鴨が行く ver.BLOG

鴨と師匠(ベルツノガエル似)と志ん鳥のヲタク全開趣味まみれな日々

最近読んだSF 2021/6/5

2021年06月05日 14時48分04秒 | ゲーム・コミック・SF
関東はまだ梅雨入り発表されていませんが、今日はちょっと体を動かしただけでもじっとりと汗が出てくる蒸し蒸しした気候で、不快指数MAXですね(-_-; これからこんな気候がしばらく続くんだろうなぁ・・・。
そんなじめじめした気候の中、身が引き締まるcoolな作品を読了いたしました。

機龍警察 暗黒市場<上>/月村了衛

機龍警察 暗黒市場<下>/月村了衛

<龍機兵>搭乗要員のユーリ・オズノフ警部が契約解除されたとの情報が流れ、理由が明かされないまま警視庁特捜部内に激震が走る。その頃ユーリは、子供の頃から浅からぬ因縁を持つロシアン・マフィアのゾロトフに接近し、裏社会で噂される新型機甲兵装のブラック・マーケットに足を踏み入れる。裏社会で一目置かれるゾロトフ、通称「ティエーニ<闇>」は、他の裏社会要員から疑いの目で見られるユーリをなぜか「アガニョーク<灯火>」と呼び、自らの側近として重要な任務を命ずる。
一方、日本国内で謎の新型機甲兵装の取引が行われるとの情報を得た特捜部は、その情報を掴んだが故に非業の死を遂げた警官を擁する組織犯罪対策部と、微妙なパワーバランスの下で共同作戦を展開する。<龍機兵>2機で戦わざるを得なくなった姿とライザの戸惑い、何かを隠し続ける沖津部長へ不信を抱くスタッフたち。政治的思惑も絡んで困難を極める作戦は、果たして成功するのか・・・?

・・・か・・・カッコいい・・・orz

いやもぅ、「機龍警察」シリーズは、どれもカッコいいんですけどね。これまでの作品同様、極めて重厚で救いようのない暗さを孕みつつ、ラストシーンに見える光の眩しさ、陳腐な表現をすれば「読後感の良さ」はシリーズ随一かと。

SFとしての評価ポイントは、新型機甲兵装「キキモラ」と<龍機兵>の対比。<龍機兵>に匹敵する運動性能を誇るキキモラを倒すために、その本質を掴んだユーリが編み出した奇策が「そう来たか!」と膝を打つ面白さ。機甲兵装同士の戦闘シーンもサービス満点の描写ぶりで、重厚なストーリー展開の中で派手なドンパチも堪能できるという、稀有なエンターテインメント作品です。
特に、下巻の舞台となる真冬の東北の雪景色を背景とした戦闘描写の美しさ!純白の雪、漆黒の樹影、紅蓮の炎。この色彩のコントラストを文章だけでここまで表現できるのは、さすが月村了衛、と唸らざるを得ません。

でも、この作品の真骨頂は、やはり登場人物たちの魂の相克だと、鴨は感じました。
<龍機兵>搭乗要員の3人は、皆複雑な過去があるようですが、職業軍人として戦闘を100%「ビジネス」として捉えている姿、もはや善悪の彼岸に魂を置いてきたかのように虚無を抱えたライザ、この2人に比べてユーリは「こちら側」の世界に必死にしがみついている印象がありました。時には冷ややかな視線を浴びながらも、ユーリがなお「こちら側」にこだわる理由。それが、この作品を読んで、ようやく分かったような気がします。
ユーリの人生を変えるきっかけを作ったダムチェンコ班長の生き様は、鴨には正直よくわかりませんでした。それがロシアという国なのだ、と言われてしまえば、そういうものなのかもしれません。そうしたモヤモヤも含めて、人間模様をじっくりと味わえるのもこの作品の楽しみ方です。
次のシリーズ作品も、絶対読むぞー!
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