ふつうの暮らしとリハビリテーションとケア

もし、障害を負ってしまったらどうするか?
今までの生活は??
暮らしを支えるリハビリテーションとケアを考えます。

冗談と認知症

2006年07月11日 | 認知症の話
毎日暑い・熱い・アツイ

さて、最近揺らいでいる。
揺らいでいるのは私ではなく、とある利用者さん(A)さん。
季節・気候によって揺らいでしまうようになった。

どういうことかというと、
最近日によって認知症症状が違うのだ、揺らぐのだ。

ある日は機嫌よく・ある日は不機嫌で、ある日は記憶障害・・・
そういう日々だ。
介護職さんもオロオロしてしまう時がある。

私がAさんと付き合い始めのころ、冗談交じりのコミュニケーションだった。
「先生、今日もよろしくお願いします」
「しかたないですね(笑)じゃあ、やりましょう」ってな調子。

「先生、私のきちゃない足をさわってもらって・・・」
「い~え、Aさんの足が汚いなんて、思ってても言えません(笑)」
「口が裂けたら言います(互いに笑)」
#誰もにこんなコミュニケーションはとりませんよ、もちろん。
#私とAさんだけのコミュニケーションです。

そういうやり取りの毎日だ。
しかし、最近揺らぐ。従ってこの毎日のやり取りが通じない時がある。
どうやら、何のことか冗談が理解できず、じ~っと私の顔を見るのだ。

やっぱり進むのだ、老化は・・・

さて、普段私たちがコミュニケーションといえば、
「言語的」「非言語的」に分類されることが多いだろう。
そう、私たちの脳は、非言語的コミュニケーションを知らず知らずにやっている。

言語的・非言語的とはなかなかいえない、というのが私の意見だ。

今の脳機能は、実は多くの高次的脳機能の上に成り立っている。
視覚機能もしかり、聴機能もしかり、感覚機能しかり、運動機能しかり、
精神機能、意思、心・・・すべてだ。

これらは奇跡のような、
脳の連携、例えば前頭葉・頭頂葉・側頭葉・後頭葉・中脳・脳幹・・・、
それらが互いに連携し、相互に補完しながら「脳」として機能している、
と私は思う。

老化は、そう、脳細胞の劣化としてとるなら、
徐々に脳細胞が劣化・死滅することによって、
これらの連係プレーが崩れるのではないだろうか?

そうなると、互いの連携に余裕がなくなる。
すると、言葉以外の理解が難しくなる。
そうなると、冗談が理解しづらくなる。

ただ、体調によって、それがつながる時がある。
そのときは理解できるのだろうと思う。

何が言いたいかというと(笑)、
いま、普通だと思っている、
「見た」・「聞いた」・「考えた」・「思う」・「動く」「感じる」等の機能は、
じつは薄氷の上にある機能なのだ。

従って、我々の脳機能=普遍的なもの
としてこういう高齢者に接すると、ケアが崩れてしまう。

そう、冗談を認知する余裕はなくなるし、
情報の伝達スピードが遅くなる。

Aさんもそうだ。
「リハビリしましょ」と声かけても、
「あとでします」と返事したあと、5分位して、
「先生、歩くのはまだですか?」なんて言って来られることがある。

これがまさに問題行動としてとられるのだ。

我々がこういうことをやったら「気が変わった」といわれるが、
高齢者は「認知症」「問題行動」。

こういうところの理解を深めたいなあ・・・
なんて思うのでした。






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6 コメント

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Unknown (くろ)
2006-07-12 20:38:21
ある一部分だけ苦手な人もいれば、

ひたすら寝ているだけの人や、

わーわーあばれている人もいる。



全部認知症ってくくるんじゃなくて、

どうしてなのか考えるとよいケアができそうです。



# まだできてないので、あくまでも理想ですが。。
くろさん (life-reha-care)
2006-07-13 07:33:31
高次脳機能障害があるから・・・、

とあきらめるのではなく、それがどのように本人に影響して、

どういうアウトプットになっているかを考えましょう。



多くの問題行動といわれるものは、必ず原因があります。

それを追求して、ケアを展開しないと、ね。
Unknown (ぷろPT)
2006-07-14 00:18:43
そうなんですね、その人の頭の中では辻褄が合っていたり、文脈があったりするんでしょうが、他の人の基準からすると「問題行動」なんですね。私はその人にとってそのいい方、その内容が必要な事なんだと理解しています。我々のものさしをあてることが問題なんですね。ちいさな子供には寛容でお年寄りには・・・・。これが現実なんですね。
ぷろPTさん (life-reha-care)
2006-07-15 19:10:45
あくまで、その方の基準で行かないと、ですね。

時間の流れすら、我々と違います。



それを理解するかどうかで、ケアが変わると思います。
問題行動 (認知症の介護者)
2006-07-24 00:52:20
麻痺のある人は、見ただけでこれはできないかもと気づいてもらえる。認知症は見えないところ脳の中の障害、わかってもらえにくい…。

「問題行動」…、記憶できないだけなのに、その行動にはその人なりの理由があるのに…。

物的環境・人的環境をつくってあげれば、おかしなことはしなくてすむのに。

わたしは認知症になるかもしれません、できれば、不可解な行動をしても「問題行動」「徘徊」とは言われない時代に認知症になりたい…。

認知症の介護者さん (life-reha-care)
2006-07-24 19:56:02
認知症の介護者さん、コメントありがとうございます。



そうなんですよね、内部障害もそうなんですが、

パッと見た目にわかりにくい。

そこが悲劇の始まりです。



ここから日本の介護もスタートです。

「理解」を深めたいと思います。

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