悲しい事件がテレビで報道されているのをちらっと見かけて。
そんな時にドラマ「グレイズ・アナトミー」の中のワンシーンを思い出しました。
ご存じのかたも多そうですがいちおう簡単な説明をしますと、グレイズ・アナトミーはシアトルの大病院を舞台に研修医たちが外科医を目指す海外ドラマです。
そのグレイズ・ナトミー10最終話での出来事。
シアトルのショッピングモールで爆発が起き、爆発に巻き込まれた人たちが大勢病院に搬送されてきます。
テロの疑いもある中で病院のメンバーは運ばれてきた患者の治療にあたります。
外科医の一人であるエイプリルは爆発で息子とはぐれてしまった母親の担当になります。
なんやかんやあってその母親の息子と思われる子を見つけるのですが、その子は違う子供でした。
息子の消息が依然として知れずうろたえている母親の姿を見て、妊娠中であるエイプリルは子供を産み育てていく自信をなくしこっそり備品室で泣いてしまいます。(このへんちょっとうろおぼえ)
そこにエイプリルの義母キャサリン(外科医兼財団の長)がやってきます。
キャサリンに対しエイプリルは泣きながら言います。
モールであんなことがあるなんて…。
私たちはああいうことがあれば、真っ先にテロを疑うような世界で生きている。
自信がなくなったんです。
靴を買いに行って人が死ぬかしれない、そんな世の中でとても子供を育てられない…。
泣いているエイプリルにキャサリンは自分の少女時代にあったことを語ります。
私が10歳の時の話よ。
父と一緒にレストランへ行った。
ワッフルを食べにね。ワッフル大好き。
卵はそのころから嫌いだった…。
ちょうど、1960年ーーー
テキサスの小さな町よ。…今じゃ寂れているでしょうね。
レストランに行ったら、愚かな若者数人に「出ていけ」って言われたの。(黒人に対する人種差別から)
父は料理を膝にぶちまけられ、熱いコーヒーをかけられた。
もちろんあたしは怯えた。
店を出たがったあたしに、父はなんて言ったと思う?
「出るのは卵を食べ終わってからだ、お嬢さん」
エイプリル、クスッと笑う。
その連中はなんか言ってきました?
なにも。他のターゲットを探しに行った。
父は少しも怯えなかった。
連中は肩すかしをくらったの。
エイプリル、どの時代にも愚か者はいる。
事故だってなくならない。
心の敵はそういうものじゃない、「恐れ」よ。
1960年…あの頃のあたしは夢にも思っていなかった。
こんな仕事をして、子供をもてるなんて。
涙が出るほど笑うことも一生ない、そう思ってた…。
それが、今はどう?
世の中は変わるのよ、エイプリル。
善良な人が、きちんと子供を育てればね。
本当に気をつけないといけないのは「もしこんなことがおこったら…こういうことがあったらどうしよう…」と不安で頭がいっぱいになったり、起きてもいないことで怯えたり、それに囚わ続けてしまう心のありかたの方なんだなぁ…と。
昨日おとといから何度もこのシーンが思い出されて、あまり報道などに影響されすぎないように気をつけよってちょっと思ったのでした。