りぶろぐ

a weblog on librarianship

だれが「本」を殺すのか / 佐野眞一

2006-09-03 13:46:44 | 紹介―図書
http://www.amazon.co.jp/gp/product/410131635X/

出版不況の原因をさぐって関係業界を取材したルポルタージュ.

面白い本なので是非買ってみて.数年前に出版された本なのでおそらくブックオフにもあるだろうけど,出版不況に関する本をブックオフで買うのは皮肉にすぎる.できたら書店で,と言っておこうかな.

本が売れないことの象徴として「新刊書の返品率が40%」というフレーズが何度となく使われている.

わたしは特に取次に関する章を興味深く読んだ.

* * *

さて,文庫版上巻の第6章〈図書館が「時代」と斬り結ぶ日〉が図書館に充てられている.(下巻に少しだけアカデミーヒルズ六本木ライブラリーの話が出てくるが,ここでは触れない.)

出版不況がテーマということもあって内容は主にベストセラー本問題.それに絡んで選書のはなしも出てくる.

きちんとした選書をするためには,図書館員が各種ツールを使いこなす,出版洪水のなかで新刊情報をフォローしていく,利用者のニーズをつかむために社会の流れにも敏感である……などなど,日々勉強することが必要なはずだ.

インタビューを受けた荒川区南千住図書館の西河内靖泰さんの猛勉強ぶり(p.475)に感心したので紹介したい.なんでも,
・週7回は書店に行く
・毎朝新聞6紙(朝日・毎日・日経・読売・産経・東京)に目を通す
・書評紙,業界紙,PR 誌は次のようなものを自分で購入してチェックする.「週刊読書人」,「図書新聞」,「新文化」,「出版ニュース」,「出版ダイジェスト」,「本の雑誌」,「ダ・カーポ」,「ダ・ヴィンチ」,取次の新刊情報,「本の話」,「ちくま」,「みすず」,「未来」,「波」,「図書」,……
・目録,年鑑,年報などは(疲れたので省略


だそうだ.

こういう日々の努力をしてるひとだけが「専門性」という言葉を使っていいんだろう.(もっとも,別にまったく同じことをやる必要はないと思うけど.)

* * *

最後にくだらないことを.

著者は図書館に向けてこう言う(p.461).

ベストセラーをリクエストされたら「そんな本くらい自分でお買いになったらいかがですか。うちは無料貸本屋ではありません」といえるくらいの自負をもったらどうか……。

この意見の妥当性はひとまず,細かいつっこみをすると…….

リクエストされるのは,出版されたばかり(あるいは前)の「ベストセラーの卵」であって,その時点ではまだ「ベストセラー」ではない,というケースが多いんじゃないだろうか?

仮に「ベストセラーは買わない」という(極端な)方針の図書館があったとして,その館ではこういう事態にどう対処するのだろうか.職員が「この本はベストセラー間違いないだろう」と判断してリクエストを断るのか.そういうのって,なんだかなあ.

セマンティック Web 白書2005年版

2006-08-06 10:48:45 | 紹介―図書
http://www.ssk21.co.jp/repo/R_R04N0007.html

こんな白書が出てるんだね.
PDF で 69,615円,冊子体だと13万オーバー……

NII Webcat ではヒットしない.NDL OPAC でも(NDL にないはずがない?).

いったいどこで読めるんだろう?
研究者は自分で買うだろうし,大企業の図書館にはあるんだろうけどさ……

* * *

これも見たい:

XML/Web サービス白書2006年版
http://www.ssk21.co.jp/repo/R_R04N0009.html

NCR1987R3

2006-06-22 00:44:28 | 紹介―図書
http://www.jla.or.jp/publish/bindex.html



日本目録規則1987年版に改訂3版がでたようです.R2が出たのが2001年8月だから約5年ぶりになるようです.といっても改訂内容自体は去年の夏に発表されています.いわゆる継続資料(逐次刊行物+更新資料)というクラスの導入と,古典籍まわりのはなし.

わたしはR2を持ってるので改めて買うことはないでしょう.

知っておきたい大学図書館の仕事

2006-06-21 22:15:51 | 紹介―図書
http://www.liu.co.jp/books_id07.html



仕事で情報リテラシー関係の資料を求めて書架をなめているときに見つけました.こんな本がいつのまにか出ていたんですね.2006年4月出版.新刊棚はちゃんとチェックしてるんですが,見逃してました.

この本は「これから業務に就こうとしている、もしくは就いて間もない正規・非正規職員に、実務の基礎知識をできるだけ早く修得してもらうことを意図して」いると言うだけあって,かなり実践的な「マニュアル」になっています.

まだぱらぱらと眺めただけですが,「おお,ここまで書くのか」と驚いてしまいました.例えば「第6章 総務系の業務」が異色.部署間の調整なんていう泥くさいはなしが書いてある図書館本はそうないでしょう.

大学図書館というのは館内だけで完結してるわけではなく,大学のなかの一組織です.そしてそこで働く図書館員は大学の運営に携わる大学職員でもあるわけです.当たり前のことですが,こういった視点が従来あまり重視されてこなかったのではないかと思います.

上のサイトでは中身が少し読めるようです.興味を持たれた方はぜひどうぞ.

* * *

これは買いです.Amazon では品切れですが bk1 にはあるようです.

http://www.bk1.co.jp/product/2668830

図書館職員採用試験問題集・解説―「旧・国家公務員2種図書館学」に学ぶ

2006-05-23 20:49:39 | 紹介―図書
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4820406000/

図書館職員採用試験に関する唯一の過去問題集.2003年度版(わたしは持ってます)は長らく品切れになっていたけど,このたび2006年度版が出版されたみたい.

内容的には不満はたらたらだけどね.2006年度版のくせに2003年度の試験までしか収録されてないとは何だ.国立大学法人化以後の2年分はどうした? こらぁ.ぬるい商売してんじゃないよ.

とはいえ関係者はみんな買うべきだ.また品切れにならないうちに.

* * *

Amazon だと時間がかかりそうなので,わたしは楽天に注文した.

http://item.rakuten.co.jp/book/4032935/