何も持たず存在するということ (2008年6月出版)
今まで角田さんのエッセイ本は何冊か読んできたけれど、その中でもこの本は、ぐっと来る話しが一番多く集められている本でした。後半「言葉からはじまる」以後に、そういうお話が多かったかな
お母さん、お父さん(お二方の死についても)、直木賞と角田さん、編集者さんや角田さんを応援している仕事仲間、先生、作家の先輩のこと・・。角田さん自らが語る、自分とその人達とのこと。あの小説を書いた時の彼女の心理状態や、何を思って書いたのか?など、とっても興味深かったです。
彼女が「書く」ということが、どれだけ大切な事なのか、って事も解りました。それでいて、いつも謙虚で、どこか自信が無い様な処も好きだな~
「言葉からはじまる」「才能ではなくて」
子供の頃からの作文がず~っと残っているというのにびっくり。そして7歳で作家になろうと思ったということ、作文を書くのにハマって毎日それを担任の先生に見せていた過去など、角田さんの書くことのルーツに触れています。
「読んでもらう」
お父さんが入院していた時、高3で、作文に父が死んだ事を書こうと、まだ存命中に決めており、どんな文章にするかもあらかた決めていて、その分は文集に載ったものの・・・・ この話しも違う意味でぐっと来ました。
「黒と色彩」「たぶん、書くことでわかる」
この2つは特に好き。涙腺がヤバかったです。
私は、角田さんご自身がどういう人なのかな?というのに興味があるので、小説に出て来たエピソードが、実際彼女の身の上にも重なる事だったんだな・・・というのは、とても興味深く感じてしまうんです。
角田さんのお姉さんがピアノが上手で髪が長く、赤やオレンジの服を着せてもらう人で、角田さんは、男の子みたいな青い服をいつも着ていて、ショートカットだった・・・というのとか、「違いに揺るがぬ強靱さ」←以前読売新聞に掲載されたのを読んだことがあった)では、母の姉妹であるおばと、とても仲が良かったこと。八日目の蝉を作るに当たってのエピソードなどが興味深かったです。
以下は前半に書かれてたもので、印象に残ったお話。
「待つと言うこと」「出勤」
私もアクセクしたくないと思いつつ、つい電車やら人混みやらにまぎれてしまう。反省せねば。
「本が映す自分」
昔自分が苦手だった本が大人になってみたら、その良さが解ったりする・・・。
「本はいつだって私たち自身の鏡なのだと思う・・・」言えてます!
笑ったり、同じ、同じ!って楽しめるお話が多い角田さんのエッセイ集も、もちろん好きですが、このエッセイ集は、ちょっと個人的なことに踏み込んでうち明けてくれる系のエッセイだったので、角田さんファンとしては、とても嬉しかったというか、なんというか、良かったです。私的には、4つ☆半
以前書いた角田光代さんの本の感想
角田光代さんの小説色々感想まとめ
「三面記事小説」「マザコン」
ロック母
「薄闇シルエット」凄く共感、良かった 角田光代
「いつも旅のなか」「誰かのことを強く思ってみたかった」
「presents」「夜をゆく飛行機」
「恋をしよう。夢をみよう。旅にでよう。」 「恋するように旅をして」の感想
「対岸の彼女」感想と、全あらずじ
ドラママチ 「太陽と毒ぐも」「12星座の恋物語 」感想
「八日目の蝉」 角田光代 凄く引き込まれて一気読み
相乗効果で読んだりすることがあります。
最近、小説やエッセイはあんまり読んでいないのですが、やはりlatifaさんのBLOGを読んでいると、とても参考になり、読んでみたくなるのです。
小川洋子さんのコメントが新聞に載っていたら、latifaさんに報告しないと と思ったりします。
掲載されてたのは、子供の頃に不器用でボタンを留めることが出来なかったらしく、母の期待に応えられない愚図な自分が惨めで、ブラウスを着ながら「ボタンちゃんとボタンホールちゃん」という話を作った。
とか、小説の舞台になる町の地図や家の間取りを書くところから始まる。とか色々ありました。
角田さんのエッセイを読んでみたいなあ。
いやぁ~私の読むものって、凄く片寄っていると思いますし、女性向けの作品が好きな気がします(←自己分析で)だから、もしかしたら全然参考にならないんじゃないかな~と思ったりします・・
小川さんのお話、なんだか解るなぁ~と思いました。存在する音楽さんがお話して下さったその短い文章だけでも、小川さんが書きそうな家族ものの短編が浮かぶ様です
私も新聞とか雑誌とかTVとかで、佐野君とか最近だと上原ひろみさんの事が載っていると、存在する音楽さんの事が頭に浮かびますよ
ぐっとくるお話しが多かったですね。
また時間を空けて読んでみたくなりました。
最近の角田さんの作品の裏側に触れた内容が多くて、興味深かったですよね。
笑える内容のエッセイも楽しくて好きですが、こういうぐっとくる内容は、もっと好きかもです。
実は角田さんの本って「対岸の彼女」と「空中庭園」しか読んでいないかも。
彼女の小説って女性のちょっと痛いところを突いてくるって思いません?
それで、多分、私は彼女の小説は居心地が悪いのかもしれない(嫌いという意味ではなくて)
エッセイはとても良かったです。
7歳の頃から書いていたなんてすごいね~。
でも、これでもかこれでもかって書いてくる角田さんに対して、先生のコメントがあまりになおざりじゃなかったですか?
あの先生の対応はいかがなものでしょう。
伸びる芽を摘んじゃう可能性だってあったわけでしょう?
プンプン!
角田さんが小説を書く意義も強く感じられたし、読んでよかったと思える本でした。
紹介してくださってありがとう♪♪♪
そうそう、角田さんのご主人って芥川賞作家の伊藤たかみ氏なのね~。
このエッセイを読んだ時点では角田さんって結婚願望がなさそうなイメージだったわ。
>女性のちょっと痛いところを突いてくる
それで、多分、私は彼女の小説は居心地が悪いのかもしれない(嫌いという意味ではなくて)
解ります!!そうなんです。そこが角田さんの個性とでもいいましょうか・・・。だから読むとどっと疲れちゃう・・・という方もいらっしゃるし、ミチさんの言う居心地の悪さから、手に取るのを躊躇しちゃう・・って声も何度も聞いたことがあります
私は途中からそのエグさとでもいいましょうか・・・角田さんのそういう部分を怖い物見たさみたいな感じで楽しめる様になってしまったんです。で、今回はどんな風にぐさっとさせてくれるかな?と、楽しみだったりします
多分このエッセイも、角田さんのファンだったから、☆が一杯ついちゃったのかな・・・と思います。(あまり家族とかプライベートな事をうち明けてくれる方じゃなかったので、かいま見れたのが嬉しかったのです)
先生のエピソードは、私もミチさんと同じ事思ったわ。こんな書くことに一生懸命な小さな生徒に、面倒だったとしても、もうちょっと親身になってあげて欲しかったなぁ~と。
でも、角田さんのかつて書いた小説の中で、担任教師を憎み続けて・・・って感じのお話が一つじゃなくて幾つかあったと記憶してるから、もしかして、角田さんって担任運が悪かったとか、その作文の先生に限らず、幾人か、もしくは誰かある先生と相性がすごく悪い経験をしたのかも・・・。
伊藤たかみさんと結婚してたっていうのは私もビックリ。結婚しないって感じだったので・・。
ミチさんには、ぜひぜひ「八日目の蝉」を読んで頂きたいですっ!!