ミーナの行進 小川 洋子 (著) 寺田順三さんと言う方のイラストも可愛かった!
1972年に中一だった朋子が、1年間だけ親類の富豪の邸宅に同居した思い出。1962年生まれの小川さんと、ほぼ同年代の私なせいか、冒頭から私が幼い頃に憧れのツボだった少女漫画チックな部分を、朋子が次々と体験していく様子に、キャー!!という嬉しさ。
ハンサムで大金持ちで優しくユーモア溢れるドイツ系の叔父様、芦屋のスペイン風大邸宅、ひとつ年下の読書好きで喘息持ちの病弱な美少女ミーナ、ローザおばあさま・・・。何一つ不自由がないそんな暮らしの中、孤独感をまぎらわずように、お酒と煙草、そして誤字?を見つけることに夢中になっている叔母様、体が弱い為、家にこもりがちなミーナの趣味は「マッチの箱集め」描かれている絵から受ける物語をひとつひとつ作って行く・・・。
後半になって、「ミュンヘンオリンピックの男子バレーボール」への熱中(ミュンヘンへの道というアニメは私も毎週楽しみに見てた!あの頃アニメは多かったけれど、実話アニメはとっても珍しくて、そこが私の心を痛くくすぐったのでした!)、とっくりさんという図書館の男性への淡い憧れとか、ごく普通の少女の日常が、とても可愛く微笑ましく描かれている!!
☆以下ネタバレです。文字反転して下さい☆
そんな夢みたいな生活の影には、家に帰って来ない叔父様が通っている場所に、こっそり行って見て来る朋子や、その後ローザおばあさまが、物事が解らない様になってしまった時に、もうドイツ語しか話さなくなってしまったこと(かつてはおばあさまが普段ドイツ語を口にすることは全くなかったのにもかかわらず・・・というところが、とても悲しい!!!)
ミーナが死んじゃうんじゃないか?死んだらヤダ!!とか思いながら読んだのですが、ミーナが元気になって、本当に良かった!何故かミーナが、クララを連想させられて。☆以上
ハイジはクララの家でノイローゼになったけど、朋子はミーナのお家で過ごした思い出は、綺麗で素敵な宝物になってる。悪人や意地悪は全く出て来ない、優しく、でもどこか、はかなげな、良いお話でした
プラッシー!懐かしい!!あの頃、ビンに入ったジュースといえば、fanta、ミリンダ、サイダー、プラッシーでしたよ。今でもfantaは残っているけれど、プラッシーは殆どみかけなくなっちゃった・・・。
あと、昔は図書館で本を借りるのには、「カード」というものがあったんですよね。そのカードを朋子は大切に持っていて、借りた本のタイトルが順番に記載されており、それを見ればその時の人生が解る?とか、なんとか・・・(もう忘れちゃったけれど・・そんな感じの事が書かれていた) そこが、あ~~解るっ!!って思いました。各本には、借りた人の名前が順番に書かれていて。「あ、この名前の人、また発見。同じ様な本を読んでいるんだな、どんな人なんだろう?」なんて思ったことがあったな~なんて懐かしく思い出しました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
最近の小川洋子作品は、「博士の愛した数式」以降、少し変わったとか・・・。博士は小説は未読で映画しか見たことがないのですが、確かに、博士もミーナも、小川さんならではの、ひんやりした怖さやグロさがあまり多く無い。ちょこっとスパイス程度にそういうのが効果的に効いている感じ・・・というか。そこで、デビュー作で、一番古いと思われる出版小説「完璧な病室」(1989/09出版) 福武書店と、「冷めない紅茶」(1990年8月出版)を読んで、デビューの頃と、最近作との比較をしたくなりました。
読んだ感想は、デビュー作の頃から、小川さんらしさの、あの怖い静かなグロさ?が、あちこちに一杯ちりばめられていました^^
私は、こういう、静かな怖さ・・隠れたグロテスクさ、みたいなのが結構好きです。読まずにはいられないというか。怖いもん見たさでまた手に取ってしまう悪魔的な魅力があるというか
私が図書館で借りたのは、それぞれ独立した「冷めない紅茶」と「完璧な病室」でしたが、絶版になっているようで、現在発売されている本は、「冷めない紅茶」と「完璧な病室」2編づつ計4編を両方含めた「完璧な病室」になっている様です。
「完璧な病室」1989年3月号海燕掲載
病院に入院している弟を毎日見舞うわたし。病室にいる時、不思議に心が穏やかに美しくいられる様な気持ちになる。
(腐った食べ物や、食べるという行為に対して、すごく小川さんという人は、グロテスクな特別な思いがある人な気がします。こういう気持ちは結構私もあるので共感しちゃいます。コールマンという葡萄の種類を検索して調べてしまいました。私はあまり馴染みが無いな、関西産のぶどうだから、関西で特に愛されているのかな)
「揚羽蝶が壊れる時」1988年11月号 海燕掲載
年を取り、痴呆になってしまった祖母を、施設「新天地」に預ける様になった奈々子・・・
(冒頭の、おむつ交換の際の、ちょっと生々しい描写がキツかったです・・。一番古い作品なのですね。あまり好きではなかったです。これより「完璧な病室」の方がはるかに好きです)
冷めない紅茶 小川洋子 2つの小説が含まれています。
『冷めない紅茶』1990年5月号 海燕掲載
飼っていた魚の死、おじいさんの死体をふくアルコールを買いに行った先の古めかしい薬局に置いてある不気味な脳の模型?やら体の内臓の絵・・・、そして、学生時代の友人の死。一応恋人であり、一緒に暮らしているものの、疎ましく思う部分も多くなってしまっているサトウの描写。
『ダイヴィングプール』1989年12月号 海燕掲載
ちょっと怖いです・・。「妊娠カレンダー」と、ちょっとかぶる部分を感じました。両親は神と信者の間を取り次ぐ教会の先生であり、ひかり園(孤児院)の園長だ。わたし(彩)は、ひかり園で産まれた孤児じゃない唯一音子供。このことが、わたしの家をひどくよじれさせている。いっそわたしも孤児だったらよかったのに、と思うことがある・・・。(こういう環境で育って来た彩が、どこかねじれた部分を持つ高校生になったのが、解る気がした。)
小さい頃から、一緒に育って来た弟みたいな「純」がダイビングをする姿を見る為に、プールへ通う彩。
☆「冷めない紅茶、ダイヴィングプール」両方についてのネタバレです☆文字反転して下さい。
冷めない紅茶の方で、K君の彼女が司書をしていた図書館は、火事で全て燃えてしまっていたという部分で。焼ける描写が妙に美しかったりする部分が、村上春樹の何かの小説を連想させられました。わたしが、一冊だけ借りっぱなしになっていた本が、焼かれずに残ったたった一冊の本かもしれない・・・そして貸し出しカードに残っていた彼女の指の跡・・・という部分が、印象的!
ダイヴィングプールは、小さなリエに腐ったシュークリームを食べさせる描写、そして、純にしっかりお見通しだった部分と、2つのギョギョッ。小川さんの小説には、子供にサディスティックな妄想?をしちゃう部分がたまに出てきますよね。小川さんご本人が、良妻賢母の鏡のような風貌の人なだけに、たとえ小説だとしても、やたらと怖さが倍増です以上
出版年代順で行くと、揚羽蝶1988年11月⇒完璧な病室1989年3月⇒ダイヴィングプール同年12月⇒冷めない紅茶1990年5月
という順なのですね。 もしかしたら、完璧な病室に出てくる、ちょっとどもりのお医者さんは、ダイビングプールの孤児院出身の男の子だったのかも・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(追加)2007年1月に出版された「小川洋子 対話集」というのを読みました。
小川さんが、博士・・以前は、まず場所ありきで、場所から小説のイメージを膨らませて小説を書いていたこと、非常に心配性で、一日に一つのことしか用事を入れられない性分であること、小さい頃狭い場所にいるのが好きだったことなどが語られていました。普段の小川さんの様子が少しかいま見れる本でした^^
昨年の私のベスト1だったので、読んでいただけてとってもうれしいです。
心地よい空間が広がって、こころが温かくなる物語でしたね。
少女漫画チックな部分のうれしさ、ありましたよね~。
ときどきうっとりでした(笑)。
確かに、ベスト1にするのも頷ける良いお話でしたー。
老若男女に安心して、お薦め出来る作品ですよね。
でも、ちょっと女の子向きかな?^^
男性が読んでも、もちろん楽しめるとは思いますが
ほんとーーーに、いいお話でした。
とっても気に入られたようで嬉しいです。
私もこのオハナシ何から何まで大好きなの。
ミュンヘンオリンピックの男子バレーもツボでしたし、図書館好きとしてはカードのエピソードも懐かしかった。
ミーナが死んじゃうんじゃないかって本気で心配したのですが、後日談では意外なことになっていましたね(笑)
フレッシーってやっぱりプラッシーのことかな?(笑)お米屋さんに売っていましたよね?
先日「海」を読んで、今は伊坂さんの「終末のフール」読んでます。
このあと宮部さんの「名もなき毒」、そして「パフューム」と読んでいく予定なのですが・・・・。
一向に感想文が書けてないっ
latifaさんはすごくたくさんのご本を読んでいらしてうらやましい限りです。
私もたいがい時間の使い方が上手ねって言われる方なんだけど、最近は本当に本を読む時間が減ってます。
昼間友人と目一杯外出しているのがダメなのかしら(汗)
ミーナや朋子と一緒に暮らしてみたい!!なんて思っちゃいました。
小川さんの作品初期の作品はずいぶんと作風が違うようですね~
デビュー作も読んでみたいです!!
プラッシーが売られていたのは、凄く昔のことなので、多分、chiekoaさんの子供時代には、もう姿を消していたのかもしれません!
ミチさんも、プラッシー(フレッシー)、ご存じでしたね、お米屋さんでしたっけね。どこにでも売ってないジュースだったので、サイダーやfantaより、希少価値が少々あったような・・・。
>先日「海」「終末のフール」「名もなき毒」「パフューム」と読んでいく予定
おお~予定が立ってますね!
私は図書館にリクエストを一杯してあって、届いた順に読むという感じなので、次に何が来るのか?解らないのですw 「海」はこの前読んだのですが、まあ普通に面白かったかな・・・って程度でした。
私、本を読むのが早い方なのかもしれないです。だいたい2時間で普通くらいの厚さの文庫本なら読めちゃいます。でも、私の場合は、記事を書くのに時間がかかっちゃって・・・。読んだ本のうち、記事書くに至ってるのは、多分半分くらいです。
それに、ミチさんは、すごく一杯本や映画やその他色々、毎日記事を書いていらっしゃるじゃないですかー!それだけでも尊敬です☆
お友達とよく外出している上に、あの記事量+トラバ返し、レス返しなど・・・etcは、本当に凄いですよ
私も、私も!
ミーナや朋子と一緒に暮らしてみたいです。
自分もあの位の年代に戻って。
小川さんの作品初期の作品、エビノートさんが読まれましたら、是非ぜひ感想楽しみにしています。
この本はすごく好きなんです。去年のマイベスト3に入るくらい。
小川さんは、私より少しお姉さんの世代なのですが、
フレッシーは、ちょっと色は違うかな?という気はするんですが、
私もプラッシーだ!と思いながら読みました。
私もミーナにはlatifaさんと同じアニメの主人公を思い出しました。
自分が健康的だったので、ああいう存在は憧れでした。
わ~~、juneさん、去年のベスト3に入るくらいのお気に入りですね☆
私も読み終わった直後よりも、暫く経ってからの方が、さらに、あの小説って、やっぱり、とても良かったな~ってじわじわ来る感じです。
フレッシーとプラッシー、やっぱり、ちょっと発音が似てるせいか、つなげて考えてしまいますよね☆
で、なんと!!juneさんも、クララを連想しちゃいましたか?!
ハイジと朋子は、あんまり似てないのだけれどもネ