茶の湯 徒然日記

茶の湯との出会いと軌跡、お稽古のこと

七事式

2006-03-08 21:45:48 | 七事式
 皆さんは“花月”に対してどんな印象を持っていますか。いつもの一人でお点前するお稽古とは違って、大勢で行うお稽古で楽しまれているのではないでしょうか。
 “花月”とは、簡単に言うと、基本は亭主1名、客4名、合計5名で八畳間で行い、札を回して、“花”の札を取った人は点前(お茶を点てる)をし、“月”の札を取った人はお茶を飲むという内容のものです。花月の札が当たるか当たらないかで状況が変化します。初めてやると足さばきが難しいながらもゲームのようで面白いと感じる人がほとんどだと思います。
 しかし、この“花月”、実は“七事式”と呼ばれる大事な7つの型のうちの1つ。私も“花月”は大学生の頃から知っていましたが、それが“七事式”の1つと知ったのは随分後のことでした。“七事式”の意味を知った時は驚き、それ以降“花月”のお稽古をする際の心構えが変わりましたので、簡単にご紹介しておきます。
 
 “七事式”は、江戸中期に、裏千家八代又玄斎一燈と、その兄であった表千家七代如心斎が、茶道の正しいあり方を見つめなおし、参禅した大徳寺の無学宗衍和尚が修行の基礎とされていた「七事随身」の精神を茶道に取り込み、門弟の川上不白、田沢宗掬、速水宗達らとも相談して、茶の精神修養の為の具体的な修練の方法として纏められたものなのです。
 制定された“七事式”は、花月・且座(しゃざ)・廻り炭・廻り花・茶カブキ・一二三・員茶(かずちゃ)です。お茶を習っている方は耳にしていると思います。
 禅における七事には、内ノ七事と外ノ七事の2種類があり、内は精神的内容を、外は禅の修業に必要な調度や用具(七つ道具)を示していて、このうちの1つが欠けても究極にはならないから、この七事を常に身に随えて同生同死すべし(=「七事随身」)と説いています。
 つまりお稽古する私たちもこの“七事式”のひとつも欠けぬよう精進して、精神も点前も磨きましょうということでしょう。
 七事を表す禅語や道具、七事式を示す禅の教えもそれぞれあるのですが、私自身はっきり全ての意味がわかるようになっていないのでここでは省略します。なんとなく言葉からわかるものもあるのですが難しい。先生に教えて頂きながら徐々に学びたいと思います。
 
 “花月”の制定の由来や意味を知ると、楽しい~とだけ言ってられないと思ったのは私だけではないと思います。とはいえ、“花月”に慣れるまでは足さばきを覚えるだけで手一杯ですし、“花月”ができるようになっても学ぶべきはまだ六事も残っているわけで、禅の精神性にまで思いが及ぶのは、ずーっと先のことだろうと思います。
 まずは“花月”で札に惑わされず、足捌きを迷うことなく、臨機応変に自然に動けるようになることを目指すことにします。
コメント (14)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« m-tamagoの茶室 | トップ | 椿と侘助 »
最新の画像もっと見る

14 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
修行 (渋樹)
2006-03-08 23:11:39
きっと、身の引き締まる思いをされることなのでしょうね。

文面からも緊張感が伝わってきて、清廉な感じがしました。

どんな道もそうだと思いますが、到達点は、あってないようなものなんでしょうね。

だから「道」って付くんでしょう、自分で切り開くこともできますね^^
返信する
七事式 (haruko)
2006-03-09 02:37:12
裏千家八代又玄斎一燈と表千家七代如心斎が兄弟でいらしたとは知りませんでした。ご一緒に作られたからこそ、それぞれの「手」が入っていて面白いものですね。そして難しくもあり。「・・高ぶるものは之を抑え、下る者は之を救うて狐峯に処らしむ・・」(碧厳録第十五則) 。禅の教えにまでは全く届かないながらも、考えさせられます。
返信する
花月 (りんず)
2006-03-09 08:12:39
m-tamagoさん、おはようございます。

花月が楽しいと思えるようになるのは、最近になっての事です。

お点前を熟知して初めて花月に参加させて頂く。

自分一人ではない事、花月独特の動きなど

学ぶ事が多く、また点前を見直す事にもなり本当に

修練と言う言葉がぴったりです。

最初の頃は迷う事が多く、楽しむなど程遠く、何故こんな事をするの?と思ったくらい。

でも少しずつ理解でき迷う事が減ってくると、皆でお茶を

楽しむ事は自分が点前するだけより、ずっと楽しいですね。

しかし茶道は一生勉強ですね。
返信する
廻り炭 (clay)
2006-03-09 14:56:49
先月の花月に廻り炭を致しました。とても楽しかったです♪

特に炉の炭はりっぱなので、ご馳走ですね!



>裏千家八代又玄斎一燈と表千家七代如心斎が兄弟でいらしたとは知>りませんでした



haruko様、そんなわけで一燈好みの「老松棗」は表千家さんにもあるんだそうです。
返信する
七事式 (グランマ)
2006-03-09 17:07:01
七事の目的はやり方を覚えると意味ではなく

稽古し、その間に修練して茶道の意のある

ところを心に悟る。



と、いっても今今の手前の動作に追われ達成できないでおります。「花月百遍 おぼろ月」



七事が非常に流行した為、不審庵には、本来の目的に

そうように如心斎の次の啐啄斎が八疉敷を七疉敷に

改められた、戒めの間があり現在でも家元本来の

稽古場です



返信する
 (m-tamago)
2006-03-09 21:32:55
渋樹さん、こんばんは。

実は緊張感溢れ厳しいはずなのですが、私は楽しくのんびり進んでいます。道はまだまだ長いです~。

ここまでの道を作った昔の人たちはすごいと知るほどに思います。
返信する
七事式 (m-tamago)
2006-03-09 21:40:37
harukoさん、こんばんは。

兄弟力を併せて作り上げたもの、熱い思いが伝わってきますね。

それぞれの「手」、例えば何処でしょう?ちょっと思いつかないので教えて下さい。

禅の教えは考えれば考えるほど難しくて、言葉で理解するより修練しながら徐々に分かればいいかしら、という気持ちになりつつあります。
返信する
花月 (m-tamago)
2006-03-09 21:50:19
りんずさん、こんばんは。

そうですね、最初はなんだこりゃ状態でした。先生に言われるまま動いて。今でも平花月はともかく付もの花月になるだけで混乱したりしますし。

迷うことが減るように日々修練ですね。不思議なことに回数を重ねると自然に体が動くようになっていくものですし。

勉強すればするほど茶道は一生勉強と感じます。



返信する
廻り炭 (m-tamago)
2006-03-09 21:55:33
Clayさん、こんばんは。

私も来週廻り炭のお稽古の予定です。本当に炉の季節は隅が立派。廻り炭はうまくやらないと周囲が灰だらけで大変なことになりますよね。。。。



老松棗、表裏共通ですか。

流派関係なく茶道のために協力し尽くした二人は素敵だなと思います。



harukoさんとお知りあいだったですね。一緒にお稽古なさっているのかしら。

返信する
花月百遍 おぼろ月 (m-tamago)
2006-03-09 22:00:23
グランマさん、こんばんは。

不審庵には七畳の花月があるのですか!それは普段のお稽古でも習っているのですか?それとも宗家のみですか?

すごいびっくり、興味深いお話をありがとうございます。



修練して茶道の意のあるところを心に悟る、まだまだたくさんの修練を積まなくては、です。

返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

七事式」カテゴリの最新記事