ポコアポコヤ

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「1Q84」と「少年カフカ」の感想

2009-08-28 | 小説・漫画他

「1Q84」を読む前に、図書館でふと目についた漫画本サイズの書籍「少年カフカ」。中を見てみたら、沢山の質問者のメールに村上さんがお返事しているのが膨大におさめられている本だったんです。面白そうだな~と、「海辺のカフカ」を読んでいないのにもかかわらず借りて来て読みました。
読んで解ったことは、やっぱり村上春樹って人が好きだ。ということと、良い人だなぁ~と思った事でした。

一番印象に残って、かつ哀しかったお手紙は、、差出人の女性は、昔村上さんがやっていてたジャズ喫茶に、側にあった塾をさぼる時によく立ち寄っていたという人。彼女はそのお店で、にこっと微笑んでくれてたそのお兄さんが、自分がデビュー当時からずっと好きな村上春樹という作家その人だったと後々解るんです。なんて良い話じゃないか?!と思うでしょう。ところが、その人は、最近の村上作品は苦手で、最初の自分が大好きだったものとは変わってしまったと書いているんですよ・・・。
同様に、昔の村上作品は大好きだったが、ノルウェイ以後は合わなくなってしまった・・・という私と同じ様な、かつて大ファンだった人・・が結構いらっしゃったことにびっくり・・・。 そういうメールもちゃんと堂々と載せているし、その人たちへの村上さんの答えも自然で良い感じなんです。

村上さん曰く、村上さんもその読者さんもずっと同じではいられないわけで、変わって当然。同じ様に長年に好きでいるというのは難しい事だけど、たとえ今合わなくなってしまったとしても、またいつか合う事が出来るかもしれないのを期待します・・と書かれていて、結構ジーンと来たんです。

私は、ノルウェイの森以後、村上さんの小説からぱったり足が遠のいていたものの、2,3年前にオウム関係の「アンダーグラウンド」等を読んで、やっぱり村上さん好きだと気がつき、約20年ぶりに「ノルウェイ~」再読してみようとトライ。でもやっぱりダメで、その後、気まぐれで、この「少年カフカ」(2002年出版)を読んで、やっぱり好きと、上がったり下がったりを繰り返しながら、遂に「1Q84」に取りかかったわけです。

「1Q84」の上巻はぐいぐい面白く読んだのです。天吾の幼い時の毎週休日に父のNHK集金にくっついて行った様子や、宗教関係の家に生まれたが故にクラスで孤立してしまっている青豆。2人の現在の仕事ぶりや、2人の様子が交互に書かれていて、とっても読みやすく面白かったです。1巻の最後の方だったかな?、2人「手」のシーンが出て来て、これはっ!って思いました!

しかしながら「ノルウェイの森」を読んだ時と同じに、下巻の途中からなんだか・・・私の読みたい方向じゃない方向へ進んで行き、結果一番そうなって欲しくなかったシーンがあった後、自分の気持ちがドンドン盛り下がって行ってしまい・・・。
尚、良く解らない部分も色々あり、そういう処でじっくり立ち止まって深く考えるということをしない私は、ちゃんと理解していない事も多々あるかと思います。

★以下ネタバレです 白文字で書いています★
天吾と青豆がそれぞれお互いをこんなに長く強く思っていた同士だったと解った時は、嬉しかった! だから2人には再会してほしかった・・・。
で、最初上巻を読んでいた時に、頼むから、天吾とふかえりはそうならないで欲しいな、、、って思ったんですね。なんとなくこの2人結局最後はやっちゃうんだろうな・・しかも天吾が望んでそうなるわけじゃなく、あくまでも天吾は受け身で、ふかえりから・・・ってパターンでそうなるって予感がしたんです。で・・・・下巻を読んでいて、やっぱりか・・・と、がっかりしました・・
あれは性行為じゃない儀式の一つのかもしれないけれど・・・。
あと、SE○が人間にとって最上級に重要な事のように感じられる部分がこの本にあったように私には感じて・・、その部分がどうも自分と共鳴出来なかった最大の理由じゃないか・・・って思いました。
逆に良かった部分は、子供の頃の環境や、受けたトラウマが、その後もずっとずっとその人間に及ぼす害ということや、宗教団体のことなどは、とてもぐいぐい読ませられました。
実は、私の近しい親戚の中で、そういう特殊な宗教関係世界の2つに(注:オウムではない)にそれぞれ行ってしまった人が数人(1,2人じゃありませんよ・・もっと沢山)いるのですよ・・。 みんな優しくて良い人だったんですけどね・・・。DNA的に自分も宗教関係にとらわれやすい血が流れていたりするんだろうか?!と怖くなる。そういう意味でも他人ごととは思えないんです・・。
以上

「少年カフカ」で、ノルウェイより前は、あえて意識的に性的な事は書かない様にしてきたというのも解りました。それはそういうのを書くのが苦手だったということもあると言っておられました。でも苦手な事から逃げずに書かなくちゃと思ったし、書きたい事も変わって来たというのも解りました。でも、私はあえて書かなかった初期の作品の方が好きだったんですよね・・・。
また今度、その初期の作品も読み返してみようと思っているところです。今読んでも好きなんだろうか・・?もしかしたら「何故好きだったんだろう?」と思ったりするんだろうか・・。

「少年カフカ」で解った事として、中学生の頃先生に何度もぶたれるような反抗的な処のある生徒だったということ。一人っ子であるのが子供の頃、結構大変で辛い目にもあったということや、数学と体育が苦手で大嫌いだったということは、親近感が沸いてしまいました。

数学については、「自分は何の役にも立たなかった・・」みたいなことをある女性へのお返事にちょろっと書かれたのを、数学の研究者の男性が読んで「春樹さんの口からそういう言葉が出て、がっかりした・・」というメールが来て。村上さんがお詫びし訂正している姿が、とても微笑ましく感じました。誠実で素直なお人柄が出てるなぁ~って思いました。天吾が数学にたけていたという設定を読んで、なぜか上の事を思い出しました。

今回のこの「1Q84」は残念ながら私は凄く好き!って程の小説ではありませんでしたが、いつかきっとまた数十年後とか、村上さんが書いた本が自分の波長が合う!って事があるかと思うので、気長に楽しみに待とうと思います。
道で知らない人から声をかけられると、15分だか寿命が縮まる気がする・・と書かれているのを読んでか、多くのファンの方々が、少しでも村上さんに長生きして欲しいから声をかけるのを控えてます、って書かれていて、私も大磯付近でばったり会えるのを長年楽しみにしていたけれど、もしそういうビッグチャンスが来ても、声をかけないで黙ってることにしました。長生きして、またどんどん小説を書いてください!

「ノルウェイの森」20年後再読しても、やっぱり苦手

海辺のカフカ

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29 コメント

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G処分て (牧場主)
2009-08-28 19:57:41
うちはGが出た場合、夫がベシッとやっつけてくれると、「今のやっつけ方素敵」とは言いませんが、そういや、「このために結婚したのよね」とは言いますね。
娘も「お父さんがいて良かった」を連発しますね、そういや・・・
まあ、G係ってことで。

私はね、この話、ずうっとこれでいいのかどうかまだいまいちよく分からないんです。
正直に言うと、最後、卵みたいなものが出てくるでしょう、あれの中に手を伸ばして天吾は青豆のとこへ行くべきだと思うんです。
か、青豆を引きずり出すか。
何でもいいんですけど、世界がリンクするべきっていうか・・・
だから、あと、2巻ぐらい話が続きますね。脳内では。
私は、ねじまき鳥クロニクルの最後で、主人公が妻を取り戻す(というか救うためにというか)ためにバットで綿谷ノボルだっけ、あの人を殺そうとするでしょう。
何故かというと、「愛しているからだ」っていうんです。
ハッキリと。
今までこう、村上さんは、そういうことには積極的に関わらない主人公を書いてきたように思うんです。
なのに、愛している、殺さなくてはならないと思ったのに、結局、綿谷ノボルを殺すのは妻で・・・
それから「海辺のカフカ」を書いて、んで、時間は経ったでしょう。
どうしたかな、って思ったら、結局、また天吾は受け身で・・・自分の前を運命が滑っていくのを見守る側に立つっていうか・・・
あなたいっつも女にしょいこませてるよ、と思ってしまうんです。
年を取っても、あなたの愛するってこういうことですか、ここまでですか、変化はないのですか、って。
私はヒーローになってほしいわけじゃないんです、この年になって、痛みをひきうける登場人物を書かなくていいのか、分からないんです。
ここでのヒーローは青豆一人で、自己犠牲は美しいのですが、これがまた女性でいいのかどうかよく分からないんです。
あなた、ふかえりと儀式してる場合ですかって。

あと、村上さんは沢山のオウム関係者や地下鉄サリン事件の被害者に会われたはずで、その人たちが村上さんの新作を読むことを、意識するだろうな、って注目していたんです。
でも、読んで、村上さんは、私たちが蓋をしてきたものをじっと見つめ続けていたことには感動したのですが、その内容が、納得できないというかよく分かりませんでした。
今も生きているその人たちに応える気はないのだな、完全に、彼の作風は世界から自由であることの証明とも言えますが・・・
読んでいるこちらは、大人になって、社会の歯車になって、つまらない平凡である人生を歩み、自分よりまず子供のことを一番に考え、自意識と折り合いをつけながら地に足をつけようともがいているのに、あなたはこの年になっても、結局自分の中は自分なのだな、って感じました。
この読みは多分私だけで的外れだと思いますが、子供がいなくて社会(会社)で働いた事がないっていうことが、いつまでも若い人に受けいれられる要因なのですが、いつまでも被害者側に立って、「損なわれている」だの何だのを書くのは、まだ必要なのかな、って思います。
くどいようですが、この年で、ってことです。

でも、さんざん書きましたが、上手く言えないのですが、私は村上さんと同時代に生きて、現在進行形で彼の作品を読むことが出来て、幸せだと思います。
本屋大賞にもこれに投票するし・・・
こう、私と最も繋がれる作家だとやっぱり思ったし、はい、単純に面白かったです。
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同感です (真紅)
2009-08-28 22:50:28
latifaさん、こんにちは。コメントとTBをありがとうございました!
実は私、昔村上春樹さんからメールのお返事をいただいたことがあるのですよ。。
(『カフカ』よりずっと以前の話ですが)
ファンと(ネット上ではあっても)直接交流されて、本当に誠実な方だと私も思います。
今はもう、スーパー雲の上の人ですから、メールのやり取りなんてできないでしょうね。。
ちょっと寂しい。。
あと、村上さんのお父様は兵庫県の有名私学の国語の先生でいらしたとか。。
村上さんも受験させられたけど、行きたくなくて白紙答案を出したそうです。
村上さんが一人っ子であったことに対する思いは、『国境の南、太陽の西』にも書かれています。
未読でしたら是非。

『1Q84』ですが、latifaさんががっかりさせられた部分は私も同感でした。
でも、ふかえりが登場し、その容姿が描写された時点で「そうなるだろうな」とは思いますよね。
ある意味、期待を裏切られないというか・・・(笑)。
私も、青豆と天吾を合わせてあげたくて堪らなかったです。
ラスト付近は、もうほとんど泣きながら読んでいました。

『きのうの神様』今日やっと図書館からメールが来ました♪ ワーイ
読んだらまたお邪魔させて下さいね。
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遂に読まれましたかー (存在する音楽)
2009-08-29 08:44:57
latifaさんが村上春樹の作品を読まれてアップされるのを楽しみにしていました。
随分と図書館で借りるまでお待ちになったんでしょう?

僕はまだ読んでいないのですが(笑)

映画も読書後の色んな人の感想というのも面白いものですね。自分の中で捨象しているような部分があったり、新しい視点を発見したり。自分と違う価値観に気づくこともありますが、元の作品が有名でないと、そういうものを見るチャンスが少なくなるので、特に映画などはネットで読めたりするので楽しかったりします。

僕はやはり文庫本になって読むかなあ~
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1Q84 (honey)
2009-08-29 13:01:43
今読んでますよー。
上巻は読み終わりましたが、ちょっと難しくなってきました。(前半はすごく面白かったのですが)
まだまだ波長が合わないのかな(笑)

がんばって下巻も読んでみようっ。
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牧場主さん☆ (latifa)
2009-08-29 20:50:30
こんばんは~牧場主さん
>このために結婚したのよね」「お父さんがいて良かった」を連発
 ぐははは! でも、立派なお父さんだわ!

2巻で最後じゃないかも・・・って思っていらっしゃる方って結構いるみたいですね。私も続編を書いてもらいたいな、って思います。牧場主さんは、確かこの本、凄く思い入れがある!って言っていましたよね?

私ね、「ねじまき鳥クロニクル」「海辺のカフカ」は未読なの。これから読もうと思ってるところなので、せっかく書いてくれた事、今は解らないので、読み終わったらまたここのコメント再読します!

で、以下の2つ
>あなたいっつも女にしょいこませてるよ、と思ってしまうんです。
>あなたはこの年になっても、結局自分の中は自分なのだな~~子供がいなくて社会(会社)で働いた事がないっていうことが、いつまでも若い人に受けいれられる要因

実は私も同じ事を思っていたのです・・。でも、今こうやってバシっと誰かが(←牧場主さん)言葉に出してハッキリ言われて、うわっ!ズバッと!
私の中で、そう思いつつもぐにゃっとなってたのが、急にピキーンとなった感じ(意味わかんないですね、すいません)

特に下の方は、なかなかこういう公の場で(って、そんなあんまりこの記事なんて誰も見てないと思うけど)言うのがはばかられる感じで・・・。それだけに自分では思っていても口には出さないでいたんだけど、牧場主さんがハッキリ言った事を、おおぉ~~すごい・・勇気ある~と思いました。

でも、なんだかんだ言いつつ最後の処で、牧場主さんが、どれほど村上春樹という人が特別な作家さんであるか、って事が解ります~
私も上の2つはそう思いながらも、でもそれが私には、その人となりを嫌いになる十代な要因にはならない事なので、大丈夫です。
なんだか、ほんと上手いこと文章で気持ちを表現出来なくて、めちゃくちゃな言葉になっちゃいました、すいません!
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真紅さん☆ (latifa)
2009-08-29 21:03:45
真紅さん、こんにちは~
>昔村上春樹さんからメールのお返事をいただいたことがある

な、なんとーーーーー!!それは家宝というか、なんというか、凄いじゃないですか~~~ なんって羨ましい!!!!さっそく家族全員に自慢した自分(私じゃなくて友達だっつーのに)

>あと、村上さんのお父様は兵庫県の有名私学の国語の先生でいらしたとか。。
村上さんも受験させられたけど、行きたくなくて白紙答案を出したそうです。
  え~っ、白紙答案を出してわざと落ちたってのは初耳! 私が知ってたのは、ご両親とも学校の先生で、日本文学マニアだったから、それに反発してか、海外文学ばかりを読みあさった・・って事。その気持ちはなんか解るなぁ~って思ったわ。

>村上さんが一人っ子であったことに対する思いは、『国境の南、太陽の西』にも
 そうらしいですね!少年カフカで、それ書かれていて、是非読んでみようって思ったの。とにかくノルウェイ以後は、ほとんど読んでないの。私自身は一人っ子じゃないんだけど、昔から何故か一人っ子と縁があって、子供も一人っ子だしね。妙に一人っ子の見方をしたくなるところがあるんです。

>ある意味、期待を裏切られないというか・・・(笑)
 うははは!!そうとも言える。
私はそのシーン、儀式、儀式、と自分に言い聞かせたわ。
でも、、、そんな簡単に入らんって!!

で、真紅さんが一番泣けたシーン。私もそこは一番ガ~~ン!と来ちゃったシーンだったもの・・・。実はそこの部分って家じゃなく人が回りにいる処で読んでいたのね。がくがくしてきちゃって、まいったわ~。それにしても、大切な人・・死ぬねぇ・・・・

『きのうの神様』
来たのね~!!感想楽しみに待ってます。真紅さんは先に映画を見ていて、つぎに小説って順番だよね?
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存在する音楽さん☆ (latifa)
2009-08-30 09:45:31
こんにちは~存在する音楽さん
いやはや・・・たいした感想じゃなくて、ほんといつも恥ずかしいんですが・・・。最近忘却度が凄く激しいので、こうやって書きとどめておくと、後々どんな本で、どんな風に思ったんだっけ?って時に、自分に便利ってことで感想書いてます・・・

文庫本になってから読んでも、内容は同じなわけです  
私は読みたいとか見たい!と思ったら、あんまり長い間待てないこらえ症の無いところがあって、単行本で図書館で借りることが多いです(とはいえ、順番待ちをするので、待ってるには待ってるんですけれども^^)
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honeyさん (latifa)
2009-08-30 09:49:44
こんにちは~honeyさん
わ~~い!!現在これ、読んでいる最中だなんて~。honeyさんの感想も是非拝見したいなぁ~!!もし気がむいたら、アップしてください

んんん・・・・、やっぱり1は面白く読んだんだけど、2はサクサクとは行かない感じ・・って同じですね~!
あんな分厚い本の1巻を、ぐいぐい読ませる村上さんの筆力って凄いですね~。
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ひぇ~ (牧場主)
2009-08-30 12:15:48
ああ、すいません、「ねじまきどり・・・」ネタバレ思いっきりしてしまって・・・こう、こんだけ売れっこ作家だから、多分みんな読んでいるのだろうと・・・全く自分中心に考えてました・・・
ノルウェイの森が「・・・」って感じだったのは拝見してたんですがそうですか・・・
あわわ。

私は昨日書き込んで、「ううむ、自分の考えをだらだら書いた上に、独りよがりな意見だし、書かなければよかったかな・・・」って思っていましたが、そうか、書いてもよかったかな、ってホッとしました。

理不尽なことを沢山経験すると、正しい正しくないで世界が簡単になったら、どんなに生きやすいだろう、って十代の頃は思っていて、その頃はすごく村上さんとリンクした気になっていました。
で、私の場合は、子供が出来たことがやはり大きいのですが、(ステレオタイプの話ですいません)こう、たとえば、夜中に子供が体調が急変して、血を吐いたことがあって、かかりつけの病院は小児科医がいない、さあ、どうする、ってあたふたしてるときに、医者がいないことを今ぐだぐだ言ってられないでしょう、で、システムがどうの、なんてことより、子供が血を吐いて、自分でびっくりして、不安がっているのをどうしよう、ってまず思う、そういうこと。
その時は、今私はこの子の前で決して泣かない、私は笑ってみせる、って思って、「ああ、お母さんもこういう真っ黒なもの吐いたことあるよ、何てこと無かったよ」とか適当に言って必死にのりきったんですが、何て言うか、そういうことが決定的に欠けている、って感じるんです。
生の、何て言うか、誰かをホントに守るっていう強い意志っていうか・・・
自分は昔傷つけられたまま損なわれているような気がする、って言ってる余裕がふっとんだことがないというか。
だから愛するってことがこういうことなのかなって気が・・・
儀式に対しても、まあ、村上さんが言いたいことは分かる一方、気が付いたらふかえりが、みたいな、受動的な、自分はその性欲には責任持てません、そういう風になってしまっただけで、自分が積極的に選んだ訳ではないのです、
見た目は加害者になりますが、ホントはそうじゃありません、っていう匂いがうさんくさいんです。
だから、真実を言い当てていても、まずそこの立ち位置からどいて主張してもいいのでは、っって感じます。

作品自体はとても興味深いのですが、私が変わったのでしょうね・・・村上さんの年で・・・って思います。
多分私が男だったらこう思わなかったと思います、たとえ、子供を持っても、それに変わる何かを経験しても。
ええと、私は子供を持つのが偉いって言いたいわけではなく、たまたま、私の少ない経験からいえば自分の人生ではそうだった、という話です。
戦争もなく、ご飯も食べられる幸福な人生で。

ええと「きのうの神様」、読まれたそうですが、また書き込みにきますね。
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牧場主さん☆ (latifa)
2009-08-31 09:18:18
牧場主さん、こんにちは。
いきなり臨時休校になりました・・・。そちらはいかがでしょうか・・。

ところで、ネタバレ、大丈夫ですよ!そこの部分、さ~~っと読んだだけで、頭の中をぼんやりと通過してっただけです☆

>独りよがりな意見だし、書かなければよかったかな・・・」って思っていましたが、そうか、書いてもよかったかな、ってホッとしました。
 いやいや、今まで色々な方の感想とかネットで見たりしてきましたが、そこんところをズバッと書かれた方は、初めて今回見ましたよ。それがなんと牧場主さんだった、って感じなんです。 それも牧場主さんは、すごい村上春樹のファンというか、なんというか、特別な作家さんって前からおっしゃっていて、深い愛情ありつつも感じた部分って事で、なおのこと、ズドーンと来る感じっていうか・・

そうですね・・・。子供を育てて考え方が変わったりするっていうのは私もそうだったので良く解ります。やっぱり自分よりも何よりも子供を最優先して普通の親ってかかわって来てると思うんですよ。絶対何が何でも守らなくちゃいけない!っていうかね。村上さんはそういう経験が無いんだろうなあ・・・とも思います。仲がよさそうな奥様も、友達かお姉さんちっくな存在なんだろうな~と想像がつくし。

ところで、夜中に娘さんが血を吐いて・・・の件、読みながら、ぐわっと来ちゃいましたよ・・。牧場主さん、それ1人でなんとか乗り越えて来たんですね・・・。 
こういう時私はアタフタするばっかりなんだけど、でも大丈夫じゃなさそうだけど、表面的に「大丈夫だよ、こんぐらい」って笑顔で返さなくちゃいけない経験をしたこと、牧場主さんほどじゃないけれど、やっぱりありましたし、似たような経験をしつつ今にいたる大人って多いかもしれませんね^^

全然関係ない話になるんですが、昨日フリースタイルっていう雑誌を読んでいたら、松本大洋さんが6年間も施設にいたことがあって、車を盗むこと2回、施設逃亡何度もしてきたことが書かれていて、あんな立派なアーティストの親がいるのにもかかわらず(深い事情知らないのでこんなこと言うのもなんなんですが) 6年もの長い間、結局お母さんは子育てしなかった(出来なかった)って事でしょう? 子供産んでも育てなかったら、子育てしたことにならないよな、って思ったんです(ほんと工藤さんには悪いけれど、事情知らないので、そういう風に思っちゃいました)

村上さんちも子供を作らなかった理由は色々あるだろうけれど、その中の一つには、子供に向き合う為にかかるパワーが膨大に必要だから、作家活動に影響が凄く及ぶだろうな・・・と予測がついたからってのもあるのかな~って・・・。

でもね、産まないってのも有りかと思います・・。ちゃんと良い立派な親で、子育てもちゃんとしてきたのに、とんでもない子供が育つってこともたまにあるんですよね。そのとんでもない子供のために、色々頭を悩ませられるなら、いない方が良いのかもしれない。

>気が付いたらふかえりが、みたいな、受動的な、自分はその性欲には責任持てません、そういう風になってしまっただけで、自分が積極的に選んだ訳ではないのです
 全作品を読んだわけじゃないので、なんとも言えないんですが、村上作品で、男性が好きな女性に熱い思いをドーンとぶつけ積極的に行動!ってのを見たことが無いような気がします。割と淡々と、そして受動的な・・って感じがする・・・。
いつか、そういうのも読んでみたいです。
村上さんが、60才過ぎて、ものすごい身を焦がす様な恋愛をドカンと一発して、しかもなんでか知らないが、孫の様な子供まで出来てしまって(妄想ふっとび過ぎ・・)、その後書く作品ってのに興味がものすごいあります!!
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