母の病室を訪れるのは
父、姉、私、時々孫、主治医、
それと日替わりランチの様に
代わる代わるやってくる看護婦さん、
朝1度の掃除婦さんだけ
親戚が遠いのもあるけど
母が家族以外のお見舞いを執拗に嫌がる為だった
それでもと、数人のお友達が見えた
そのせいかとても殺風景な病室
ここに来ると、母の好きな花をと思うのだけど
早朝立ち寄れる花屋など無く
父も姉も行き来するのに手いっぱい
そんな中
マキがバスケを休みがちになってしまう事を
伝えるのに母の病状を親しい友達に言うと
いつもの4人組
コーチ、タカコさん、トシコちゃん、
カズミちゃんから花を頂いた
春色の花が集められた可愛らしい籠からは
知るばずも無いのに、母の大好きな
スイトピー、薔薇、チューリップが
零れるほどに咲いていた
「お花もらったよ」
そう言いながら何もなかった窓辺へと置くと
顔だけをゆっくり向け
「きれい」
と微笑んだ
一瞬、病気になる前の母の顔が見えたようだった