鴨が行く ver.BLOG

鴨と師匠(ベルツノガエル似)と志ん鳥のヲタク全開趣味まみれな日々

最近読んだSF 2022/2/16

2022年02月16日 21時55分21秒 | ゲーム・コミック・SF
先日読了したこちらの作品、直前の「異常論文」の4分の1ぐらいの厚みで、電車内でも楽に立ち読みできてよかったですヽ( ´ー`)ノ
しかし、読後感は微妙ですな・・・ヽ( ´ー`)ノ

クラッシュ/J・G・バラード、柳下毅一郎訳(創元SF文庫)

バラードの代表作のひとつとして有名な作品であり、鴨も読む前からだいたいの内容は知識として持っていました。自動車事故に性的興奮を感じる男女が、乾いた現代社会の片隅でエクスタシーを求めて蠢く群像劇。いかにもバラードらしい、ビザールで劇的でスタイリッシュな問題作。

・・・との前知識を持って、読み進めたんですけど。
特殊性癖のヘンタイがヤリまくるだけの作品でしたヽ( ´ー`)ノ
いやまぁ、乱暴すぎるまとめだということは鴨もわかっているつもりです。が、煽情的で押出しの強い作品世界の中から、立ち上ってくる「美学」がないんだよなぁ・・・。

この作品をバラードが世に出した意図は、序文でバラード自身が明確に語っています。バラードが実際に日々感じていたであろう現代社会のテクノロジーの発展、その帰結としてバラードが幻視する、人間の制御を超えて暴走するテクノロジーのランドスケープ。そして、テクノロジーに飲み込まれて無意識のうちに変容していく、人間精神のあり方。そうした作品テーマをダイレクトに伝えんがために、敢えてポルノグラフィの体裁を取ったと、バラード自身が説明しています。
が。残念ながら、鴨に取っては、ただのポルノグラフィ以上のテーマ性が最後まで見えてきませんでした。異形の世界観ではあります。柳下毅一郎氏の翻訳らしい独特の癖のある文体が生み出す幻惑感もあって、読んでる最中は「なんだかスゴいもん読んでるなー」という実感はありました。でも、後に残るものは、鴨には残念ながらありませんでした。ポルノグラフィとして肝心な○○○シーンも、ただただ気持ち悪いだけで、全く盛り上がらず。
フィクションの世界観において、悪や背徳や変態性を描くことは、何ら問題ではないと鴨は思っています。ただ、そこで描かれる悪や背徳や変態性には、読者の平凡なモラルを圧倒的な力でねじ伏せる、他をもって代えがたい「美学」が必要です。何をもって「美」を感じるかは全く主観的な問題なので、たまたま鴨の基準には合わなかっただけ、ということだと思います。
異形の怪作であることは間違い無いので、その筋がお好きな方にはオススメです。かなり人を選びますねー、これは。
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