象が転んだ

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ルールかフェイクか〜フェイクという名の異種格闘技と〜

2019年01月08日 03時26分36秒 | ボクシング

 連日、”大場政夫”ブログを訪れてくれてる方有難うです。”大場ストーリー”も近々更新予定です。宜しくです。

 先日、”フェイク”が大繁殖した我らサピエンスを効率よく集団化し統率し、文明を築き上げ、地球上の生態系の頂点に君臨した?事は、”サピエンス全史”でも述べられてる事だが。

 この”フェイク”というのは、今や日常生活の中のあらゆる所に蔓延ってる。もはや人類はこのフェイクなしには存続できないのかもだ。フェイクなしにはホモサピエンスは語れないし、サピエンス抜きにはフェイクは語れない。
 

 さてと、メイウエザーと那須川の試合はフェイクだという話題が、ネット上を飛び回ってる。”メイウエザーvs那須川”ブログでもコメントしたが、満更フェイクではない様にも思うが。色んな記事を読むと、やっぱりかっていう気にはなる。やはり私もフェイクには弱いのだ。

 元々、異種格闘技自体がフェイクだろう。私達はそれを知りつつも、そのフェイクに熱狂したではないか。”アリ対猪木”なんて茶番と知りながら日本列島が大騒ぎした。いや、茶番だから大騒ぎになった。セメントという名の血生臭いフェイクだったが。

 メイウエザーと那須川も、ボクシングVSキックという段階でフェイクだし、茶番だとは解ってたし、だからこそ日本中が大騒ぎした。


 でも茶番なのは、こういった異種格闘技だけではない。ボクシングも古代ボクシングのベアナックルの時代は、拳に針金を巻き付け、相手が死ぬまで殴り合うという純度100%の”ホンモノ”であった。

 その後、階級性になり、グローブ着用になり、15Rになり、フェイクが隅々にまで介入する様になった。ファイトマネーに然り、ベルトに然り、ボクサーという存在すらフェイクの対象になり得た。多階級制覇なんてのはその典型でもあろう。パウンドフォーパウンドなんて全く笑わせる。


 いやボクシングだけではない。ベースボールなんてフェイクが地盤になってる。フェイク抜きにはベースボールなんて語れない。詳しくは、私めの”野球とNY”ブログ参照ですよ。

 それどころか、スポーツ全体がフェイクと言ってもいい。ルールというフェイク、フェイクというルール。ルールが先かフェイクが先か。故にオリンピックも、世界を巻き込む最大の”フェイクの祭典”である。


 しかし前述した様に、私達の祖先であるホモサピエンスも、このフェイクのお陰で繁栄し、文明を築ける唯一の生命体として今に至る。つまり、フェイクは人類が生き延びる為の必要不可欠な手段である。

 そしてもう一度我々は、このフェイクを正確に誤解なく再認識する必要がある。これを”サピエンス全史”的に言えば、”再認識革命”という事になるのか。

 つまり、その試合がフェイクかどうかは全く問題ない。肝心なのはそのフェイクに、ファイターやそれを取り巻くメディアや我ら観客を含めた当事者が、どう挑み理解するかである。


 ボクシングについて言えば、過去そのフェイクに挑んだ偉大なボクサーが少なからずいた。私が知ってる限りにおいては、その筆頭がロベルト・デュラン。
 彼はライトからミドル級までフェイクを排除した、唯一ハグラーを除いてはだが。トーマス・ハーンズもウエルターからスーパーミドルまでフェイクを排除しようとしたが、これまたハグラーに阻まれた。”マーベラス”という異名は伊達じゃなかった。
 レイレナードでさえ、その超難敵ハグラーには勝ったが、流石にフェイクを使わざるを得なかった。詳しくは自分で調べてね(笑)。 

 一対一のガチンコでもセメントでも、フェイクは存在するし、”リアルに魅せる”為には、フェイクは必須なんです。


 故に、メイウエザーvs那須川がフェイクだったとして何ら問題ではなく、二人がそのフェイクに対しどう挑んだかである。

 勿論、メイウエザーは10億のマネーが保証されてたから、3Rを逃げ切るだけでよかった。フェイクにどっぷりと浸かって遊んでればよかった。愛人を何人連れてきたかなんて、全く問題にはならない筈だ。

 チキンやサラダを大量に注文した挙げ句、食べずに去っていったなんて報道はやめた方がいい。日本で高級娼婦を用意しなかっただけでも安く付いたと思うべきか(笑)。


 しかし、那須川はそうはいかない。フェイクに戯れる余裕も必要もなかった。数億のマネーがメイウエザー側から転がり込む好条件を破棄しても、本気でメイウエザーを潰すべきだった。フェイクは潰す為にあるし、潰す事で輝きを増し、リアルさを増す。

 一蹴りあたり2億円の罰金が掛かるキックを披露してもよかった。いや、蹴りを入れるべきだった。ルール違反かもしれないが、フェイクには代りはない。ルールなんてフェイクなんだから。

 フェイクもルールも契約も破る為にあるとは、マクドの創始者レイクロックの言葉だ。つまり、フェイクやルールを破ってもフェイクやルールのままなのだ。歴史がそれを証明してるではないか。  
 

 那須川は借金を背負ってでも、メイウエザーに蹴りを浴びせ、潰して欲しかった。メイウエザーに生涯唯一の汚点をつければ、キック20発分の罰金なんてチャラだろう。

 つまり、反則もまたフェイクであるし、反則によって相手が大怪我しても、観客は本気モードの茶番だと大喜びする。大怪我した相手が無敗のメイウエザーなら余計にだ。

 しかし、メイウエザーは那須川にそんな度胸がない事は判りきってた。だから、この”安全牌のフェイク”を引き受けた。
 
 勿論、結果はメイウエザーのフェイクが那須川の全てを支配した。フェイク慣れしてるメイウエザーが役者が一枚も二枚も上だった。
 だがやりようによっては、那須川がメイウエザーを潰せただけに、非常に残念だ。ローキックでメイウエザーを追い込み、膝でトドメを刺す事もできた筈なのに。

 猪木がローキックを使ってアリの左脚を破壊した様に。ローキックという実像がアリのフェイクを粉砕したかに見えたが、アリは必死に堪えた。自身のフェイクを守る為に必死に耐えた。アリの執念と苦闘は、猪木という実像を遥かに超えていた。


 メイウエザーは那須川サイドが日本人が思ってる程には強くはない。しかし、我らサピエンスが思ってる以上に、”フェイク慣れ”してる怪物だ。だから彼は負けないでいられる。 



4 コメント

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人生がフェイクそのもの (肱雲)
2019-01-09 04:57:43
全ては八百長です。これを全否定出来ない。何故なら、我々の出生自体が、いかがわしさで覆われているではないか!
Re:人生がフェイクそのもの (lemonwater2017)
2019-01-09 05:35:18
その八百長、つまりフェイクが実像と融合する時、凄まじい輝きを放つんでしょうね。

まさに今、人類はこのフェイクを再認識する必要があると思います。
イラスト素敵です (HooRoo)
2019-01-10 00:43:20
イラストが素敵ね。アリの驚いた表情がイイナ。

フェイクは潰すためにある?ルールは破るためにある?ウ~ンよくわかんないけど。

つまり、フェイクって真実と虚構を上手く行き来してるってこと?

転んだサン的に言えば、真実と虚構のスペクトルを私達が上手に往復してるって事かな。そのバランスが崩れた時、戦争や災難が起きるってこと?

ウ~ンよくわかんないな。
真実と虚構の間で (lemonwater2017)
2019-01-10 03:45:23
Hoo嬢が言う様に、人類は真実と虚構の間で揺れ動く生き物なんです。

それを頭で理解するには、数学的思考が必要かと。数学も虚数と実数の間で揺れ動く学問ですもの。

そういう事でご理解をお願いです。

ではバイバイ。

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