象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

鏡張りの部屋、その38〜ついにLA警察が動く〜

2020年06月07日 04時08分33秒 | 鏡張りの部屋

 5/8以来、約一ヶ月ぶりの”鏡張りの部屋”シリーズです。
 前回”その37”では、転象の推測を十全に聞かされ、ダーレムが自白した証拠の流れを確信したマーロウは、何かがはっきりと動き始めるのを身を持って感じた。
 ダーレムの自白が100%信頼できるものだと解った以上、マーロウに迷いはなかった。

 因みに、これまでの大まかな経緯は”その35”を参照です。登場人物の相関図を入れましたので、これも宜しくです。

 
 マーロウは早速、LA市警のフレデリックに電話を入れた。
 フレデリックは仕事から帰り、食事中だった。
”ああフレデリックさんか?マーロウです
突然ですまないが、すぐに動いて下さい!
裏を取ったという程でもないんですが
ダーレムが自白したコカイン目撃の件と
ゴムキャタピラにコカインを埋め込んだ
というダーレムの推測の件は
100%信じてもらっていい”

 フレデリックはテーブルを外し、仕事部屋に入った。
”やっぱりそうか?
俺もそういうとこだろうと踏んでたよ
何時でも踏み込めるようには
準備はしておいたさ”

 マーロウは、電話をスピーカフォンに切り替えた。
”ダーレムは最初から潔白だったのさ
でも命を狙われた程だったから
警察が警戒するのも理解できるよ”

”ところで、闇組織とCIAの繋がりなんだが?
こちらとしては大げさに動く訳にはいかん
すぐに足元を捕まえられるからな”

”ああ、判ってる。
その件はこちらが請け負うから
心配しなくてもいいです
とにかく闇組織と闇業者の関係を徹底的に
追って下さい”

”そうしてもらうと助かるよ
ところでゴムキャタピラにコカインを
埋めこむなんて
そんな芸当がよく出来るもんだな?”

”いや、仕組みを理解すれば結構簡単な事さ
要は闇組織のルートを1つ1つ丁寧に
分断する事、これに尽きるよ
丁度、ゴムクローラからコカインを
取り出す時のように慎重にやる事だね”

ゴムクローラって?”

ゴムキャタピラの事だよ
高温高圧で長時間焼き上げるから
コカインを仕込むのは不可能と思いきや
実は、そうでもなかったんだよ”

”とにかく難しい事は抜きにして
闇組織を一気に追い詰めようぜ
ぼんやりしてると一気にメキシコへ
逃げられちまうからな”

”そこでトランプの壁が生きてくるんだね
奴さんも満更バカじゃない”

”ドイツ移民の典型の叩き上げだから
そこんとこは手抜かりがないんだな”


 マーロウは煙草を取り出した。
”とにかく、ゴムクローラの配送業者と回収業者と解体業者を徹底的に洗って下さい。そうすれば自ずと闇組織の全貌が見えてきますよ”

 フレデリックは、自分の部屋のブラインドを下ろす。
”冴えてきたな、マーロウ探偵殿
いつもそうでなくっちゃな”

”今度ばかりはしくじらないさ
こっちには強力な助っ人がいるんだからね”

”テンゾーの自慢をさせたら止まんないな
実は、あの時はCIAも薄々は気づいてたんだ
でも政府の対応が遅れた
独断で動いても良かったんだがな
それにNSAとCIAはライバル同士だったし”

”NSA内でも大きく割れてたんだよ
だからどうしても動くのが遅くなった
でも今回は違う
NSAもCIAもペンタゴンも政府も
全く関与はさせないさ
今回だけは自分たちの感性のみで動くんだ”

”そうでなくっちゃ!マーロウ君
今、出動命令を出してるから
ベガスで高給娼婦を漁りまくってる
大物著名人なんかが引っかかるかな”

”とにかく、冷静に頼みますよ、警部補殿”
 
”ああわかった
そっちの方もあくまで慎重にな”
 フレデリックはそっけなく電話を切ると、LA市警の本部へと向かった。


 マーロウは秘書のライリンに電話する。
”ライリンか?俺だマーロウだ
Drドレフェスについて、なにか掴めたか?
何でもいい、わかった事を言ってくれ”

 ライリンは、1週間の休暇から自宅に戻っていたばかりだった。
”分かった事といえば
メキシコ行きの飛行機のチケットを
予約してる事くらいだけかな”

”たったそれだけか?”

”何よ!その言い方!まるで
私が何にもしてないっていい方じゃない💢
この情報を探るだけでも大変だったのよ
全米にある全ての航空機のチケット予約を
白み潰しに調べ上げたんだからね
少しは感謝してほしいくらいだわ”

”ああ悪かった。言い方がきつくて謝るよ
それで何時発つんだ?メキシコへは”

”明日の夕方かな?”

Drドレフェスの居所は判るのか?”

”判るわけないでしょ?
ソレイマニ暗殺から全く行方不明なの”

”ああそうだったな。で出発地は何処だ?”

”シカゴのオヘア空港
18時のサウスウエスト航空の第8便
これだけわかれば十分でしょ”

”ああわかった。とっても有難い
何とお礼を言っていいかな
いつも頼りになるお姫様でいいかな”

”わかればいいのよ、わかれば”

 ライリンも電話をあっさりと切る。


 マーロウはタバコを一服すると、親友のダルデスに電話した。
 しかし、あいにく留守中で、仕方なく伝言を残し、着信を待った。
 その間に、ホテルカリフォルニアの老支配人マティアスに電話する。
”クロードさんか?マーロウです
レオニーさんだが、元気にしてますか?
尋問に耐えられる程、体力は回復してます?”

 老支配人はニコリと微笑んだ。
”ええ、もうだいぶ元気になりましたよ
マーロウさんの中和剤が効いたらしく
日に日に元気になってます
彼女もマーロウさんに逢いたがってますよ”

”ああそれは良かった”
 
”でも気になるのが、ドレフェス医師じゃが
ここんとこ全く声を聞かんのだが
レオニーの容体なんか気にならんのかの?
一応は彼の患者だからの
それにマーロウさんが言う様に
裏のある人には全然見えないんじゃがの?”

”裏があるというより、
誰かに脅されてると言った方がいいかな
ソレイマニ氏との関係は
どうも薄い
ような気もするんだが
ダルデスの返事を聞かないと何ともね”

”ワシもそう思うんじゃがの
それで、疑う訳でもないんじゃが
ダーレムの自白は本当じゃったかの?”

”ああ、全然心配なく
100%本当だと信じてもらってもいい
今からレオニーさんに少し尋問をするけど
本当に、大丈夫なんだよね”

”ああ、ご心配なく、何時でもどうぞ”

”では今から参ります”

 電話を切ると、マーロウはクルマに乗り込み、迷宮のホテル•カリフォルニアと向かった。


ようこそ、
我がホテルカリフォルニアへ
🎵ここは素敵な場所でしょ🎵
🎵ここは素敵な人達でしょ🎵



6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ドレフェスは何処へいった? (hitman)
2020-06-07 09:04:11
あとはドレフェス医師の居所が問題ですが。
ひょっとして、ホテルに缶詰になってるレオニーが鍵となるんでしょうか。

これ以上書くと、ネタバレになりそうだからやめときま〜す。
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Unknown (kaminaribiko2)
2020-06-07 12:12:11
込み入ってきたから、挿絵でも入るといいかもしれない。
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hitmanさん2 (象が転んだ)
2020-06-07 17:54:23
ここに来て、少し展開を緩め、できるだけわかりやすいシナリオにしたいんですが、ネタがバレやすいんで、どうも難しいですね。

とにかく今はドレフェス医師を匿うことがまずは先決です。その為にはレオニーの自白が・・・
コメントどうもです。
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ビコさんへ (象が転んだ)
2020-06-07 17:59:40
自作小説の連載モノは、長くなるほどに展開も間延びし複雑になるので、全体のあらましを定期的に挿入する必要があるんですが・・・

エピソード単位でも楽しめるようにはとは思うんですが、中々上手く生きませんね。これから登場人物の全体の相関図を挿入するつもりです。
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登場人物紹介 (tokotokoto)
2020-06-07 23:41:36
人物相関図、ウーンわかりやすい。

もうそろそろダーレムも妻や娘に逢いたいよな。
マーロウさん頼んまっせ!
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tokoさん (象が転んだ)
2020-06-08 08:56:41
極々たまに読んでくれるtokoさんのためにですよ。
心からのサービスです(笑)。
自分で言うのもなんですが、ソコソコいい線いってると思います。これからも宜しく。
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