えー、レビューしていないSFが溜まりまくってしまいましたヽ( ´ー`)ノ
それもこれも、こいつのせいです。なんつー終わり方しとんじゃ。
三体3 死神永生<上>劉 慈欣/大森望、光吉さくら、ワン チャイ、泊功 訳(ハヤカワ文庫SF)
三体3 死神永生<下>劉 慈欣/大森望、光吉さくら、ワン チャイ、泊功 訳(ハヤカワ文庫SF)
世の中のSF者と流行り物好きな人はもうみんな読了していると思いますので、あらすじ紹介はレビューに必要な最小限程度にヽ( ´ー`)ノ
しかし・・・なんつー終わり方しとんじゃ!というのが第一印象です、いやもぅ本当にヽ( ´ー`)ノ
【以下、激しくネタバレします、要注意!】
地球人類と「三体」文明との存亡を賭けた闘いは、前作「黒暗森林」のラストで、一応の休戦状態に入っています。ただ、この休戦状態は冷戦時の米ソと同じような状態で、どちらかが先に文明の位置座標を示すボタンを押せば相手側が滅亡する、と知りながらボタンの上に指を乗せている状態。このボタンを押す権利を持つ者「執剣者<ソードホルダー>」となった前作の主人公・羅輯は、守るべき家族を失い、世捨て人のように執剣者の役割に専念していたが、高齢ゆえに後任が選択される。後任に選ばれたのは、美しく純粋な心を持った物理学者の程心。引き継ぎを受けた直後に三体世界からの襲撃の報を受けた程心は、ボタンを押す勇気を振るうことができず、三体文明の座標軸を宇宙全体に送信できる装置を破壊されてしまう。しかし、前回の戦いで深宇宙に飛び立っていた人類の星間宇宙船が、辛くも三体文明の座標軸を宇宙全体に送信することに成功。休戦状態の均衡は、これをもって崩されることになった。
・・・そして、途中を思い切り端折って結末を述べますと、人類文明も三体文明も、他の文明の攻撃を受けて滅亡。
生き残った程心は、この宇宙は物理法則を変えることにより文明同士が争い続け、他の文明が滅亡する様をも目にし、最終的にこの宇宙全体がビッグリップかビッグクランチによる死に至る他ないことを知る。ビッグリップによって次の世代の宇宙を作り出すため、程心は共に生き残った関一帆と共に、三体世界が残した「智子」の導きで、宇宙全体の質量がビッグクランチではなくビッグリップに収まるよう調整をしながら、次の世代の宇宙での再生に向けた長い長い旅に出る・・・。
「タウ・ゼロ」かーーーっ!!(爆)
結局、タイトルはずっと「三体」でしたけど、最後は三体も地球文明も何も関係なくなっちゃうんですね。脳味噌ひとつだけで頑張った雲天明は結局どうなったのかよくわからないし、彼が出した謎かけであるおとぎ話の解釈も恣意的に過ぎるし、下巻で披露される「物理法則を変えることにより低次元化して攻撃する」というのも、理屈ではわからんことはないけど、なんともぶっ飛びすぎてもうついていけないというか、なんというか・・・
と、激しく混乱しながら大森望氏の巻末解説を読んで、鴨はストンと「腹落ち」しました。
そうか、この作品、ワイドスクリーン・バロックなんだ。
理解とか理屈なんか、どうでも良いんだ。だって、確かに面白かったもの。
第2部までは曲がりなりにも戦争SFの体裁を借りてはいますが、要はそういうことなんですね。
作品の本質を見誤ると訳わからなくなりますが、要するに楽しければ良いのです!だって、SFだもん!
・・・ま、鴨はできればロジカルに理解したかったですけどねヽ( ´ー`)ノ
というわけで、SF史上でも最高レベルではないかと思われる大風呂敷の広げっぷりで、この一大長編は幕を閉じます。
最後まで読むには、かなりの忍耐力と遊び心が必要な作品だと思います。が、現代SF最前線の作家が、全力でワイドスクリーン・バロックを描くとこうなるのね、という素晴らしい見本でもあります。これから第一部から読み始める人は、覚悟して手に取ってください!
それもこれも、こいつのせいです。なんつー終わり方しとんじゃ。
三体3 死神永生<上>劉 慈欣/大森望、光吉さくら、ワン チャイ、泊功 訳(ハヤカワ文庫SF)
三体3 死神永生<下>劉 慈欣/大森望、光吉さくら、ワン チャイ、泊功 訳(ハヤカワ文庫SF)
世の中のSF者と流行り物好きな人はもうみんな読了していると思いますので、あらすじ紹介はレビューに必要な最小限程度にヽ( ´ー`)ノ
しかし・・・なんつー終わり方しとんじゃ!というのが第一印象です、いやもぅ本当にヽ( ´ー`)ノ
【以下、激しくネタバレします、要注意!】
地球人類と「三体」文明との存亡を賭けた闘いは、前作「黒暗森林」のラストで、一応の休戦状態に入っています。ただ、この休戦状態は冷戦時の米ソと同じような状態で、どちらかが先に文明の位置座標を示すボタンを押せば相手側が滅亡する、と知りながらボタンの上に指を乗せている状態。このボタンを押す権利を持つ者「執剣者<ソードホルダー>」となった前作の主人公・羅輯は、守るべき家族を失い、世捨て人のように執剣者の役割に専念していたが、高齢ゆえに後任が選択される。後任に選ばれたのは、美しく純粋な心を持った物理学者の程心。引き継ぎを受けた直後に三体世界からの襲撃の報を受けた程心は、ボタンを押す勇気を振るうことができず、三体文明の座標軸を宇宙全体に送信できる装置を破壊されてしまう。しかし、前回の戦いで深宇宙に飛び立っていた人類の星間宇宙船が、辛くも三体文明の座標軸を宇宙全体に送信することに成功。休戦状態の均衡は、これをもって崩されることになった。
・・・そして、途中を思い切り端折って結末を述べますと、人類文明も三体文明も、他の文明の攻撃を受けて滅亡。
生き残った程心は、この宇宙は物理法則を変えることにより文明同士が争い続け、他の文明が滅亡する様をも目にし、最終的にこの宇宙全体がビッグリップかビッグクランチによる死に至る他ないことを知る。ビッグリップによって次の世代の宇宙を作り出すため、程心は共に生き残った関一帆と共に、三体世界が残した「智子」の導きで、宇宙全体の質量がビッグクランチではなくビッグリップに収まるよう調整をしながら、次の世代の宇宙での再生に向けた長い長い旅に出る・・・。
「タウ・ゼロ」かーーーっ!!(爆)
結局、タイトルはずっと「三体」でしたけど、最後は三体も地球文明も何も関係なくなっちゃうんですね。脳味噌ひとつだけで頑張った雲天明は結局どうなったのかよくわからないし、彼が出した謎かけであるおとぎ話の解釈も恣意的に過ぎるし、下巻で披露される「物理法則を変えることにより低次元化して攻撃する」というのも、理屈ではわからんことはないけど、なんともぶっ飛びすぎてもうついていけないというか、なんというか・・・
と、激しく混乱しながら大森望氏の巻末解説を読んで、鴨はストンと「腹落ち」しました。
そうか、この作品、ワイドスクリーン・バロックなんだ。
理解とか理屈なんか、どうでも良いんだ。だって、確かに面白かったもの。
第2部までは曲がりなりにも戦争SFの体裁を借りてはいますが、要はそういうことなんですね。
作品の本質を見誤ると訳わからなくなりますが、要するに楽しければ良いのです!だって、SFだもん!
・・・ま、鴨はできればロジカルに理解したかったですけどねヽ( ´ー`)ノ
というわけで、SF史上でも最高レベルではないかと思われる大風呂敷の広げっぷりで、この一大長編は幕を閉じます。
最後まで読むには、かなりの忍耐力と遊び心が必要な作品だと思います。が、現代SF最前線の作家が、全力でワイドスクリーン・バロックを描くとこうなるのね、という素晴らしい見本でもあります。これから第一部から読み始める人は、覚悟して手に取ってください!