印象に残ったのは、オープニングのバスルームでの欲情のシーンだった。
いきなり、性器の割れ目が丸出しの超エロいシーンに、オジサンの目は釘付けになってしまう。
実はこの女、何と50歳を目前に控えたアンジー・ディキンソン(1931~)という女優さんで、ブライアン・デ・パルマ監督にその色気と美的センスが活かされ、欲求不満の人妻役を見事なまでに演じている。
日本では殆ど馴染みのないディキンソンだが、「課外教授」(1971)でも40歳代ながら、これまたエロ過ぎる女教師役を演じ、高校生の私は「殺しのドレス」(1980)同様に、欲情の底知れない深い渦に陥ったもんだ。
ドレスとメイクはエロを謳歌する
”美人は3日で飽きる。エロは5分で萎える。ブロンドは30で劣化する”というのが私の格言ではあるが(笑)。アンジー・ディキンソンは、意外にも息の長い肉体派の女優さんだ。
クールな色気とスレンダーな肢体と脚線美で「リオブラボー」(1959)で一線に立ったが、その後は地味な印象が続く(Wiki)。事実、若い時はとても美人だが、不思議と役柄には恵まれなかった。
しかし、サゾマニアで変態?のデ・パルマ監督に見初められた辺りは、Nアレンとよく似てはいる。お陰で、「殺しのドレス」はディキンソン自身の最高の代表作となる。
今日紹介する、「殺しのドレス」(1980)はずっと昔に見た覚えがあるが、殆ど印象には残らなかった。ディキンソンもNアレンも殆ど記憶にない。
パンツを脱がされる中途なエロシーンだけが、不思議と印象に残ってるだけだった。
しかし、借りて大正解だった。ナンシー・アレン目当てに借りたんだが、お宝に出会った感じがした。
展開自体は、ヒチコックの「サイコ」(1960)を参考にしたらしく、サイコサスペンスにエロを大胆にぶつけた感じに仕上がってはいる。ただ、幕引きが曖昧な形で終わっただけに、中途半端な呆気ない感じは歪めない。
エロチックでミステリックな質感が強かで鮮やかに表現されてたので、そこだけが非常に残念ではある。
どうも、デ・パルマ監督は最後のツメが甘いらしい。
夜の女はドレスで決まる
原題は”Dressed to kill”が示すように、”男を悩殺する魅惑なドレス”が映像を支配する。
ディキンソンの白いドレスもアレンの青いドレスも、異常なまでの濃密で恍惚なほどの媚態を、満遍なく振りまいていた。
孫にも衣装じゃないが、夜の女はメイクとドレスで全てが決まると思う。つまり、性格や人格や中身は論外なのだ。勿論、知識や教養なんて必要な筈がないし、彼女たちは無知で馬鹿だから許せるのだ。
それに、ナンシー・アレンの娼婦役は実にハマっている。当時、彼女の夫でもあったデ・パルマ監督が、3作続けて彼女を娼婦役に抜擢したのも大正解だ。
この女優は、娼婦を娼婦以上にマルチに演出できる、最高の演技マニアだと思った。肉体自体はそこまでエロくはない。乳房は小ぶりだし、ダイナマイトバディという派手な肉厚感はない。
つまり彼女は、知性でエロチシズムを最大限に表現できる能力を持ってるのだろう。
しかし、フィルム上で見る彼女こそが我らが追い求める理想の娼婦である。勿論、こんなエスコートレディが存在するなら、売春業は成り立たないだろう。
つまり、夜の商売に質を求める事自体がタブーなのだから。
先日紹介した「ミッドナイトクロス」(1981)で彼女にのめり込んでしまったが、お陰で「殺しのドレス」ではそれ以上に埋没してしまった。
”クリーブランドさんでしょ?”
”ああ、いやいや、生まれがクリーブランドという事で・・・”
”あの〜実は私、エスコートレディなんですけど。クリーブランドさんですよね?”
”えっ、君がか?”
”悪いけど、部屋の中へ入らせてもらえる?”
”ああぁ、どうぞどうぞ”
このシーンには大いに笑った。
娼婦を予約した客が、彼女が美しすぎて娼婦には見えずに、一度は断りかけそうになるシーンだ。
こんな娼婦を演じれるのは、世界広しと言えど、ナンシー・アレンしかいない様な気もする。
乳首半見え(写真)の彼女も悪くはないが、青いドレスの彼女の方がエロチシズムとしては絶品だった。
毎晩の様に彼女を思いつめ、眠りにつくのだが、一向に夢には出てくれない。今では、彼女が”遠い声遠い女”に思える様になってきた。
それにしても、久しぶりに昭和の時代の良き古き、逸脱した”エロチシズム”を堪能出来たような気がする。
フランスの映画は知ってたけど
課外授業ってのがあったんだ
アンジーディキンソンって
女優さん、やっぱり知らないね
1971年の作品だから
少しパクったのかもしれないけど
トレーラーを見る限り
サスペンス映画みたいだ
殺しのドレスもサスペンス映画みたいだけど
トレーラー見る限り
そんなエロそうには見けないけど
ナンシーアレンの心の中には
転んださんの高次な思考を持ってしても
入り込めないってことか
浴場での欲情ですかぁ
洒落はともかく、50近くになる女優さんも凄い張り切りようで・・・
パルマ監督というのは奇をてらったのが好きな監督ではないでしょうか?
3作続けてカミさんを娼婦役で出演させたり、オープニングでいきなり性のクライマックスに持っていく辺りは、名監督の資質を持ち合わせてますよ。
でもナンシーロペスの乳首半見えには、興奮しますね😍
でも「課外授業」の方は、どこにでもいる様なオバサン風の中年女教師だったから、余計に興奮しました。
結局エロチシズムって、年齢や見た目じゃないんですよね。どれだけ官能の境地に迷いこませるかだけなんですよ。そういう意味ではフェチに似てますが、どーでしょー?
殺人犯の精神科医の前で脱ぐんですが、意外にイマイチだった。シャワーシーンでは全裸でしたが、胸はないに等しかったです(笑)。露骨な濡れ場なら、アンジーディキンソンの方が上ですかね。
ナンシーアレンはあくまでも演技派女優なんですよ。
ただ、「ミッドナイトクロス」も「殺しのドレス」も終わり方が中途半端でしたね。そこだけが残念!
ただデ・パルマは非常に多彩&多感で才能溢れる監督ですが、賛否両論が極端に分かれる嫌いがありますね。
大胆かつ繊細な性描写は、その色彩を持ってして非常に鮮やかですが。度が過ぎるとザゾ系変態に映るのか?それらを嫌う評論家も多いです。
個人的には大好きな監督ですが、なぜかその才能に見合う評価はなされてません。
転んだサン言うように、幕切れが中途半端という欠点が致命傷になってるんでしょうか。とても惜しい監督だと思います。
それと取り巻きにも恵まれていないようですね。「キャリー」を見た時は、ハリウッドの王道を突っ走るのかなとも思ったんですが。
才能だけじゃ成功は勝ち取れないんですよね。
2人のエロチックな女優もとてもいい演技してましたね。エロのあり方というより、エロチシズムの表現と色彩のあり方を改めて知らされた感がします。