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「神聖な儀式」に向けてⅦ

2008年03月25日 15時19分37秒 | Weblog
 その日から三日間、ヒトミは帰省するとチーフに言って休暇を取っていた。ふーっと息をついて、ジーンズのポケットからハイライトを出した。出勤の人ごみができるにはまだ早い時間だった。口にくわえてライターを探していると後ろから肩を叩かれた。振り向くと悟がいた。ギョッと叫んで飛び上がり、後ずさった。悟は久しぶりと言い、成績が悪いのが親に知れて仕送りが減らされた。フルーツの問屋でバイトをしている。朝が早いので大変だ。今度暇があったら飲みいこうと言うと品川方面の電車に飛び乗り行ってしまった。何もなかったように、親しい友達のように、彼は自分のことだけ話して行ってしまった。ヒトミはもう一度、ベンチに座りなおし、煙草に火をつけた。疲れていた。眠気がまたヒトミを襲った。
 今度は全裸の母がヒトミの部屋にいた。母は四つん這いになり、顔をしたから上に持ち上げて、艶っぽい視線でヒトミを見た。病弱だった母の肢体はその時は、自分のそれよりも溌剌としていて艶かしさが漂っていた。