NHKが消滅する〜受信機がストリーミング配信に変わる時

　”NHK受信料を支払わなくていいテレビ”を製品化したドンキの狙いは？
　ドン･キホーテが発売したネット専用スマートTVがネット上で大きな話題を呼んでいる。TVチューナーを搭載しないネット動画の視聴に特化した製品である。
　話題の大きな要因が”NHKの受信料の支払い義務が発生しないのではないか”という点だ。

　放送法64条では､”NHKを受信できる受信設備(TV)を設置した者は､NHKと受信契約をしなければならない”と規定。総務大臣の許可により定められたNHK受信規約では､”放送受信料の支払い”を義務付けている。
　では､受信料を支払う必要なないのか？
　結論から言えば､答えはイエスである。
　事実NHKは､”NHKは放送法64条1項に基づき受信契約をお願いしている。放送受信する機能を有しない設備にては､放送法の受信規定にあたらない為､受信契約の必要はありません”と回答。
　つまり､チューナーレスTVでは受信料の支払い義務が発生しない事を認めた。
　近年､若年層を中心にNHKや地上波TVを視ない”TV離れ”が進みつつある。番組を見ていないにも関わらず､TVがあるだけで受信料の支払い義務が生じる現行の放送法に対する反発から､NHK受信料の支払いに否定的な人も増えつつある(ITmediaオンライン)。

　しかし規約上はそうでも､NHKの番組をネット配信すれば､チューナーレスTVでもNHKが見れる設備にはなり､”支払い義務が生じます”と掌を返すだろう。
　事実､”ネット受信料”の導入をNHKが目指してるのでは？という噂も耐えない。
　つまり(読売の”押し売り新聞”じゃないが)”昭和の押し売り”という古い体質が亡くならない限り､NHKは不滅という事になる。

NHKはなぜ亡くならない？

　NHKの腐敗と堕落の原因として､｢巨大NHKがなくなる｣の著者･田原茂行氏は､”島桂次会長の時に衛星放送の免許がおり､デフレのもとNHKのみが大増収となった。お陰で番組が一挙に増え､子会社を沢山作った事が､局員と制作の下請け会社の社員との待遇の差を決定的に広げ､更にそれが職員の金銭感覚をマヒさせ､多くの不正事件が起こる原因となった”と指摘する。
　・・・この本では受信料の急速かつ大幅な減少と腐敗､若者の視聴率の深刻な低下と番組の偏向など・・・(Amazon)。

　レビューには､BBCはNHKの約半額なのに､”NHKの受信料は高すぎる”とある。
　確かに､WOWOWやスカパーなどと同額に近いが､番組の内容と充実ぶりには大きな差がある。それに､多くが千円前後で視聴できるストリーミング配信に比べれば､2千円を超えるNHKの受信料はボッタクリに近い。
　もっと言えば､NHKお得意のドキュメントですら”出来の悪いヒストリーチャンネル”のレベルに過ぎない。

　それでも､NHKは”(隠れてないで)カネを払え”とほざく。
　これじゃ､悪質なアダルトサイトの”押し売り”と同類である。NHKの子会社を沢山作り､安月給で働かせ､売上を吸い上げ､更に国から補助金まで掠めとる。
　まさに､国家権力に依存しきった独裁系の”殿様商売”そのものである。
　一方で､重厚感あふれるドキュメント番組は､金満主義のNHKにしか作れない部分もある。それでも｢プロジェクトX｣の様な安っぽいものを見せ付けられると､ペテン臭い何かを感じてしまう。

　そういう私は､昭和生まれのブラウン管世代である。テレビが唯一の娯楽であり､テレビを見て育ち､大きくなってきた。
　TVが流す情報は絶大で絶対でもあった。美しく着飾ったアイドルや俳優たちは(スラムの出だとしても)理想の生き物に映った。
　TVで無駄に膨らまされたヒーローや著名人は､庶民の憧れでもあり､大きく昇華した彫像でもあったのだ。
　しかし､ネットが庶民やお茶の間に入り込み､地球上に隈なく繁殖すると､TVの居場所がなくなってきた。BS放送も一次の勢いはなく､昭和の時代にあれ程まで賑わった地上波は底をつく状態となる。
　今やお茶の間の娯楽は(TV放送ではなく)どこでもいつでもリアルな情報を享受できるネットなのだ。

それでも日本人はNHKが好きなのか

　しかし､我々平和な日本島民は(お上様が定めた事だからと)何の行動もデモも起こさず､月々2170円の受信料(BS含む)を支払う。
　私は今､Amazonプライムで月500円を払い､映画やドラマを見ている。少し古めのコンテンツが多いが､NHKに比べればずっと充実してはいる。
　確かに､野茂やイチローの時はMLB中継を十分に楽しませてもらった。が､それだけだった。つまり､MLB中継以外はNHKは必要なかったのだ。
　NHKには我々に(義務として)支払いを強要するが､我らは既にNHKを必要とはしない。

　今や､ネットで多様性あふれる動画を流す時代。故に､地上波やBSを見ないのは若者だけでなく､中高齢者も同じ傾向にあるのは当然の流れだろう。
　それでも､見る気すら起きないTV番組に､我々日本人は黙ってお金を払い続ける。
　そういう私も受信料を支払ってはいるが､BS放送に変わり､番組が多様化し充実すると期待していた。いや少なくとも､受信料に見合う番組は作って欲しかった。
　しかし現実は､NHKのBSは地上波を使い回すだけで､目新しさは何も感じられないし､民法は(オバハンの甲高い声が響き渡る)ショップチャンネルで埋め尽くされている。
　本音を言えば､一銭も払いたくはない。

　事実､受信料支払いランキング(2022)では､神奈川80.0％(40位)､兵庫78.0％(42位)､福岡76.3％(43位)､東京67.7％(45位)､大阪/66.8％(46位)､沖縄49.8％(47位)と､都心部になる程に支払いが悪い。
　一方で上位は､秋田97.4％(1位)､新潟97.0％(2位)､山形94.5％(3位)､島根94.4％(4位)､青森93.8％(5位)と､田舎ほどバカ正直に支払う。
　国民性もあろうが､これが欧米だったら何割の国民が支払いに応じるだろうか？多分､3割にも届かんだろうか。　
　因みに､朝日新聞が実施した世論調査(2020)では､NHKの受信料を”高い”が63％､”妥当”は28％､”安い”が2％だった。但し､70歳以上では”高い”が45％､”妥当”が42％。
　信じ難い事に､日本人の3割が(高齢者の半分近くが)受信料を(ボッタクリではなく)”妥当”と思ってるのだ。この3割の民とは一体どんな人種だろうか？年収10億を軽く稼ぐ富豪だろうか？それとも単なるバカか？
　これで判るように､日本人は高齢になる程にNHKが大好きなのだ。

最後に

　日本も(中国や北朝鮮やロシアと同じく)庶民の人権が(NHKという)独裁権力により踏み潰される貧しい島国なのだろうか。
　(国家権力に依存した)NHKという腐った組織に､我ら平和な日本人はせっせと高い受信料を支払い続け､古臭い体質を支え続けてきた。そしてこれからも､バカ正直に受信料を納め続け､殿様商売を支え続けるだろう。
　(私も含め)平和でお人好しの日本人がいる限り､NHKという裸の王様は益々膨れ上がり､最後にはNHKバブルが弾け､日本島民とTV文化と共に､NHKは死滅するのだろうか。