母の膵臓癌日記

膵臓癌を宣告された母の毎日を綴る

リベンジ!河口湖一泊旅行

2009年10月30日 23時09分58秒 | 日記
10月28日~10月29日
前回は今月の3日~4日に行った河口湖一泊旅行
まだ一ヶ月もたたないうちにまた同じ場所、同じ旅館に来るとは思ってもみませんでした。
何故リベンジかというと前回、この旅館に泊まる醍醐味というべく窓からの富士山が
曇りでほとんど見えなかったからです。

母は「冬の、空気が澄んでいるときにもう一度来たい」と言い「お正月はどうか」と言っていました。
けれどもお正月に母が旅行できるほど元気を保っていられるかはわかりません。
それどころか悲しいことに実際にはこの世にいるかどうかもわからないのです。
兄も弟も仕事が多忙で前回のように旅行のためにゆっくり時間をとることはできないのですが
母が動けるうちはなるべく思い出をいっぱい残したいという子供たち3人のの気持ちで今回のリベンジとなりました。

だから今回は両親と私たち兄弟3人の計5人で一部屋になりました。
両親と私は、仕事をしてから来る兄と弟より早く2時ごろに旅館に到着、部屋に入るなり「わぁー!」と感嘆の声を上げました。



横に並んだ洋室と和室の湖側が全面ガラス張りで湖の全景がほぼ一望できるのです。
前回の部屋も良かったのですが今回のようなパノラマビューはありませんでした。
窓の外のベランダはデッキ状になっていて、手すりも視界をさえぎらないガラス。
部屋つき露天風呂がデッキの端にあって絶えずお湯が循環しています。
しかし残念なことに、朝は晴れていたというのにだんだん雲が出てきたそうで 
私達がついた頃には富士山はすべて雲の向こうに隠れていました。

仲居さんの入れてくれたお茶を飲んで少し休んでから大浴場へ。
湖側を見渡せるお風呂にゆっくり浸かっているうちに少しずつ目の前の雲が移動し
富士山の輪郭の一部が顔を出すようになりました。
お風呂の帰りに無料のマッサージ椅子で体をほぐそうと決めていましたが、
6台ある椅子(すべて湖側の窓に向いている)の5台が使用中。
空いている椅子に母を座らせ私は隣のラウンジでセルフサービスのコーヒーを入れて、
これまた窓に向いたソファーで優雅にお茶して待とうと思ったら
「Sちゃ~ん!」とラウンジの入り口で母が呼びます。
マッサージ椅子が空いたと呼んでいるらしいのはわかるのですが、何人かラウンジにいた他の客の目線が
いっせいに母と私の間を行ったり来たりするので恥ずかしくて、入れたばかりのコーヒーを持って急いでその場を去りました。
「大きい声が出るのね。病人と思えないわ。」
「だって早くしなきゃ他の人に取られちゃうでしょ。」と母は屈託なく笑います。
思春期の頃、外出先でも遠くから大きな声で私の名を呼ぶのが恥ずかしくて
母によく文句を言っていたことを懐かしく思い出しました。

マッサージをしている頃から富士山は全貌を現し始め
「ずいぶんゆっくりしてるな。もうT也(弟)が着いたぞ。」と父が呼びに来て部屋に戻ると眼前に雄大な富士山の全景。



くっきりはっきりのコントラストではありませんが迫力は充分で、ベランダに出てしばし富士山の優美な姿を堪能しました。
リベンジ達成。
兄もちょうどこの頃旅館に到着し念願の富士山との顔合わせを、企画者としてとても喜んでいました。



昔から富士山は霊山として信仰の対象にもなり、いまでもパワースポットとして元気になるために訪れる人も多いといいます。
母に少しでも長く元気に過ごせるパワーを分けてくださいと心の中で祈りました。



食事は兄が前もって母には流動食に近いごく柔らかい料理を、
父には量を控えめにそのぶん素材をグレードアップして、と注文してあり
固形物は飲み込めない母も美味しいと喜んで、出された料理をほとんど平らげました。
仲居さんの話によると「今日はいいお魚が入って板前さんが張り切って母のために細かくたたいてくれた」というお造りは
お刺身の好きな母にとって特に久しぶりのご馳走でした。



上は父のお造りです。水風船を使って作ったという氷の器が目に楽しいです。

翌日29日は早朝から窓の外はガスで真っ白、視界ゼロでした。
朝方は空気が澄んで富士山が綺麗に見えるのではと期待していたのですがこれにはがっかりです。
しかし母は視界ゼロなのをいいことにベランダの露天風呂をゆっくり楽しむことができました。
(カーテンを閉めてしまえば部屋からもベランダは見えません。)
母が露天風呂から上がった後徐々に靄が薄くなってきて富士山もうっすらシルエットを見せ始めました。
湖面も鏡のように山や木々や雲を映し出しています。



これはこれで幻想的な風景で、私はベランダで足湯をしながら静かな朝のひとときを楽しみました。

母も父も大満足のリベンジ・河口湖で良い思い出がひとつ増えました。企画してくれた兄に感謝です。
「次はお正月にね。」と母はニコニコして言いました。

行こうね。絶対に。


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
良かったですね〓 (プチハート)
2009-11-01 00:07:34
お母様体調が良さそうで、ご旅行も出来て本当に良かったですね〓
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Unknown (shiny)
2009-11-01 09:01:04
富士山、すばらしい眺めです!
お母様、さぞお喜びだったことでしょうね。
ごはんが食べられて本当によかった…。

私もガン末期の母と一緒に家族で旅行に出かけました。
車の中で「生きていて幸せだった」とつぶやいた母の横顔が忘れられません。
りりぃさんのお母様が、少しでも長い間、痛みも少なくお元気で過ごされることをお祈りしております。
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こんにちは (りりぃ)
2009-11-01 15:28:08
プチハートさん
いつもありがとうございます。
この体調のよさがずっと続いてくれてまた旅行に行ければいいな~と思います^^

shinyさん
いつもありがとうございます。
祈ってくださる皆さんのおかげです。
shinyさんのお母様も幸せだったのですね。
とても励みになります。
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