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ネタバレ「あとは切手を、一枚貼るだけ」小川洋子,堀江敏幸

2019-07-12 | 小説・漫画他

奇数章が小川洋子さん、偶数章が堀江敏幸さんの交互の手紙のやり取り小説。

割と難解で、頭が混乱、いったいどういう事なんだろう?と、今も解らない処がある不思議な小説でした。3つ★

★以下ネタバレで、あらすじを書きます★
小川さんの担当する女性。
もうまぶたを閉じたままにしておくことにした、と言うこの女性は、体がだんだん動かなくなり、不自由になっていく病気なのかもしれません。
ヘルパーさんが側にいます。

堀江さんのパートの男性は、幼い頃、昼間の蛍を見ようとしたことが原因で、うっかり目に怪我を負い、片目が見えなくなってしまった上、その後ゴミ捨て場でいじったものが爆発し、もう片方の目もダメージを受け、将来的に見えなくなってしまうだろうと言われていました。今は、もう両方とも見えないようです。

この二人はかつてカップル(結婚していた)だったのですが、2人でとても可愛がっていた男性の小さな姪っ子ちゃんを、海で亡くしてから、女性は自分が妊娠していた赤ちゃんを、男性に相談なく一人で堕胎してしまったようで、それ以後、別れてしまったと思われます。
ずっと姪っ子ちゃんを海で亡くしてしまった事を引きずっていたが故らしいですが・・・。
しかし、今、こうやって手紙の交換をしているのでした。

目が見えない同士が、どうやって手紙を書いてやりとりしているのか、ヘルパーさんや、男性の姪っ子(死んだ子とは別の子なのか?それとも死んだ子が成長していると男性が勝手に思い込んでいる亡霊的な存在?)が代わりに読んでくれているのか・・・
以上

この小説で印象に残ったところは、
女性が幼かった頃、歯医者においてあった「世にもかわいそうな糖物たち」という本と、パブロフの犬の実験に使われた犬の頬の穴・・・のところでした。
実験で、動物たちが酷いことをされていて、ぞっとしました。今なら虐待って言われそう、可哀想過ぎます・・・。

あと、女性が小さい頃、たばこ屋さんに切手を買って貼って出すという役目を受ける時のハラハラ感がね、解る!っていうのが満載でした。
確かに切手って、綺麗に切り出すのって緊張するんですよね。

あと、彼が2階でタイプを打っている時、彼女はタイプの音やリズムが好きで、真下にあたる1階の箪笥の中に椅子を入れて編み物をしていた 笑
こういう小川節的な処は、いつもながら楽しく読ませてもらいました。

堀江さんの本は実は読んだ事がないのですが、2人のやり取りは自然で、違和感なく読む事が出来ました。
堀江さんパートは、ちょっと知らない固有名詞が結構出て来て、読みにくい時もありました。
フランス映画とか好きな人なんだろうな。

あとは切手を、一枚貼るだけ   2019/6/18
小川洋子,堀江敏幸

内容(「BOOK」データベースより)
かつて愛し合い、今は離ればなれに生きる「私」と「ぼく」。失われた日記、優しいじゃんけん、湖上の会話…そして二人を隔てた、取りかえしのつかない出来事。14通手紙に編み込まれた哀しい秘密にどこであなたは気づくでしょうか。届くはずのない光を綴る、奇跡のような物語。


小川洋子
「あとは切手を、一枚貼るだけ」
「口笛の上手な白雪姫」
「シュガータイム」
「不時着する流星たち」
「琥珀のまたたき」
「注文の多い注文書」
「いつも彼らはどこかに」
「ことり」「とにかく散歩いたしましょう」 感想
「最果てアーケード」「余白の愛」小川洋子
刺繍をする少女
人質の朗読会
妄想気分
原稿零枚日記」
「ホテル・アイリス」「まぶた」「やさしい訴え」
「カラーひよことコーヒー豆」
小川洋子の偏愛短篇箱
猫を抱いて象と泳ぐ
「偶然の祝福」「博士の本棚」感想
妊娠カレンダー、貴婦人Aの蘇生、寡黙な死骸 みだらな弔い
薬指の標本 5つ☆ +ブラフマンの埋葬
「おとぎ話の忘れ物」と、「凍りついた香り」、「海」
「ミーナの行進」「完璧な病室・冷めない紅茶」感想
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4 コメント

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小川さんと堀江さん (Todo23)
2019-07-14 08:43:25
ほほ~、小川さんと堀江さんの共作ですか、面白そうですね。
堀江さんは東大出身のフランス文学者で早稲田大学の教授。ちなみに朝井リヨウさんは堀江さんのゼミの出身だそうです。
しっとりとした良い作品がありますよ。
入りやすそうなのは連作短編集の『雪沼とその周辺』。
その他にも『いつか王子駅で』とか赤ちゃんの子育てを扱った『なずな』とか。
小川さん、こういった共著が時々ありますね。
クラフトエヴィング商會(吉田篤弘)さんとの『注文の多い注文書』もとっても粋な本でした。
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Todo23さん☆ (latifa)
2019-07-14 21:07:56
Todo23さん、こんばんは

>堀江さんは朝井リヨウさんは堀江さんのゼミの出身
そうなんですかー!知らなかったー。
朝井リョウ君の本、結構面白くてデビューの頃から、時々読んでいるんです。

色々堀江さんの本、紹介してくださって、ありがとうございます。
今度読んでみようかな。

「いつか王子駅で」が、タイトルに妙に惹かれますなあ・・・(東京都内の王子駅かしら・・行ったことはないのですが)

小川さんとクラフトエヴィング商會さんとの『注文の多い注文書』
私も以前面白く読みました。
でも、私はやっぱり小川さんのファンなので、今回もですが、小川さんの書いた部分に強く反応してしまうみたいです。
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ようやく読みました (こに)
2020-10-09 08:11:45
大好きな2人の作家さんによる往復書簡、なんて贅沢な本でしょう!
堀江さんはTodo23さんが書いておられる作品が私もお薦めです。フランスで暮らしておられたこともあって、その点では池澤夏樹さんと重なります。
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こにさん☆ (latifa)
2020-10-09 15:20:33
こにさん、こんにちは!
こにさんは、堀江さんのファンなのですねー。
私は堀江さんのこと、あまり知らなかったのです。
フランスで暮らしていた方とのこと。
小川さんって生粋の日本人で日本暮らしされているのに、なぜかヨーロッパの匂いがするのが不思議です。

堀江作品、そのうち読んでみようと思いつつ、先に既にリクエストしてた本が次々来て、後回しになっちゃってます・・・
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