチ・ボーイズに影響を与えたかが、よくわかる。

「IT'S A BLUE WORLD」は、フォー・フレッシュメン、55年のデビュー曲。フォレスト=ライト・コンビの作品。

これもエラ・フィッツジェラルド、メル・トーメなど名唱が多い曲だが、彼らのも諸先輩に負けぬ出来ばえ。スローテンポで歌われるコーラスは、一分の隙もない濃密なサウンドだ。

デビュー当初から、高い完成度をほこっていたのも、結成してメジャーデビューするまでに7年ものキャリアを積んでいたことが大きいだろうね。とりわけスタン・ケントン楽団に認められ、彼らと共にステージを経験していたことが大きいだろう。

歌はやはり、人前に出て場数をふむ、これに限るからね。

フォー・フレッシュメン、実際のステージでは自らギター、ベース、トランペットなどの各種楽器を演奏しつつ歌うそうだが、そういうミュージシャンとしての幅の広さが、彼らの歌にも感じられる。

フォー・フレッシュメンの魅力を、ギュッと凝縮した一枚。未聴のかたにも、おすすめである。

<独断評価>★★★



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