現在、国立近代美術館で「フランシス・ベーコン展」が3月8日から5月26日までということで開催されている。見に行こうかと思ってはいるけれども、どうしてもというほどの関心があるわけでもないことから、どういうことになるか。絵の前でどういうことを思うものか、考えたりしているのみ。 実のところは先月だったか、W大学の中央図書館で雑誌「美術手帖」を手にとり、そのベーコン特集号で彼のアトリエの模様などを見てその特異さに目をひかれるまで、彼のことは知らなかった。彼について書かれたその記事で、彼の同性愛関係の相手(ジョージ・ダイア、後に自殺)のことなども知り、その独自の表現世界や人物などに、それとなく関心を抱くことになった。そのセクシュアリティがゲイにあることを知れば、その表現に見られる影響などにも考えは向く。日を置かずに、彼を描いた映画1998年のLove is The Devilを見た。フランシスを演じているのは、デレク・ジャコビ Derek Jacobi(1938-)。彼は、1986年のBreaking the Codeでも、やはりホモセクシュアルで天才数学者のアラン・チューリング(1912-1954)を演じている。デレク自身、実生活でイギリスに於いてCivil partnershipの施行された4ヵ月後の2006年に、27年間パートナー関係にあった俳優のリチャード・クリフォードと同性結婚をしている。サーの称号を与えられた俳優。アラン・チューリングにフランシス・ベーコンとホモセクシュアルでもある人物の役を、ホモセクシュアルの彼が演ずるという巡りあわせになったものだけれども、感心させられるほどの演技者という印象、強し。不思議と外見的にフランシスに似たところのあるタイプ。
デレク・ジャコビ