「黄色い家」川上未映子 ネタバレ感想

図書館で受け取った時、本の分厚さからして、これは挫折だなきっと・・・と諦め気分で読み始めたのですが、すぐにどうなるの？どういう過去があったの？と、気になって2日で一気読みしました。

これって読売新聞に毎日連続で掲載されていた小説で、書下ろしじゃなかったのですね。これを日々少しづつ書いていたんでしょうか？一気に書き上げていて、それを分割して出していたのかな？と思わせられる程でした。
今迄読んだ事がある新聞に掲載されていた小説の単行本を読んだ時とは何か違っていました。
物凄く物語に引き込むパワーみたいのが圧倒的でした。４つ★～４つ★半
読み終えた時も分量が凄かったせいか、読んだ―！という達成感？があった。

個人的には中盤位までは花を応援しながら読んでいました。育って来た環境や性格は違うのだけれど、結構解るなーって処があったし。基本真面目で心配性で頑張り屋さんなのよね。

登場人物に、しょうもない人が多いのよねー。
母親も呆れる人だけど、友達になった桃子も嫌だったな。実家は金持ちだけど、男に入れこんでパーティー券を大量購入してしまったり・・・。

タイトルの黄色い家。
黄色という幸運のジンクスを信じていて、ある時暴走してペンキを塗る・・・。

★以下ネタバレ★



後半まさかの展開に。
店が火事でなくなってから関係性が徐々に壊れていく
一生懸命お店の復興や先の事を心配したり、積極的に行動する花。
をのうち怪しい仕事を引き受けるように。
溜まっていた大金を母親から頼まれ渡すシーン、トロスケが彼女のお金を盗んだ時もだったけど、悔しくて可哀想だった・・・。花がお金を貯めるシーンは、また盗られそうでハラハラしたよー。

段々と同居しているメンバーが皆ダラダラとなんとかなるさ～的な事にイライラし始める。
その後、結局蘭と桃子にもヤバい仕事を紹介してしまい、せっせとお金を稼ぎ、2千万も溜まっていくが関係性がどんどん悪い方へと・・・。あんなにみんなで仲良く楽しく一緒に暮らしてたのに、花がリーダーとなり指示や怒る様になって、怖いキャラになってしまう。
最後の方は桃子がお金を持ち逃げしようとするとか地獄絵状態に・・・。
結局4等分して、みんなバラバラに。
蘭と桃子は黄美子さんが最初からおかしかったとか色々全て押し付けた風に言って去ってったけど、それって殆ど花がやった事だったのに。

黄美子さんは何らかの障害があるのかな…
優しくて綺麗好きだけど、目の前の事や対応は出来るけど、将来的な計画性とかお金の事とかが無理なのね。結局最近起きた事件も、彼女が何かやったってわけじゃなかったんだろうな・・・（その辺りは明かされないけれど）
でもなー、冷蔵庫を一杯にして去った優しいシーンは忘れられないわ。

ラストどうまとめるのか？と思ったら、20年ぶりくらいに映水にダメ元で連絡してみる。彼は生きていたのね。もう先が短い病気みたいだったけど、それで黄美子さん現在は東村山の昔花の母が働いていた飲み屋さん（2階に住める）にいることを教えてもらい会いに行く。20年ぶりにご対面ですっかり年老えた姿だった。謝って「一緒に行こう！」と花は言うけど、黄美子さんは断る。
結局一人で電車で帰るシーンで小説は終わっているけど、この後どうなったのかな・・・以上

この小説って潔いほど性的な事が書かれてないんですよね。
多分意識して書かなかったのかも。
子供さんでも（エグい内容だけど）読めますね

黄色い家 　川上未映子　(2023年2月20日)
十七歳の夏、親もとを出て「黄色い家」に集った少女たちは、生きていくためにカード犯罪の出し子というシノギに手を染める。

川上未映子黄色い家夏物語すべて真夜中の恋人たちヘヴン乳と卵、時が滲む朝