暇つぶしに・・・

絵を描いたり写真を撮ったり。

鬼の面

2017-10-14 | 小説/エッセー
岐阜県揖斐郡の伝説に、鬼の面が取れなくなったという話があります。

http://www.nichibun.ac.jp/YoukaiCard/2363108.shtml


この話をもとにしたパロディーを作りました。


 昔々 あるところにパンダ爺とバニー婆が住んでいました。パンダ爺は警官です。最近、山に鬼が出てきて悪さをするというので、パンダ爺は毎日山へ捜査に行きました。
仕事とはいえ、毎晩帰りが遅いパンダ爺を快く思わなかったバニー婆は、
鬼に化けて爺さんを脅かしてやろうと思いました。

ある晩、バニー婆は山に出かけていきました。木の陰に隠れてまっているとパンダ爺がやってきました。バニー婆は鬼の面をつけてパンダ爺の前に飛び出しました。すると、パンダ爺は驚きもせず、すかさず懐から「パグナム44」を取り出しバニー婆に銃口を向けました。
びっくりしたのはバニー婆です。
「ワオ! アイムソーリー、ソーリー。私、鬼じゃない、バニーだよ、ほら」

 といって、面を外そうとしましたがどれだけ面を引っ張っても外れません。



パンダ爺に追いかけられたバニー婆は野を超え谷こえ、聞くところによりますと、今はこたつと呼ばれている小さな洞窟に隠れているようです。






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原爆の日によせて

2017-08-09 | 小説/エッセー
五年前に書いた作品です。

『天に咲く花』

http://www5.hp-ez.com/hp/sfpd/page44
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医者嫌い 

2017-02-26 | 小説/エッセー

小説サークルにいたときに書いた作品。

「嵐」という漢字を使って何か書けという課題。

 

-----------------------------------------------------------

最近、具合が悪い、もしかして病気かなと思ったとき・・・・・・
あなたはどのタイプだろうか?
1、 すぐに病院に行く
2、 しばらく様子を見て、それでも治らなければ病院に行く
3、 我慢できる症状なら自分で何とかする
4、 何もしない。ただ天命に従うのみ。

もちろんこれは、病気の程度にもよるが、我慢比べではないのだから、健康で快適な生活をしたければ早めに医者に診てもらった方がいい。かつては不治の病といわれた癌ですら初期の段階ならば完治するというくらいだから、早期発見、早期治療がいかに重要かは言うまでもないことである。近所の人の話では、身体の具合が悪くなると病院の待合室に行って知り合いを見つけ、嫁の悪口を言って帰ってくるオバァチャンがいるらしい。そうすることでストレスが解消され元気になるというのなら、これも早期治療のひとつということになるのだろう。

 
私はといえば、冒頭に書いた4タイプの中の4番に近い3番だと思う。褒められた話ではないが、自分ごときの病気のために金を使うのはもったいないような気がするのだ。これは若いころ、借金だらけの生活を経験したせいで、そういう考えになってしまったようだ。医者に払う金があるなら借金の返済に回した方がいい、そうしないと子供のミルクも買えないというお涙頂戴浪花節的暮らしを約10年間続けた。友人は私のことを医者嫌いだと思っているようだが、そうではない。医者に行く金がなかったのだ。そういうわけで自分の体に随分と無理をさせてしまった。そのせいなのか40を過ぎたころから一気に体の調子が悪くなり、今は貧乏人ではなく半病人になってしまった。
人の身体は自分で思うほど弱くもなければ強くもない。無理をすればそのときは良くても何十年後に、酷使されたことを恨みに思った「体」から報復される。どこぞの国で起こっているテロと同じなのだ。だからテロの嵐が吹き荒れる前に手を打たなければならない。皆様も、身体の具合が悪い時は、無理をせず、なるべく早めに医者に行き、お身体ご自愛くださいと、人には言うのだが・・・・・・。


病院には何故、値段を書いた診察メニューがないのだろうか。診察が終わって会計の窓口で呼ばれるまで値段がわからないというのは、『時価』とかいたメニューしかない料亭にいるような気になってくる。お金が足りなかったらどうしようと、後で足りない分を持ってきますなんて言うのは恥ずかしい、と、そんなことを考えていると何か胸のあたりがざわざわしてしょうがない。診察中も、先生から「レントゲンを撮ります」と言われると、『何枚撮るんだろうか、一枚いくらだろうか』と値段が気になってしょうがない。先生の口から検査の名前が出るたびに、頭の中で電卓の数字がパチパチして病気の心配よりも治療費の心配のほうが大きくなっていくのである。
病院からの帰り道にいつも思うことは、
『血液検査、CT,MRI,その他いろいろ、痛い思いをして血をとられて、何故、こっちが金を払わなければいけないのか・・・・・・ああ、理不尽だ、理不尽だ!』


病院の待合室には『健康に勝る宝なし。健康第一。定期健診で病気を予防。早期発見に努めましょう』と書いたポスターが貼ってある。まったくもってその通り。これが良いことはわかっているが、私の場合は、どうしても貧乏暮らしで染みついたドケチ根性が災いして、病院に行くのをやめてしまう。
現在、更年期に片頭痛、高血圧、腰痛、四肢の痺れなど、いくつかの病気を抱えているが、先ず最初に治さなければならないのは『医者に行きたくない症候群』かもしれない。
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キティタイムマガジン

2017-02-20 | 小説/エッセー

昔の作品が出てきた。これ、2012年に書いた話です。

 

アメリカでは3月初旬からサマータイムが始まった。それに伴い、ヒューマンワールドでは時計の針を一時間だけ進めなければならない。もう少し、詳しく説明すると、今まで朝の六時に起きていた人は、サマータイムにチェンジしたときから、既に時刻は7時になっているわけで、大慌てでベッドを抜け出し、遅刻ギリギリで会社に飛び込むことになる。また、今まで5時に仕事が終わっていた人は、「やっと帰れるか、今日は定時に帰れるぞ、うちに帰ってビールでも飲むか」と思って時計を見たときには既に一時間も残業していたということになる。早い話が、サマータイムが始まると、大勢のアメリカ人の頭がこんがらがるのである。
 ところが、世の中がどれほど変化しようがいつも「我が道をいく」という生き物がいる。
それが家の猫である。
 槍が降ろうが鉄砲の弾が飛んでこようが、「ヘ」とも思わない。最近では稲光には多少は反応するようになったが、雷がなっても「だからそれが何なのさ?」という顔で、相も変わらず、2階の窓から涼しい顔で世の中を眺めている。この「鈍感さ」は「図々しい」と呼べばいいのか、それとも「たくましい」というべきか。飼い主としては、この猫の性分にあやかりたいと思うときもある。
 アメリカで猫と暮らすようになってから、新しい発見をした。猫という生き物は、世間のことに無関心のように見えて、実は人間以上に世の動きを機敏にキャッチしているのである。従って、世間がサマータイムで混乱を起こしていても、うちの猫の生活には何のトラブルももたらさない。
 我が家には猫が3匹いるが私たち夫婦は、彼らのことをキティーマフィアと呼んでいる。サマータイムであろうとなかろうと、毎晩夜中の2時になると、キティーマフィアの中でも一番マッチョなオス猫が夫を起こしに来る。最初は優しく顔をこすりつけ、それでも起きないと耳元で猫なで声、それでもダメなときは、夫の顔を猫パンチ。それが効かないとわかると、足元に噛み付く。
「初めやさしく、最後は脅せ!」
これはマフィアの常套手段で、ヒューマンワールドでもよく使われる方法である。
 一体何が目的で夜中の2時に起こすのか、猫に聞いたことがある。
「おめえらが、夕食にツナをたんまりくれねぇからよ。腹が減るんだよ。もう翌日になったんだ。2時はオレ様たちの第一回目のブレックファーストタイムだ。覚えとけ!」
 とまぁ、こういう理由で、毎朝2時になると、寝惚け眼で寒いキッチンへ行って、猫のためにツナ缶を開けるのが夫の朝の日課になってしまった。

キティーマフィアの腹が満たされ、しばらくは脅される心配はないことがわかると、夫はベッドに戻ってくる。そして、いつも言うことは、
「どうして時間がわかるんだ。あいつらは、サマータイムが始まったことを知ってるのか?どうして2時だってわかったんだ。時計の針を一時間進めたを見てたのか? どうしてだ?」

  これは私たち夫婦にとって、いや、猫族と暮らす全ての人々にとって永遠の謎かもしれない。一度、猫に聞いてみたが、口を耳まで釣り上げて細い目で睨むだけで何も答えなかった。もしかしたら,彼らは私たちの目には見えない高級で精巧な金色のロレックスを持っているのかもしれない。


(the end)

 

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過去作、小説

2017-02-14 | 小説/エッセー

小説サークルにいたころに書いた作品を載せてるブログです。

毎回、課題として漢字一文字が与えられます。

小説でもエッセーでも、詩でもジャンルは自由。課題の漢字が使ってあったらOK。

http://orangesf.exblog.jp/20359286/

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小説

2017-02-14 | 小説/エッセー

数年前に書いた小説が置いてあります。

未完の作品もあります。

気が向いたら書こうと思ったけど、たぶんもう書かないと思う。

頸椎ヘルニアで椅子に座ってるのがつらい。

http://www5.hp-ez.com/hp/sfpd/page2

 

 

 

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童話

2013-09-26 | 小説/エッセー

 

  ぼってりと灰色に垂れこめた雲の底から細長いトゲが出てきました。それはゆっくりと地面に向かって伸びていきます。ぐねぐねとその身をひねりながら太く大きくなり、やがてそのトゲは渦を巻く巨大な角(つの)に姿を変えました。でも、背の低い木の葉の影にいたイモムシの子供たちには空のできごとは見えません。

  渦の角が遠くの牧草地を突き刺し、稲光を伴って子供たちのいる森へ近づいてきます。黒い渦の叫びが次第に大きくなってきました。その声は、シィューゥ、ヒュユゥーという蛇の出す音のようでもあり、狼の遠吠えのようにも聞こえます。木の葉がざわめき、森の仲間に危険を知らせます。木の枝の高いところにいた鳥たちは、安全な地平線を目指して飛び去っていきました。
 それでもイモムシの子供たちは気がつきませんでした。その時、子供たちの心にあったことは、将来、蝶々になったときの羽の色。子供たちはこんな話に夢中です。

 

「ぼくのママとパパは白いちょうちょになったよ。だからぼくも白になるんだ」
 一番小さなイモムシが言いました。
「白はちょっとさみしいよ。黄色い模様があったほうが良くないか?」
 二番目に小さいイモムシが言いました。
「ボクは夕焼けの色がいいな。葉っぱの間から見たことあるんだ。よくわかんないけど、色が変わるんだよ。濃くなったり薄くなったり。すごく綺麗なんだ」
 三番目に小さなイモムシが言いました。
「わたしはピンクになりたい。バラの花のピンク、とっても綺麗でしょ」
 女の子のイモムシが言いました。
「でも、ぼく、まだ緑だよ。ママやパパみたいな白い羽はいつもらえるの?」
「よくわかんないけど、チョウチョになる時にもらえるんじゃないか」
「アゲハのおばちゃんが言ってたけど、羽をもらう前に、サナギっていうのにならなきゃいけないんだ」
 一番大きなイモムシが言いました。
「サナギ? ぼく、木になっちゃうの? 白い木? それとも緑のまま?」
「ちがうよ。サナギは木じゃないよ。とにかく、サナギにならないと羽がもらえないんだ」
「誰が羽を持ってきてくれるの? 羽の色は誰が決めるの?」
 女の子のイモムシが訊きました。
「よくわかんないけど、たぶん、神様」
「僕もそう思う。アゲハのおばちゃんが言ってたけど、神様はどんなことでもできるんだって。この色にしてくださいってお願いしたらチョウチョになる時に神様が持ってきてくれるんだよ。でも、お願いするときは一回にひとつだけにしないとダメなんだ。神様は欲張りは嫌いなんだって。ねぇ、いいこと考えた。今からみんなで神さまにお願いしようよ」

子供たちは、目をつむり、大好きな色の羽を心に思い浮かべて神様にお願いしました。
『パパとママと同じ白をください。白い羽なら、ちっちゃくてもいいです』
『かわいいバラのピンクをください』
『黄色い羽がほしいです』
『アゲハのおばさんのような色にしてください』
『夕焼け色の羽をください』

 

 

  突然、辺りが真夜中の黒にかわり、バラバラと氷の石つぶてが大量に降ってきました。風が叫び、横殴りの冷たい雨が弓矢のよう木の葉を突き刺しています。地の底から響く恐ろしい唸り声。大地に根を張った大きな樹木があっという間に地面から吹き上がり瞬く間に上空へ吸い込まれていきました。
真っ黒な雲から伸びた巨大な角は、高速で回るドリルのように情け容赦なく地面を引っかき掘り返していきます。イモムシの子供たちは、得体の知れない強い力に押されて空中に吹き飛ばされ、黒い渦に飲み込まれてしまいました。小さな体が恐ろしい力で上に下に、右に左に振り回されています。「怖い」と感じるよりも前に気を失ってしまった子供たちには何が起こっているのか全くわかりません。

 

気がついたときには、真っ白なミルク色の空間の中に浮かんでいました。子供たちの周りには、色とりどりの花びらがゆらゆらと螺旋を描いて舞っています。

「ここはどこだろう。僕たち、どうしたんだろう」
「死んじゃったのかな」
「ちがうよ。だって、どこも痛くないよ。ちっとも苦しくないよ」

 白い空間の中でキラキラと輝く花びらが、子供たちの背中にふわりと落ちました。
「ねぇ、みてみて。わたしの背中。ピンクの花びら」
「僕のは黄色だ」
「ねぇ、これ、ピンクの羽みたい」
「チョウチョになったの? ぼく、まだ緑だよ?」
「よくわかんないけど、きっと神さまに願いが通じたんだよ」
「アゲハのおばちゃんが言ってたけど、サナギの時ってまわりが真っ暗なんだって。ほら、さっき、急に真っ暗になっただろ。あれがサナギだったんだよ。僕たち、これからチョウチョになるから神様が羽をくれたんだ。きっとそうだよ」
「みてよ、みてよ!、ねぇ、すごいよ! ぼくの背中、白い花びら、光ってる。金色もある。銀も! 綺麗な花びらがいっぱいだよ!」

 

イモムシの子供たちは、空間に舞う花びらを取り、背中につけてあそび始めました。

「ねぇ、あそこ、みて! ずっと上のほう。おひさまの光みたいにすごくまぶしい。ピンクの花びらはあそこから落ちてくるみたい」
 イモムシの子供たちは花びらの羽をひらひらさせながら光の方に顔を向けました。
「ホントだ。黄色い花びらもたくさん落ちてくる」
「ボク、葉っぱの間からあんな光、見たことあるよ。よくわかんないけど、きっと、あそこが出口だよ。行ってみようよ」
「でも、ずいぶん遠いよ。ぼくの白い羽、ちっちゃいよ。あんなに遠くまで行けるかな」
「大丈夫だよ。絶対いけるよ。僕たち、もうイモムシじゃないんだよ。チョウチョになったんだ。サナギから出たら、大きく羽を広げて、勇気を持って光に向かって飛べって」
「アゲハのおばちゃんが言ったの?」
 一番小さなイモムシが訊きました。
「ちがう。父さんだ」
 はるか彼方の光を見上げ、ルリ色に輝く花びらの羽を大きく開きました。
「神様が羽をくれたんだ。どんな高い所へだって飛んでいけるよ。さぁ、一緒に行こう」




*****

    



 巨大な黒い渦が消えてまもなく、雲の切れ間から光が差し込みました。その光の中を空の高みを目指して飛んでいく七色に輝く小さな蝶の群れがありました。

                    (了)

下書き用イラスト




 

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