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「口紅のとき」角田光代 感想

2012-12-16 | 小説・漫画他

とっても良かった!4つ☆半~5つ☆
確かに資生堂、花椿、って感じがする。

女性の、6歳、12歳、18歳、29歳、38歳、47歳、65歳、79歳の時の口紅にまつわる短編集。短編ながらに、それぞれかなり深いお話で、ここ最近、数年の角田さんの小説の中では、「曾根崎心中」「それもまたちいさな光」と本作が私は特に好きです。

6歳 おでかけの時、母が鏡に向かって口紅を真剣につけているのを、こっそり見て複雑な心境になっている女の子。
これが一番好きです。これは共感出来る女性が凄く多い気がする。

18歳 これが2番目に好き。非常に泣ける~
高校時代ずっとプラトニックな恋人だった二人。この後、それぞれ名古屋と東京への大学進学で遠距離恋愛になってしまう。今日は卒業式。ただ黙って歩く二人。
桜色の口紅をプレゼントしてくれる彼氏。
多分離れ離れになったら、二人の関係が終わってしまうであろうことも予測している女子。それでも、もし新しい恋人が出来ても、この口紅をつけて会いに行ったりはしない。この口紅をつけて、彼以外の人と恋はしないと誓う。
いいなぁー!! なんかもう全体的にツボでした。

38歳 毎日の仕事や家事に追われて生活している女性。
冒頭、向こうからおばさんが歩いて来たと思ったら自分だったというのは、解る・・。
そして、かつて手に入れたいと思っていたものは、気がついてみれば現在手にしていた・・。でもその為に諦めた事も幾つかあって、その中に、いつも綺麗にしていること・・というのも含まれている。
これもあちこち共感出来るお話でした。

65歳 もう命わずかな夫のお見舞いに、手持ちの色々な口紅をいつも欠かさずつけていく、夫思いの奥さんのお話。これも共感出来る処が色々あった。良いお話でした。

小説の後、モノクロの上田義彦さんの写真が数枚載っています。
どれも、はっとするような、なんというか日常のヒトコマを切り取った写真なのだけれど、この小説と口紅というテーマに合う写真でした。

あとがきに、角田さん個人の口紅にまつわる思い出が書かれています。
そういえば、昔、海外に行った時に、まとめて5本セットとかの口紅をお土産に配るという習慣?みたいのがあった時期がありましたね(1990年頃かな・・)
男性から口紅をプレゼントされた経験が私は無いので、この小説の18歳の様なシチュエーションは、すごく憧れますねー!!

口紅のとき 角田光代 上田義彦/ 2011年12月発売

角田光代
「口紅のとき」
「それもまたちいさな光」「月と雷」感想
「異性」「紙の月」
「曾根崎心中」「かなたの子」
「なくしたものたちの国」「ツリーハウス」
「水曜日の神さま」
福袋
「くまちゃん」面白かったです
森に眠る魚(ネタバレです 注意!)
何も持たず存在するということ
角田光代さんの小説色々感想まとめ
「三面記事小説」「マザコン」
ロック母
「薄闇シルエット」凄く共感、良かった 角田光代
「いつも旅のなか」「誰かのことを強く思ってみたかった」
「presents」「夜をゆく飛行機」
「恋をしよう。夢をみよう。旅にでよう。」 「恋するように旅をして」の感想
「対岸の彼女」感想と、全あらずじ 
ドラママチ 「太陽と毒ぐも」「12星座の恋物語 」感想
「八日目の蝉」 角田光代 凄く引き込まれて一気読み

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2 コメント

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Unknown (ゆう)
2012-12-16 11:18:57
こんにちは。
薄いのに手ごわい作品でしたよね(笑)
これだけ濃厚に、この薄さの中で描けるなんて、さすがです。

これが、逆に厚かったらうんざりしたのかも・・

ほどよい読後感が、またなんとも魅力的な作品でした。
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ゆうさん☆ (latifa)
2012-12-20 16:03:43
ゆうさん、こんにちは
最近とても寒いですー。いよいよ残すところ2週間、慌ただしい時期、風邪など気をつけて、のりきりましょうね。

確かに!!↓
>手ごわい作品

角田さんらしさのある内容。
短いのに濃厚なお話でしたね
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