りぶろぐ

a weblog on librarianship

東京大学附属図書館の平成17年度活動報告書

2006-09-02 01:20:02 | 紹介―各種報告書
http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/car/index.php?p=2161

東京大学附属図書館が、『平成17年度附属図書館活動報告書』を公表しています。

主な項目を挙げると、東京大学図書館憲章の制定(ミッション)、附属図書館プランの策定(アクション・プラン)、メディアユニオン整備計画(総合図書館の改修)、全学資料購入集中処理システムの運用状況(800万円の節約、購入冊数70%増)、第二期全学遡及入力10ヵ年計画の開始、電子的文献デリバリー e-DDSの開始、キャンパス間返却サービス、鴎外文庫のデジタル化、学術機関リポジトリの構築、研修プロジェクト、ジュニアTA制度の活用(選書等への学生の参画)、等々について報告されています。

これは熟読しないといけないね.

上に挙げられた項目では特に「ジュニアTA制度の活用(選書等への学生の参画)」が気になった.これはわたしも温めていたアイディアなので(ほんとよ?).東大なんかの学生は大概そのへんの大学職員よりよっぽど優秀だからねえ.

* * *

ちょっと話がずれるけど…….部局の小さな図書室なら,部局構成員(教官,大学院生)の研究をフォロー(サポートではなく「追いかける」という意味)していくようなことも必要ではないだろうかと考えている.具体的には著書や論文などを展示して,それらの研究の学問体系上の位置を示し,またそれらを理解するために必要な道(授業,図書)なども紹介できたらいい.

右も左も分からない学部生が「うちの先輩はこんなことやってんだ.面白そうだな.じゃあこれ読んでみるか」とモチベーションを上げてもらえるような場所にしたいなあ,と.

#自分が学部生のころにそういう情報が欲しかったなあというのが動機.

大学図書館をめぐる動き(大学図書館問題研究会全国大会資料)

2006-08-18 11:19:12 | 紹介―各種報告書
http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/car/index.php?p=2070

2006年8月に行われた、大学図書館問題研究会全国大会の討議資料として、最近の大学図書館の諸問題についてまとめた資料「大学図書館をめぐる動き」がウェブサイトで公開されています。

とのこと.内容はたいしたことないけど Web2.0 について一項が割かれてるのに注目したい(4-3-1).

そこでは,まず Web2.0 について簡単に説明し(こんな説明で分かるひとは最初から分かっている),続いて RSS による更新情報通知,「東大薬学図書館にっき」など blog や CMS を使った利用者とのコミュニケーションの実例が紹介されている.

そのうえで,

しかし、上述のようなWeb2.0の本質に踏み込むようなサービスの変化は、図書館界にはまだ現れていないといってよいと思います。そのような中で、農林水産研究情報センターの林賢紀氏による「OPAC2.0」という提案が今後重要性を増すのではないでしょうか。

と指摘する(ここではやっぱり林・宮坂論文および「図書館退屈男」のエントリが引用されている.くそう).

* * *

Web2.0 について知りたければ,『Web2.0 BOOK』かその続編『図解 Web2.0 BOOK』あたりがおすすめ.

総務省 - 「u-Japan ベストプラクティス事例集」の公表

2006-06-02 17:25:58 | 紹介―各種報告書
http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/060601_1.html

ゆーびきたすじゃぱん.

図書館関係のプロジェクトとして「24. 手のひら静脈認証等を利用した図書館システム(富士通株式会社)」が紹介されています.下に PDF へのリンクをはっておきます.2ページ(表1ページ+図1ページ)なんですぐ読めますよ.

http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/pdf/060601_1_24.pdf

利用者カードの代わりに手のひら静脈で認証するというだけの話です.いわゆるバイオメトリクス.個人的には,自分の手のひら静脈パターンという超個人的(自分だってどんなものか知らないという意味で)な情報が漏洩することを想像してぞっとしてしまいますが.

使われてる技術は富士通が開発したこれみたいです.

世界初!非接触型手のひら静脈認証技術を開発
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2003/03/31.html

* * *

「ベストプラクティス」は「お手本になる事例」くらいの意味ですが,いつ頃から使われるようになった言葉なんだろう?

よく考えたら e-Japan はえきぞちっくじゃぱんでもいいわけか.

2006 ビジネス支援図書館の展開と課題[いま、ライブラリアンに求められるしごと力とは]

2006-05-26 11:47:09 | 紹介―各種報告書
http://www.avcc.or.jp/c-chousa/c-01/2006/c-012006.html

毎年出てる AVCC の報告書(正式名称は文部科学省補助事業「デジタルライブラリーの環境整備に関する調査研究報告」).
今年のテーマはビジネス支援だそうです.興味のある方はどうぞ.たいていの図書館には入ると思います.
#デジタルライブラリー関係の報告書が PDF で無料配布されないっていうのはどうなんだろうと思わなくもないですが.

* * *

岐阜市立図書館長の安藤義行氏も寄稿してますね.「岐阜市立図書館におけるビジネス支援の展開」か……

インターネット時代の公共図書館 : ハイブリッド図書館の確立に向けて

2006-03-05 11:31:32 | 紹介―各種報告書
http://webcatplus-equal.nii.ac.jp/libportal/DocDetail?hdn_if_lang=jpn&txt_docid=NCID:BA51306012

平成12年度文部科学省補助事業デジタルライブラリーの環境整備に関する調査研究報告書,です.

2000年とちょっと古い(だってまだ ISDN でテレホタイムとか言ってた頃ですよ!)のでまともに読む気にはなりませんが,そこかしこから時代の雰囲気が伺えて面白いです.こういう gray な資料と出会えるのが図書館の魅力のひとつですね.

***

執筆者紹介.

糸賀雅児(慶應),根本彰(東大),小林是鋼(まなびっと―やまなし),常世田良(浦安元館長),北克一(阪市大),豊田恭子(JPモルガン)・・・・・・と有名どころが揃っています.

わたくし常世田さんと豊田さんを尊敬しております.小林さんは先日紹介した山中湖情報創造館の館長です.「日本ではじめて公共図書館でのビデオ個人貸出をはじめ」たり「本格的な夜間無人貸出システムを実現」したそうです.

***

岐阜県図書館の土本潤氏による「インターネット時代のレファレンス」という報告はさすがについ読みいってしまいました.それによると,

「岐阜県図書館がインターネットに接続し、ホームページを開設したのは96年10月のことであった。」
・・・・・・Windows 95全盛のころですね.わたしは OS といえば漢字 Talk 7.5.3 やろ,ってひとでしたけど.

「図書館の24時間蔵書検索とメールによるレファレンスの受付を公共図書館としてはじめて開始した。」
・・・・・・そうだったんですか.驚き.このメールによるリファレンスサービスでは外国からの質問もあったらしいです.

「横断検索システム(中略)は、無料のプログラム言語である Perl を利用して開発を行った。費用は、県図書館が負担したが、SE 2.8人月と安価な構築ができた。」
・・・・・・2.8人月ってちょっと高いような.わたしなら1人月くらいで作っちゃえると思う.だって Z39.50 使っていいんでしょ?(ちなみに,この人月 [にんげつ] というのは業界用語で,何人の開発者が何ヶ月がかりで開発したかを示す単位です.)