誕生日プレゼント

僕は去年の9月、今住んでいる家に引越しした。
一人暮らしをするのは約2年半ぶりだった。

引越しするきっかけは、離婚していた母が、今からちょうど2年前に父ともう一度一緒に生活する決心をし、それまで父と僕とで2人暮らししていたアパートの一室に住人として加わったことから始まる。

2人で暮らすには十分だが、3人では手狭で、特に母にはプライベートの空間が無かった。

そのうち、府営、市営で安い住宅を探すことになり、昨年の夏に、ついに当選した。そこは住居申込者の所得に応じた料金設定で入ることができるところで、かなり安かった。

老後のことも考えたうえでの料金で捜していたので、特に母は大変喜んだ。
…が、困ったことに2人しか住むことのできない広さだった。それでもそれまで3人で住んでいた家の半分の家賃だ。

結局、僕が出て行くことになったというわけだ。

その父と母が住んでいる家に、晩御飯によばれた。僕の誕生日のお祝いということで。

久しぶりにおいしい家庭料理を食べた。自分の家では決して食べないような生ハムの入ったサラダや、肉料理をお腹いっぱいに食べた。

夕食を食べつつ、3人でテレビを中心にたあいのない話をしていた。

誕生日プレゼントにくれたのはCD券と、輸入品スーパーで買った、外国のインスタントのスープや食べ物、フレーバーティーだった。

僕にとっては、2人が仲良く暮らしているのを確認できたのが、何よりのプレゼントだった。

成長

僕は6月生まれだ。
自分が生まれた時の天気って、どんなだったのかなって思う。

雨は降っていただろうか。
それとも、どんよりと曇っていただろうか。

そんなことを考えていると、雨も曇りも、素敵なものに思えてくる。

実際、僕は雨がきらいではない。特別な用事があるときに降る雨以外は。

この6月で、ついに？とうとう？30歳になった。
数を見るとすごく大人のように感じるのだけど、自分を見ると全然そんな実感がわかない。

年をとれば「大人」になるのだと考えていたから、小さい頃は、早く年をとりたいと思っていた。

でも、そうではないのだなあ、段々と分かってきた。

大人になる、というよりも、大人になることを、大人であることを日々、選んでいく、ということではないか、と。

それにしても、自分の成長って、どうしてこうも遅々としているのだろう。

それは苦労が足りないからだーって声が聞こえてきそう。
実際、そうだとは思う。認めたくないけれど。

まあ、焦らなくてもいいですよね。
成長することだけが人生の目的でもないし。