鴨が行く ver.BLOG

鴨と師匠(ベルツノガエル似)と志ん鳥のヲタク全開趣味まみれな日々

最近読んだSF 2020/3/18

2020年03月18日 21時41分40秒 | ゲーム・コミック・SF
コロナウィルス対応で、どうにも日常生活の風景が変わってしまいましたねぇ・・・日常がSFの空想世界に換装される、この恐ろしさ。
そんなゾクゾク感を体感できるSF作品を、先日読了いたしました。

https://www.amazon.co.jp/s?k=%E3%83%AF%E3%83%B3%E3%83%A2%E3%82%A2%E3%83%8C%E3%83%BC%E3%82%AF&i=stripbooks&__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&ref=nb_sb_noss_1ワン・モア・ヌーク/藤井太洋(新潮文庫)

被爆者として、核の恐怖を世界に知らしめたいムフタール・シェレペット。
途上国の悲惨な現状を先進国に知らしめるため、使命に燃えるイブラヒム。
放射能のプロフェッショナルとして、事態の収束にあたる舘野とそのチーム。
日本国内でのテロ行為を未然に防ぐために奔走する、警視庁公安部。

そんな彼ら/彼女らを全て出し抜いて自らの想いを遂げようとする、最強最悪のテロリストにして美貌の革命家・但馬樹。

エモい。その一言に尽きます。
作中世界は、2020年3月6日から同10日のたった5日間を中心に、もの凄い密度で展開していきます。現実の東日本大震災の9年後、未だ生まれ故郷に帰還し得ていない人の想いをベースに、現実の2020年世界とそれほど齟齬のない、地続きの世界観の中で物語が進んでいきます。人に寄って様々な解釈が可能だと思いますが、鴨的にこの作品は「鎮魂」を目的としたものであり、第三者がとやかく言っても前に進まないものであると理解しました。

藤井作品の特徴である、「登場人物が全員優秀過ぎて鼻白む」側面は、この作品においても顕著です。誰もが自分の信念に基づいて善かれと思ったことをしているだけなのに、あらゆる物事が悪い方に向かってしまう、この悲劇。
特に、物語のドライバーである但馬樹の行動原理が、鴨にはどうしても理解できませんでした。私費を投げ打って地元・福島の除染を果たし、「戻っておいで」と呼びかけた友人がそれをプレッシャーに感じて自死を選択した、それを「自分の責任ではない」と納得するためだけに首都圏の臨界汚染を目論んだ・・・という展開が、ただの自己愛にしか感じられず、物語全体の説得力が一段下がった感じ。まぁでも、この辺は極めて主観的な受け止め方なので、それぞれの想いがあってしかるべきだと思いますし、それを否定できる人はいないと鴨は思います。
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