少し前の話ですが、スポーツクラブでよく一緒になるロシア人の女の子と何人か友達になった。
彼女たちはディズニーランドで働いていた。アクロバットやマジック等のショウに出演していた。その当時のことですが、ディズニーランドやディズニーシーでこうしたロシア人が30人ほど働いていた。全員がロシアの某サーカス団の団員で、興行資格のビザで1年契約で日本に滞在していた。スポーツクラブに近い彼女たちの寮にも、時々招かれて遊びに行ったりもした。TDLで働く外国人のため(全体で250人ぐらいの外国人が働いていた、大多数は米国人)のその寮はバス、キッチン付きの個室で、セキュリティーもしっかりしていて、なかなか快適そうだった。
彼らの中には、シルクド・ソレイユやサルティン・バンコで働いた経験のある者もいた。週休2日制、祝祭日の代休、8時間労働、これらの労働条件で月給が平均28万円ぐらいとのことだったが、世界各地で働いた経験のある彼らが言うには、TDLでの待遇が全ての面で一番良いとのことだった。
こうした彼女たちとの付き合いを通して、錦糸町のロシアンクラブで働く、彼女たちと同郷の友達と知り合いになった。彼女たちも興行資格のビザで来日、働いていたのだが実態はホステス業だった。彼女たちの宿舎にも遊びに行ったのだが、40平米ほどの広さのマンションで8人が共同生活していた。ここで単純にことの是非を述べるつもりではない、月2回のみの休日、深夜労働、600ドル程度の基本給等、ただ事実として上記した同国人たちやまた、一般的日本人たちに比しても過酷な労働状況だった。
さて政府の「人身取引対策計画」だが、そもそもこの問題「国連国際組織犯罪防止条約および三議定書(人身取引、密入国、銃器)」をめぐり、2000年12月、日本はイタリアのパレルモにおいて本体条約に署名、さらに2002年12月9日に国連本部で三議定書に署名したことによる。さらには2004年の米国務省『人身売買報告書』で日本は、「人身売買監視対象国」と指定され、また2005年の同報告書で「性的搾取のため売買される多数の女性や子どもの目的国」と名指しで批判されたため、本腰を入れざるを得なくなったことによる。法務省は昨年の興行資格取得の省令規定の削除に続き、改正法務省令を6月1に日施行、興行資格審査の要件を厳しくするという。
政府は興行資格が組織犯罪の資金源に繋がると断じているのだろうが、2004年にこの資格で入国した外国人は約十三万五千人(うち60%の約八万三千人がフィリピン国籍)だったが、2005年には約十万人と激減させている。今年はさらに追い打ちをかけようとしているのだが、この問題果たして政府のやり方のままでいいのだろうかと疑問だらけだ。興行資格でホステスをすることが資格外活動であり違法行為と言うならば、その通りであろう。しかし、政府は長年に渡り興行資格を外国人に与え、その結果彼らおよび彼らの労働そのものが、日本に一種のサブカルチュアーをもたらした事実の意味は無視するにはあまりにも大きい。過去30年間渡り台湾、フィリッピン、韓国、中国、中東欧諸国と低賃金労働者を引き入れさせてきた、飲食産業での変遷の過程を政府はどう評価するのか。全てを自己の誤謬だとして政府は消し去ろうとしているのだろうか。このことで外パブ産業が消失していくならば、それもまた至極おかしなことだし残念なことであるとの思いが強い。
是非この件で皆さんのコメントを聞きたい、お待ちしております。