茶の湯 徒然日記

茶の湯との出会いと軌跡、お稽古のこと

茶道具-炉と風炉- 

2005-06-21 21:50:31 | 茶道具
 茶道ではこれがなくては始まらない、灰と火(炭)を入れて釜をかけ湯を沸かす道具。
わかりやすく言うと火鉢のようなもの。
これには”炉”と”風炉”という2種類がある。風炉は夏季 5~10月に使用、炉は冬季 11月~4月に使用される。
茶の湯の作法は風炉をベースに始まり、現在も最高(本格的)形式で点前をする際は風炉を使用する。
炉は風炉の変形として、日常庶民が囲炉裏を囲んで団欒していた風景からヒントを得て取り入れられたとされ、完成させたのは千利休と言われている。

 風炉とは・・・・・・
素材によって大きく分けて、①土風炉(真)、②唐銅風炉(行)、③鉄風炉(草)がある。
①土風炉:素焼の陶器の上に黒漆を塗って磨き上げたもの。2度焼きして肌色にところどころ黒い部分がみえる雲華と呼ばれるものもある。蒔灰(白い化粧灰)をする。敷板には荒目板使用。
風炉の形による名称は以下の通りで、中にいれる灰の形も風炉の形によって異なる。
<形の種類>眉風呂(灰形は二文字)、道安風炉(灰形は遠山)、面取風炉(灰形は遠山)、紅鉢(小ぶりの釜をかける、灰形は二文字)
②唐銅風炉:唐銅製の風炉。一般に切掛風炉(直接風炉の肩に釜をかける)と呼ばれ、釜を支える五徳が必要ない。蒔灰なし。敷板は真塗。
<形の種類>唐銅鬼面釻付(からかねきめんかんつき)風炉、琉球風炉、朝鮮風炉
いずれも灰形は二文字か丸灰など。
ただし、唐銅製で、五徳を入れて釜をかける、形が眉風炉・道安風炉・面取風炉も存在し、これは土風炉同様に蒔灰をしてもよい。
③鉄風炉:鉄製のもの。敷瓦をしく。灰形は二文字、丸灰の掻上げにする。
④その他:板で作った板風炉、陶磁器製風炉などもある。

*敷板とは、風炉は直接畳にはおかないで必ず敷物として、板(瓦)にのせて据える。
風炉の種類によって素材・使用方法が異なるので注意。また大きさによって色々あり、小板、大板、長板、丸板等の種類がある。

 炉とは・・・・・・
畳を切り、床下に壁で塗った炉壇を作り、この中に灰を入れ、火を入れて釜をかけるもの。炉縁で囲う。
一般的な寸法は、外のり 約42センチ四方 / 内のり 約29センチ四方 / 深さ42センチ。但し、他に大炉(極寒時)、長炉(水屋用でふつうの炉を2つ並べた形)、丸炉(直径30センチ)がある。

 *炉縁は、炉の寸法に合わせて作られ、通常42センチ四方で、幅が3.5センチ。
  素材は塗物(真塗・掻合わせ・蒔絵)と木地物(栗・松・柿・松・梅・桜など)
  茶室によって使い分けるが、広間では華やか目なもの、小間ではわびたものを使うことが多い。

 炉や風炉にも色々な種類があって、使う敷板や炉縁、灰形にも決まり事がある。が、それはとても理に適っていて、一番道具が綺麗にみえる取り合わせだったりするのが、驚きでもある。

 最後に、風炉・炉に入れる灰だが、風炉と炉では微妙に違う。風炉の灰には黄色灰(ふくさ灰)を用いる。よい灰ができるまでには3-5年かかる。
炉の灰は風炉の灰に準ずるが風炉ほど目立たない。とはいえいずれも番茶(丁子の汁や長家をいれることも)の煮汁を掛けて混ぜ干すことを繰り返していい色を出す。ただの灰ではなく、茶席では“丹精なさったお灰ですね”と褒めたりするのが礼儀。
 炭も夏と冬では大きさが全く違う。風炉から炉になった時、こんなに大きいのかと驚く。冬は客が温かくなるように火(炉)も客に近くなり、炭も大きい。そんなところにも茶人の配慮があるのだ。炉の炭もまた“立派なお炭ですね”と褒める。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 千家十職 | トップ | 茶道具 - 釜 -  »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

茶道具」カテゴリの最新記事